中国PMIに見え隠れする今後の課題

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中国に限りませんが、PMI指標は50が景気拡大・縮小の目安です。その意味では6月の結果は製造業、非製造業とも「合格」といえそうです。ただ、調査データであるPMIは前月との比較が判断基準となる面もあり、現局面のように変動が大きいときは、内容のチェックも求められます。PMIの推移から中国経済はV字型回復と見られますが、回復を維持するうえで課題も見られます。

中国6月のPMI:製造業、非製造業共に景気拡大・縮小の目安となる50を超える

中国国家統計局が2020年6月30日に発表した、6月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は50.9と堅調で、市場予想(50.5)、前月(50.6)を上回りました(図表1参照)。

 

また、6月の非製造業PMIも54.4と、市場予想(53.6)、前月(53.6)を上回りました。なお、PMIは50が景気拡大・縮小の目安です。

どこに注目すべきか:PMI、新規輸出受注、雇用、香港、再感染

中国に限りませんが、PMI指標は50が景気拡大・縮小の目安です。その意味では6月の結果は製造業、非製造業とも「合格」といえそうです。ただ、調査データであるPMIは前月との比較が判断基準となる面もあり、現局面のように変動が大きいときは、内容のチェックも求められます。PMIの推移から中国経済はV字型回復と見られますが、回復を維持するうえで課題も見られます。

 

まず、誤解を招かないよう中国の20年の成長率予想を確認すると、国際通貨基金(IMF)などは1%台のプラス成長を公表しています。ピクテでも中国は20年が1.2%、21年は9.5%と共にプラス成長を見込んでいます。先進国の今年の成長率予想が軒並み大幅なマイナスであることに比べ相対的に中国の成長は堅調です。それでも、今回のPMIからは中国の課題も浮かび上がります。

 

まず、輸出が回復途上な点です。製造業PMIで新規輸出受注を見ると前月の35.3から42.6に「改善」はしていますが、依然低い水準です。中国当局は内需回復策(自動車の補助金)を中心に景気支援策を拡充してきました。輸出の回復には相手国の回復も必要です。

 

次に、内訳で雇用指数を見ると、非製造業の雇用は48.7と5月の48.5とほぼ変わらずでした。製造業の雇用指数は5月の49.4から、6月は49.1と悪化しています。これは中国だけの話ではありませんが、コロナ感染抑制のための経済封鎖で経済は縮小しました。元の状態に戻らなければ労働力が余剰と考えられ、社会的に望ましい姿とは思えません。雇用には改善の余地が相当あると思われます。

 

なお、雇用指数との関係は不明ですが、企業規模別指数では大企業(52.1)と、中堅企業(50.2)は5月を上回る一方で、中小企業は48.9と5月の50.8を下回りました。雇用の受け皿として中小企業への対応が求められそうです。

 

最後に、PMI以外の課題を2つ挙げると、1つ目は香港問題、2つ目は北京を中心としたコロナ感染再拡大懸念です。香港問題の影響は米国の出方次第と見ています。普通に考えれば米中とも関係を悪化させる経済的余裕は無いはずです。ただトランプ政権の政策は想定しがたい面も見られます。

 

北京などのコロナ感染再拡大は今のところ地域的に限定されているようです。中国の1日当たり地下鉄利用者数をみると、北京周辺では利用が減っていますが、上海周辺での影響は限定的です。もっとも、今回影響が小さいと見られる上海でも、コロナ発生前の昨年の水準は回復しておらず、息の長い経済対策が今後も求められると思われます。

 

月次、期間:2016年6月~2020年6月 出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成
[図表1]中国製造業と非製造業PMIの推移 月次、期間:2016年6月~2020年6月
出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成

 

日次、期間:2019年11月5日~2020年6月30日、7日移動平均 出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成
[図表2]中国(北京、上海)地下鉄網1日当たり利用者の推移 日次、期間:2019年11月5日~2020年6月30日、7日移動平均
出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『中国PMIに見え隠れする今後の課題』を参照)。

 

(2020年7月1日)

 

 

梅澤 利文

ピクテ投信投資顧問株式会社

運用・商品本部投資戦略部 ストラテジスト

 

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ピクテ投信投資顧問株式会社
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日系証券会社のシステム開発部門を経て、外資系運用会社で債券運用、仕組債の組み入れと評価、オルタナティブ投資等を担当。運用経験通算15年超。ピクテでは、ストラテジストとして高度な分析と海外投資部門との連携による投資戦略情報に基づき、マクロ経済、金融市場を中心とした幅広い分野で情報提供を行っている。経済レポート「今日のヘッドライン」を執筆、日々配信中。CFA協会認定証券アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

著者紹介

ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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