非上場株式売買の場「株主コミュニティ」は有益?
非上場株式に証券取引所はないので、基本的に自由に売買することはできません。しかし、それに近い場は存在します。それが「株主コミュニティ」です。
株主コミュニティとは、日本証券業協会の登録を受けた証券会社が運営する非上場会社とその身近な人たちのための株式取引と資金調達制度です。
その目的は、「非上場のまま資金調達がしたい」「上場せずに低コストで自社株式を取引したい」「株主や地元の投資家が活発に株取引できる場を提供したい」「事業継承したいので分散した株式を買い集めたい」といった非上場会社と、「身近な非上場会社の株取引を通じて、その会社を応援したい」と考えている投資家のマッチングです。
制度の仕組みとしては、登録を受けた証券会社が株式銘柄ごとにコミュニティを組成し、投資勧誘や情報提供によって取引ができます。投資家はコミュニティ参加者に限られ、取引対象も上場銘柄ではないためインサイダー取引規制の対象にはなっていません。
具体的には、「対象となる会社の株主コミュニティを運営する証券会社で参加を申し込む」→「コミュニティに参加する」→「コミュニティ内で株取引を行う」という流れになります。
では、この制度を利用すれば悩みの種となっている非上場株式を売却することができるのかというと、その答えはノーです。
なぜなら、このコミュニティの参加は任意だからです。したがって、第三者の株主を拒む大多数の非上場会社は参加していません。実際に2020年3月時点で参加しているのは、たったの18社です。日本の非上場会社の総数が約217万社ですから、参加率は約0.001%。この制度で少数株主が保有する非上場株式を売却できる可能性は限りなくゼロに近いのです。
このようなことから大多数の非上場会社の株主にとって、株主コミュニティの利用は現実的ではありません。
ちなみに株主コミュニティに関しては、投資対象としてもあまりお勧めできないと個人的には思います。なぜなら、参加会社は有価証券報告書の報告や会計監査の義務がないため、かなり中身が見えにくい状態です。
さらにコミュニティ自体が解散してしまえば、取引する方法は、ほぼ個人売買のみに限られてしまいます。これではほかの非上場株式と同じことになります。
それなら流動性が高く、すぐに現金化できる上場株式へ投資したほうがよいといえるでしょう。
以上のとこから、非上場株式は一般的に換金が困難ですが、実はお宝に変える方法があります。その方法については、次回以降詳しく説明していきます。