投資のプロフェッショナルである機関投資家からも評判のピクテ投信投資顧問株式会社、マーケットレポート・ヘッドライン。日々のマーケット情報を専門家が分析・解説します。※本連載は、ピクテ投信投資顧問株式会社が提供するマーケット情報・ヘッドラインを転載したものです。

税務調査を録音することはできるか?
相続税の「税務調査」の実態と対処方法

>>>12/10(火)LIVE配信

 

中国に限りませんが、PMI指標は50が景気拡大・縮小の目安です。その意味では6月の結果は製造業、非製造業とも「合格」といえそうです。ただ、調査データであるPMIは前月との比較が判断基準となる面もあり、現局面のように変動が大きいときは、内容のチェックも求められます。PMIの推移から中国経済はV字型回復と見られますが、回復を維持するうえで課題も見られます。

中国6月のPMI:製造業、非製造業共に景気拡大・縮小の目安となる50を超える

中国国家統計局が2020年6月30日に発表した、6月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は50.9と堅調で、市場予想(50.5)、前月(50.6)を上回りました(図表1参照)。

 

また、6月の非製造業PMIも54.4と、市場予想(53.6)、前月(53.6)を上回りました。なお、PMIは50が景気拡大・縮小の目安です。

どこに注目すべきか:PMI、新規輸出受注、雇用、香港、再感染

中国に限りませんが、PMI指標は50が景気拡大・縮小の目安です。その意味では6月の結果は製造業、非製造業とも「合格」といえそうです。ただ、調査データであるPMIは前月との比較が判断基準となる面もあり、現局面のように変動が大きいときは、内容のチェックも求められます。PMIの推移から中国経済はV字型回復と見られますが、回復を維持するうえで課題も見られます。

 

まず、誤解を招かないよう中国の20年の成長率予想を確認すると、国際通貨基金(IMF)などは1%台のプラス成長を公表しています。ピクテでも中国は20年が1.2%、21年は9.5%と共にプラス成長を見込んでいます。先進国の今年の成長率予想が軒並み大幅なマイナスであることに比べ相対的に中国の成長は堅調です。それでも、今回のPMIからは中国の課題も浮かび上がります。

 

まず、輸出が回復途上な点です。製造業PMIで新規輸出受注を見ると前月の35.3から42.6に「改善」はしていますが、依然低い水準です。中国当局は内需回復策(自動車の補助金)を中心に景気支援策を拡充してきました。輸出の回復には相手国の回復も必要です。

 

次に、内訳で雇用指数を見ると、非製造業の雇用は48.7と5月の48.5とほぼ変わらずでした。製造業の雇用指数は5月の49.4から、6月は49.1と悪化しています。これは中国だけの話ではありませんが、コロナ感染抑制のための経済封鎖で経済は縮小しました。元の状態に戻らなければ労働力が余剰と考えられ、社会的に望ましい姿とは思えません。雇用には改善の余地が相当あると思われます。

 

なお、雇用指数との関係は不明ですが、企業規模別指数では大企業(52.1)と、中堅企業(50.2)は5月を上回る一方で、中小企業は48.9と5月の50.8を下回りました。雇用の受け皿として中小企業への対応が求められそうです。

 

最後に、PMI以外の課題を2つ挙げると、1つ目は香港問題、2つ目は北京を中心としたコロナ感染再拡大懸念です。香港問題の影響は米国の出方次第と見ています。普通に考えれば米中とも関係を悪化させる経済的余裕は無いはずです。ただトランプ政権の政策は想定しがたい面も見られます。

 

北京などのコロナ感染再拡大は今のところ地域的に限定されているようです。中国の1日当たり地下鉄利用者数をみると、北京周辺では利用が減っていますが、上海周辺での影響は限定的です。もっとも、今回影響が小さいと見られる上海でも、コロナ発生前の昨年の水準は回復しておらず、息の長い経済対策が今後も求められると思われます。

 

月次、期間:2016年6月~2020年6月 出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成
[図表1]中国製造業と非製造業PMIの推移 月次、期間:2016年6月~2020年6月
出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成

 

日次、期間:2019年11月5日~2020年6月30日、7日移動平均 出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成
[図表2]中国(北京、上海)地下鉄網1日当たり利用者の推移 日次、期間:2019年11月5日~2020年6月30日、7日移動平均
出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『中国PMIに見え隠れする今後の課題』を参照)。

 

(2020年7月1日)

 

 

梅澤 利文

ピクテ投信投資顧問株式会社

運用・商品本部投資戦略部 ストラテジスト

 

カメハメハ倶楽部セミナー・イベント

 

【11/19開催】相続税申告後、
約1割の人が「税務調査」を経験?!
調査の実態と“申告漏れ”を
指摘されないためのポイント

 

【11/19開催】スモールビジネスの
オーナー経営者・リモートワーカー・
フリーランス向け「海外移住+海外法人」の
活用でできる「最強の節税術」

 

【11/23開催】ABBA案件の
成功体験から投資戦略も解説
世界の有名アーティスト
「音楽著作権」へのパッション投資とは

 

【11/24開催】事業譲渡「失敗」の法則
―M&A仲介会社に任せてはいけない理由

 

【11/28開催】地主の方必見!
相続税の「払い過ぎ」を
回避する不動産の評価術

 

【ご注意】
●当レポートはピクテ投信投資顧問株式会社が作成したものであり、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的としたものではなく、また特定の銘柄および市場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。
●運用による損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。当レポートに基づいて取られた投資行動の結果については、ピクテ投信投資顧問株式会社、幻冬舎グループは責任を負いません。
●当レポートに記載された過去の実績は、将来の成果等を示唆あるいは保証するものではありません。
●当レポートは信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、その正確性、完全性、使用目的への適合性を保証するものではありません。
●当レポート中に示された情報等は、作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。
●投資信託は預金等ではなく元本および利回りの保証はありません。
●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構の対象ではありません。
●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資家保護基金の対象とはなりません。
●当レポートに掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するものではありません。

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録