酸素を運べない「ドロドロ血液」が全身に及ぼす悪影響
私たちの身体の血管のなかには、体内の細胞にくまなく酸素を運ぶためにたくさんの赤血球があります。この赤血球は骨髄で毎日2000億個つくられています。赤血球の寿命は約120日間で、その間に20〜30万回ほど全身を循環して酸素を運んでいます。
古くなった赤血球は脾臓(ひぞう)や肝臓などのマクロファージ(白血球の1種)に捕捉され、分解されて壊れてゆきます。ウンチや小水が黄色いのは、壊れた赤血球の残骸(ビリルビン)の色です。
健常者の血液を見ると、赤血球は1個1個独立して血液中を流れています。しかし、糖化が起こると、本来はバラバラに存在している赤血球が変形したり、硬貨が連なったような形になる連銭形成(れんせんけいせい)を起したり、ついには、団塊化したりします。変形したり連銭形成した赤血球では、酸素を十分に運べません。
私たちの身体は37兆もの体細胞でつくられており、血糖(グルコース、ブドウ糖)は、細胞のエネルギー源となります。細胞のミトコンドリアが、ブドウ糖(血糖)を酸素に結合させて(燃焼させて)、細胞が直接使えるエネルギー源ATP(アデノシン3リン酸)をつくります。いわば、ブドウ糖が原油なら、ATPはきれいなガソリンです。先述したように、これが生命を維持する代謝です。
その作用に必要な酸素が赤血球によって運ばれなくてはたいへんなことになります。一般的にいう「血液ドロドロ」では、正しく酸素を運べません。すなわち、生きてはいけません。身体の免疫力や自然治癒力が衰え、さまざまな部位に不調をきたすようになります。その大きな原因は血糖値スパイクにあったのです。
永田 勝太郎
千代田国際クリニック 院長
医学博士