数に限りがある任意売却物件では、投資の機会は多くありません。今回は、数少ないチャンスをものにするために、任売物件の物件広告、いわゆるチラシの見方をご紹介します。

まずは「差押え解除費用」の記載を確認

前回に引き続き、任売物件の物件広告、いわゆるチラシではどんなことをチェックすればよいのかを見ていきます。

 

【チラシ①】

チラシ①の物件には「別途差押え解除費用」という項目があります。任売物件では、住民税や健康保険税といった税金などを滞納していたために、自治体などの債権者から、差押えをされているケースがよくあります。任意売却ではよくあることですが、購入後、ローンを組む段階で金融機関が差押えを外すように求めるのが普通です。

 

差押えを解除するには、債権者に返済したうえで差押えを解除してもらうように依頼しなければなりませんが、任意売却の場合は不動産業者が債権者の了解をあらかじめとっているはずです。なお、担保や差押えを解除する際にかかる費用は、債権者が出してくれる場合もあったりします。

任意売却物件特有の「リースバック物件」とは?

次にチラシ②を見てみましょう。

 

【チラシ②】

基本はチラシ①の中古マンションと同じですが、チラシ②は「表面利回り」が出ています。投資用不動産の場合には、表面利回りの他に、各種のコストを加味した「ネット(実質)利回り」がありますが、表面利回りで12%というのはかなり高い利回りといえます。

 

もっとも管理費や修繕費、固定資産税といったコストを差し引いたネット利回りになると、おそらく9~10%前後になるのではないでしょうか。いずれにしても、家賃がきちんと明記されていることで、銀行ローン返済などの「資金計画」が立てやすくなることは確実です。こうした意味でも物件広告は隅から隅まできちんとチェックすることが大切です。

 

なお、チラシ②に出てくる「リースバック物件」「リースバック戸建て」ですが、任意売却物件特有のものと言ってもいいと思いますが、ローンを払えなくなってしまったマイホームや事業用資産を売却した人が、そのまま引き続き「賃貸」もしくは「使用」しながら、買主に賃貸料や使用料を支払うという仕組みのものです。

 

要するに、リースバック物件と書いてある物件は、ローンを払えなくなり、物件を売却しなければいけないのですが、そのまま買主に家賃を支払って住み続けていく方法です。

本連載は、2014年10月10日刊行の書籍『任意売却物件ではじめるローリスク不動産投資』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

任意売却物件ではじめる ローリスク不動産投資

任意売却物件ではじめる ローリスク不動産投資

安田 裕次

幻冬舎メディアコンサルティング

サラリーマンが副収入を得る方法として注目を集める不動産投資。しかし不動産は決して安いわけではありません。 初期費用がかかるほどリスクは高くなるため、不動産投資の基本はできるだけ安価で条件の良い物件を探し出すこと…

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