
日本の株式会社のうち99.8%は非上場会社。非上場株式にはマーケットがなく、たとえ優良企業の株式でも、なかなか売却することができません。非上場株式には「買い手が見つからない」「見つかっても買い叩かれる」だけでなく、相続税の問題もはらんでいます。ここでは、非上場株式の問題点と、売却して換金する方法を考察していきます。※本記事は、『少数株主のための非上場株式を高価売却する方法』(幻冬舎MC)から抜粋・再編集したものです。
日本の株式会社のうち99.8%は「非上場会社」
非上場株式を換金できずに困っている人が多くいます。2020年3月に上場企業サーチが発表した「日本の各都道府県の株式会社数と上場会社数」から算出すると、日本の株式会社のうち99.8%は非上場会社です。
非上場株式にはマーケットがありません。したがって、非上場株式を所有していてもなかなか売却することはできないのです。それはたとえ業績を大きく伸ばしているような優良企業の株式であっても同様です。
モノの値段は、売買が成立することによって確定します。ところが多くの非上場会社の株式は売買が成立しないため値段がつきません。つまり、値段がつかないものは何千株、何万株持っていても「無価値」なのです。
非上場株式を所有している人が大勢いる状況下でいま、大きな問題が発生しています。たとえば、次のような事例がありました。
このように、非上場株式には「買い手が見つからない」「見つかっても買い叩かれる」といったことのほか、相続税の問題も挙げられます。
税務署がはじき出す非上場株式の資産価値は、独自の計算式によって決まります。それはときに一般的に算出される資産価値をかなり大きく上回ることがあるのです。

しかも、実際には売買が成立しないため現金化できない非上場株式にもかかわらず、多額の納税義務が発生します。相続税の税率は、累進課税制度(租税を賦課〔ふか〕する課税対象が増えるほど、より高い税率を課する課税方式のこと)によって10%から最大55%にもなります。
売りたくても売れない。でも納税は待ったなし――。筆者が代表を務める株式買取相談センターには、このような悲痛の声が全国各地から届いています。
非上場株式を所有するうえで最大の問題は、流動性がないことです。ではなぜ流動性がないのでしょうか。その理由は「会社」が法律で守られているからです。
日本の会社法では、非上場株式の売買をするには取締役会の譲渡承認が必要です。非上場会社の株主の多くは家族・親戚で仲よくやっているのに、どこのだれかもわからない第三者が入ってくることで、会社をめちゃくちゃにされてしまうリスクが高まります。そのため法律上、簡単に株式を売買できないようになっているのです。
また、組織再編や事業譲渡、合併などの株主総会の特別決議が必要なとき以外は、少数株主の買取請求権は行使できません。そのため会社に対しても経営者に対しても、株式を買ってくださいと依頼はできても、拒絶されるとそれ以上は何もできないのです。