前回は、市場価格より2割以上安い価格で購入できる「任意売却物件」の家賃設定を決める方法について説明しました。今回は、数少ない「任意売却物件」の投資機会を見逃さない方法、物件広告でのチェックポイントについて見ていきます。

信頼できる不動産会社にはあらかじめ「根回し」を

任売物件で成功するポイントは、やはり良質の物件を最低でも市場価格より2割以上安い価格で購入することのようです。では、具体的にどうすれば探せるのでしょうか。

 

任売物件というのは数に限りがあり、いつでも物件が流通しているというものではありません。任売物件は、売る側にも時間的な制約があるために、市場価格より格安にして販売するわけですから、不動産会社に物件広告として回った時点で早めに動かないと、すぐに売れてしまうことになります。

 

そこで、懇意にしている、信頼できる不動産会社にあらかじめ任売物件が出てきたら連絡をもらうように手配しておくことが大切になってきます。任売物件は、一般の顧客の目には触れないものが多く、しかも取り扱っている不動産会社が少ないために、投資の機会はそう多くはありません。数少ないチャンスをものにする必要があります。

チラシには任売物件と明記されているか?

では、その任売物件の物件広告、いわゆるチラシではどんなことをチェックすればいいのでしょうか。まずはサンプルとして【図表 任意売却物件のチラシ例】をチェックしましょう。

 

【図表 任意売却物件のチラシ例】

いくつか、注目したい箇所をピックアップすると次のようになります。

 

●任意売却物件であることが明記されている

不動産会社に来るチラシでは、あらかじめ任売物件であることが明記されています。そのうえで、「室内が見られる」「立ち退き交渉なし」といったメリットが書いてあります。競売物件の室内は写真でしかチェックできませんが、任売物件は自分の目で直接チェックすることができます。さらに、場合によっては立ち退き交渉が必要になる競売物件と異なり、任売物件はあらかじめ入居者と交渉済みになっています。

 

●債権者の同意が必要

住宅ローン破綻などの場合、金融機関が債権者になっているわけですが、売却するときには債権者の同意が必要となります。なぜならば、オーバーローンになっていることもあるからです。通常と大きく異なる点は残債務で、大きく任意売却とうたっていない物件でも、備考欄などにこの一文がある場合は、任売物件と考えていいと思います。

 

●売り主の瑕疵担保責任は免責

任売物件の特徴のひとつが、この瑕疵担保責任の免責です。瑕疵担保責任というのは、簡単に言うと内部に隠れた瑕疵=欠陥があるかどうかということですが、中古物件であり、後になって隠れた欠陥があったといって、その責任までは負えないということです。

 

●現状有姿の引き渡し

簡単に言えばリフォームなどをしないで現状のままの引き渡しになるということですが、もともとの所有者が住んでいる場合は賃借人も含めての引き渡しになるということです。

 

本連載は、2014年10月10日刊行の書籍『任意売却物件ではじめるローリスク不動産投資』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

任意売却物件ではじめる ローリスク不動産投資

任意売却物件ではじめる ローリスク不動産投資

安田 裕次

幻冬舎メディアコンサルティング

サラリーマンが副収入を得る方法として注目を集める不動産投資。しかし不動産は決して安いわけではありません。 初期費用がかかるほどリスクは高くなるため、不動産投資の基本はできるだけ安価で条件の良い物件を探し出すこと…

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