物件の安さにつながっている「ローン返済の失敗」
不動産投資で成功するには、できるだけ初期投資にお金をかけずに格安の「掘り出し物」に投資することです。では、実際に現在の不動産市場で「掘り出し物」と呼べるのはどんな物件なのでしょうか。
結論から言えば、「競売物件」と「任意売却物件」の2種類といっていいでしょう。いずれも、市場価格の2割から3割は格安な商品です。これら2つの物件がなぜ安いのかについては、おいおい解説しますが、これらに共通するのは「ローン返済の失敗」が関係していることです。
破産件数の減少に関係がある「金融円滑化法」
2008年、米国で起きた「リーマン・ショック」は、世界経済に様々な波紋をもたらしました。むろん、日本経済も大きく揺れ動き、経済の落ち込みから住宅ローンの破綻者が急増するなど、様々な影響が出ました。
当時は、リーマン・ショックによる経済危機が原因で住宅ローン破綻者が急増していたわけですが、住宅ローンの破綻件数は企業倒産が増えたり、裁判所に寄せられる「破産」の件数が急増していたりすることでわかります。
図表を見てもわかるように、2008年(平成20年)に裁判所に寄せられた破産件数は、14万件を突破しました。現在の約9万件より大幅に多い破産件数があったことが分かるはずです。
ただし、リーマン・ショック時、あれだけ多かった破産件数が急激に減少して、住宅ローンの破綻も大きく減少しました。その背景には何があったのでしょうか。急激な景気回復があったわけでもないのに、なぜ破産件数や住宅ローン破綻件数が減少したのか。その背景にあるのが、民主党政権時代に成立した「金融円滑化法」です。
次回は、金融円滑化法について見ていきます。
【図表】民事・行政事件の新受事件の最近5年間の推移