IMFは世界経済の見通しを下方修正

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供する「市川レポート」を転載したものです。

 

●IMFは世界経済見通しを下方修正、2020年は前年比-4.9%、2021年は同+5.4%を予測。

●2020年は日米欧などの先進主要国や中南米の主要国、また産油国で景気後退が見込まれる。

●感染第2波が世界経済や金融市場を左右、目先は米国の感染者数動向に十分な注意が必要。

IMFは世界経済見通しを下方修正、2020年は前年比-4.9%、2021年は同+5.4%を予測

国際通貨基金(IMF)は6月24日、世界経済見通しを改定しました。2020年の世界経済の成長率見通しは、前回4月時点から1.9%ポイント下方修正され、前年比-4.9%となりました(図表1、2)。大半の国について消費の伸びが下方修正され、2020年は深刻な景気後退に陥るとの見方が示されました。IMFによるベースライン予測は、世界の経済活動は2020年第2四半期に底を打ち、その後回復に向かうというものです。

 

このベースライン予測に基づき、2021年の世界経済の成長率は、前年比+5.4%へ上昇するとの見通しが示されましたが、これは4月時点から0.4%ポイント下方修正された水準となります。なお、IMFは、2021年初めに感染第2波が発生するリスクシナリオも検証しています。このリスクシナリオが実現した場合、前年比+5.4%を見込んでいた2021年の世界経済の成長率は、前年比で4.9%下振れし、同年の成長率はほぼゼロとなります。

2020年は日米欧などの先進主要国や中南米の主要国、また産油国で景気後退が見込まれる

先進諸国の経済成長率見通しについては、2020年が前年比-8.0%(4月時点から1.9%ポイント下方修正)となり、米国や日本、英国、ドイツなどで景気後退が見込まれています。2021年には同+4.8%に回復する見通しですが、GDPの水準としては、2019年を約4%下回ったままとなります。なお、米国と日本の経済成長率見通しは、2020年、2021年ともに下方修正されています。

 

新興諸国の経済成長率見通しについては、2020年が前年比-3.0%(4月時点から2.0%ポイント下方修正)となりました。中国では、すでに景気回復が進みつつあり、2020年は同+1.0%の成長が予想されています。一方、ブラジルやメキシコ、ロシアやサウジアラビアなどは深い景気後退に陥るとみられます。ただ、2021年の新興諸国の経済成長率は、主に中国の景気回復(2021年は同+8.2%の予測)を反映し、同+5.9%まで持ち直す見通しです。

感染第2波が世界経済や金融市場を左右、目先は米国の感染者数動向に十分な注意が必要

今回のIMFによる世界経済見通しの下方修正については、ある程度、市場でも予想されていた範囲内だったと思われます。また、世界の経済活動が2020年第2四半期に底を打ち、その後回復に向かうがペースは緩やか、というのも、大方、市場で想定されているシナリオと考えます。したがって、この先、世界経済や金融市場を左右するのは、やはり「新型コロナウイルスの感染第2波の動き」、ということになります。

 

6月24日付レポート『リスク要因の検証~コロナ感染動向や米中関係など』で、米国の感染者数動向は、予断を許さない状況と述べましたが、同日、米フロリダ州、カリフォルニア州、テキサス州で、新規感染者数がそれぞれ、5,508人、7,149人、5,551人となり、過去最多を更新しました。感染拡大が他の州に広がれば、米国経済の下押し圧力となり、金融市場に動揺が広がる恐れもあるため、目先は米国の感染動向に十分な注意が必要です。

 

(注) 見通しは2020年6月24日時点。単位は%。修正幅は2020年4月14日時点の見通しとの比較。アセアン5カ国はインドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナム。 (出所) IMFの資料を基に三井住友DSアセットマネジメント作成
[図表1]IMFの世界経済見通し (注) 見通しは2020年6月24日時点。単位は%。修正幅は2020年4月14日時点の見通しとの比較。アセアン5ヵ国はインドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナム。
(出所) IMFの資料を基に三井住友DSアセットマネジメント作成

 

(注)見通しは2020年6月24日時点。単位は%。修正幅は2020年4月14日時点の見通しとの比較。アセアン5カ国はインドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナム。 (出所)IMFの資料を基に三井住友DSアセットマネジメント作成
[図表2]IMFの世界経済見通し (注)見通しは2020年6月24日時点。単位は%。修正幅は2020年4月14日時点の見通しとの比較。アセアン5ヵ国はインドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナム。
(出所)IMFの資料を基に三井住友DSアセットマネジメント作成

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『IMFは世界経済の見通しを下方修正』を参照)。

 

(2020年6月25日)

 

 

市川 雅浩

三井住友DSアセットマネジメント シニアストラテジスト

 

三井住友DSアセットマネジメント株式会社 シニアストラテジスト

旧東京銀行(現、三菱UFJ銀行)で為替トレーディング業務、市場調査業務に従事した後、米系銀行で個人投資家向けに株式・債券・為替などの市場動向とグローバル経済の調査・情報発信を担当。
現在は、日米欧や新興国などの経済および金融市場の分析に携わり情報発信を行う。
著書に「為替相場の分析手法」(東洋経済新報社、2012/09)など。
CFA協会認定証券アナリスト、国際公認投資アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員。

著者紹介


調査部は、総勢25名のプロフェッショナルを擁し、経済や金融市場について運用会社ならではの高度な分析を行い、それぞれの見通しを策定、社内外に情報発信しています。三井住友DSアセットマネジメントの経済・金融市場分析面での中枢を担っている他、幅広い投資家に良質な情報を伝えるべく、活動する機会や媒体は多岐にわたります。年間で約1,000本の市場レポートを作成し、会社のホームページで公開中(2018年度実績)。

著者紹介

連載【市川雅浩・シニア ストラテジスト】マーケットレポート/三井住友DSアセットマネジメント

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