コロナ感染拡大第2波が懸念される今、再度緊急事態宣言が発令されてしまえば、ようやく再開しつつある様々な経済活動がまたも停滞してしまう。この不況をどう生き抜くのか。本記事では、収入が激減した結果、住宅ローンを払えなくなった男性を紹介する。 ※この記事は、烏丸リアルマネジメント株式会社代表取締役・矢田倫基の書籍『住宅ローンが払えなくなったら読む本』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

娘が遊びかけていたオモチャを放置…元夫の悲痛な叫び

500万円程度であれば、住宅を売却する必要のない個人再生で100万円ほどに圧縮できます。詳しくは後述しますが、裁判所に申し立てを行えば、債務を1/5に減らすことができるのです。消費者金融などに対する債務が1/5になれば、月額22万円の収入でも7万円の住宅ローンの支払いは難しくありません。

 

 

私が相談を受けた時点でも、まだ任意売却を選択しなくてもよい状況でした。保証会社による代位弁済がなされておらず、交渉によっては家を失わずに暮らしていくことが十分に可能だったのです。

 

ところが竹屋さんの希望は任意売却をしたいというものでした。ローンを支払えなくなったのを機に、住まいを売却して気持ちの面でも区切りをつけたいという思いが強かったのです。

 

◆任意売却の目的はあくまで生活再建

 

私が任意売却を手がけるのは債務の圧縮が目的ではありません。あくまで依頼主の生活再建が真の目的であり、債務の圧縮はその過程に過ぎないのです。

 

竹屋さんの場合には任意売却で家を失う必要はありませんでした。竹屋さんの住まいには建坪率が現在の建築基準法に抵触するという問題があったため、売却してもかなりの安値になってしまい大きな債務が残るので、経済的には不利益の大きい選択だったのです。にもかかわらず竹屋さんが任意売却を希望したのは、生活を立て直すために必要と判断したためでした。

 

家族で暮らしていた一戸建て住宅に1人で住む竹屋さんの気持ちは後悔と未練にとらわれており、将来を前向きに考えることができなくなっていました。特に娘に対する思いが強く、長女が使っていた二階の部屋は母と娘が出て行ったその日のまま、まったく手つかずの状態でした。掃除もせず、娘が遊びかけていたままオモチャが放置されていたのです。「辛すぎて、二階に上がれないんです」。竹屋さんはそう語りました。

 

家のあちこちに娘との思い出が残っており、それを消すのが寂しいので、掃除することもできないとのことでした。竹屋さんにとって任意売却は経済的に立ち直るのと同時に、気持ちの面でも踏ん切りをつけ、その後の人生を前向きに生きるために必要なことだったのです。

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住宅ローンが払えなくなったら読む本

住宅ローンが払えなくなったら読む本

著者 矢田 倫基   監修 矢田 明日香

幻冬舎メディアコンサルティング

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