「合同イベント」は、5つのCで勝負するべし
合同イベントとは、ここでは求人サービス提供企業(リクナビ、マイナビなど)が開催元となるイベントを指します。「自社単独でイベントを開催しても、人が来てくれるか不安」という企業にとっても、ブース出展型大規模合同イベントであれば、少なくとも候補者の視界に入るきっかけは得られます。
一方で、合同企業説明会は企業ごとのネームバリュー格差がブースへの集客数として可視化される、残酷な場でもあります。あまり知られていない企業が無策で乗り込んでも実りは少ないので、出展するからには十分に事前対策をして臨みましょう。
合同イベントで候補者の興味を引き、ブースへの来場率を高めるためには、次の「5つのC」における工夫が必要です。合同イベントに参加しても来場者と接点を持てない(ブースに立ち寄ってくれない)と悩んでいる場合は、それぞれの「C」において改善の余地がないかどうかを今一度考えてみましょう。
【ブースへの来場率を高める5つのC】
1.Curiosity(好奇心)
興味・関心を引くような仕掛けはあるか(例:誘い文句に他社にない魅力を入れる)
2.Character(キャラクター)
親しみやすさはあるか(例:好感を持たれる担当者をアサインする)
3.Color(カラー)
ブース内の色味や装飾は目を引くか(例:殺風景にならないように装飾する)
4.Call(呼びかけ)
振り向いてもらえるように呼びかけているか(例:参加者に声をかける)
5.Cautiousness(警戒心)
警戒心を高めてしまうような「圧」はないか(例:しつこくしない、意気込みすぎない)
【この記事の画像を見る】に示されているもろおか薬品のように、合同企業説明会の参加者に親しみやすさを感じてもらうために創意工夫する姿勢は、採用担当者であればぜひ見習いたいところです。
手元に置いておきたくなる「採用パンフ・冊子」を作る
スマートフォンでも採用サイトが閲覧可能な今、採用パンフ・冊子は、採用サイトと同じ情報ではなく、その企業の考えやビジョンを示して世界観に引きこまれるような「作品」でなければ無価値です。触れる・手元に保管しておけるという特性を活かし、ターゲット人材の心をガッチリつかむツールとして機能することを目指しましょう。
ここで紹介したい好事例は、ユーザベースの小冊子「31の約束(31PROMISES)(https://seleck.cc/1284)」です。このポケットサイズの冊子は、同社が大切にする「7つのルール」と「31の約束」を伝えるツールとして、非常に効果的に機能しています。
具体的には31の約束それぞれについて、右ページに「DO」として体現できているシーンが、左ページに「DON’T」として体現できていないシーンがビジュアルとともに載せてあり、構成も「見開き」という紙媒体の特性を活かしたものになっています。
表紙の手触り・デザインの良さ、またユーザベースに入社しなかったとしても「社会人として大事にしたい」と感じられる31の行動指針は、手元に置いておきたいと思わせるには十分なつくりとなっており、同社の採用ブランド向上に大きく貢献していることがうかがえます。
インターネットの広まりにより採用パンフ・冊子をつくる企業は減りましたが、紙はその威力を失ったわけではありません。むしろ、多くの企業が採用サイトにシフトした今だからこそ、存在感を持たせるための有効なツールだと言えるでしょう。
人に伝えたくなるクオリティの「採用ノベルティ」
採用に特化したチャネルとして、最後に「採用ノベルティ」の効果的な活用法について紹介します。
採用パンフ・冊子と同様、ノベルティも企業の考えやビジョンを表すものでなければ「捨てづらいゴミ」となります。だからこそ、贈りものとして嬉しく、思わず人に伝えたくなるようなクオリティでこしらえる必要があるでしょう。
たとえば、2008年卒の新卒採用の際に、リクルートメディアコミュニケーションズ(現リクルートコミュニケーションズ)がつくった採用ノベルティ「愛してる が、うまく書けるえんぴつ」は、まさにこれに該当する事例です。
この鉛筆は「コミュニケーションで人を動かす(CREATE NEW COMMUNICATION)」という同社の考えを見事に体現してみせたツールです。贈られた人は思わず「愛してる」と書きたくなる魔法にかかってしまい(実際に書いてしまい)、気づいた時には、自身がコミュニケーションで動いたことを実感しているわけです。
青田 努
LINE株式会社 People Partner室 People Experience Designer
※本連載では、書籍『採用に強い会社は何をしているか 52の事例から読み解く採用の原理原則』より一部を抜粋し、採用活動における事例と原則原理を紹介・解説します。