「暴言をやめたい気持ちはある。でもやめられない」
人生をおろそかにせず、他人を傷つけず、社会を乱さない生き方がもっともよい、と私は思っています。暴言がやめられないとはいうものの、そんなことは敦史さんも十分にわかっていることでしょう。しかし、やめたいけど、やめられない。
では、どうすればいいのでしょうか? 私の場合、アメリカで牧師、著述家として活躍した、積極思考で有名なジョセフ・マーフィーの次の言葉を口ずさんでいました。
「現実の自分よりも、理想の自分を愛しなさい。そして、理想の自分で他人と接すれば、他人からも評価を受けます」
思いは必ず現実化します。敦史さんもこの言葉をつぶやき、役者になったつもりで、この言葉どおりの行動してみるといいでしょう。
役者にとって大切な要素は、自分の感情をコントロールすることです。役者を目指して自分の感情をコントロールするよう心がけているうちに、普段でも感情のコントロールができるようになった人を、私は知っています。
最初は自意識が邪魔をして、抵抗があるかもしれませんが、他人から評価されるようになるので、やってみる価値はあります。いくらか承認欲求も満たされるでしょう。ゲーム感覚で演じてみればいいのです。
このほかにも、理想の自分に合った言葉が見つかれば、その言葉のとおり行動してみてください。言葉だけでなく、好きな役者や歴史上の人物でもかまいません。この人なら、どんな行動をするだろうかと考えて行動するのは楽しいものです。気持ちに余裕が出てくるでしょう。
敦史さんの場合、寂しいながらも悠々自適の生活を送っているわけですから、暴言さえ治まればイライラすることは激減するかと思います。そのためにも理想の自分を演じることが近道です。他人から評価されるのはうれしいことですので、暴走から遠ざかることができるでしょう。人とのコミュニケーションも楽しくなってくると思います。
<50代から「定年後の自分」を育てるヒント>
●定年後、最も深刻なのは「孤独」の問題であり、孤独が暴走の引き金になる。統計的にも暴走老人が決して少なくなく、事件にまで発展しやすいことを理解しておく。
●人間の行動を調節し、極端に走らないようにしているのが前頭葉の働きである。年を取ると、前頭葉の機能が低下するので、暴言を吐いたり、他人と言い争ったりしがち。前頭葉はストレスに弱いので、自分の好きな言葉をつぶやいたり、好きなことを趣味にしたり、理想の自分を演じたりするなどして、常に気分を明るくするように努める。