今回は、巨大IT企業「グーグル」が所有する8つの事務所と不動産投資額の詳細を見たうえで、サンフランシスコ不動産市場への影響を考察します。

ベイエリア各地に巨大な事務所を所有しているグーグル

今回は、グーグルの8つの拠点の詳細と、不動産投資への関わり方を説明します。まずは、8つの拠点の特徴をそれぞれ見ていきましょう。

 

①サンフランシスコ:70万SQFT(6万3000平米)の事務所賃借。

 

②サンブルーノ:YouTube部門の事務所2棟所有・1棟賃借(大家:ギャップ)。この他、直近YouTube本社に隣接する事務所ビル5棟(55万SQFT=5万平米、テナント:ウォルマート・オラクル)を2億1500万ドルで買収。

 

 

③レッドウッドシティー:パシフィックショア地区にある事務所ビル6棟所有(93万4000SQFT=8万4000平米、但し他社へ賃貸中)。2014年10月5億8500万米ドルでブラックストーンおよびスターウッドより買収。

 

 

④パロアルト:イーストミドウサークル地区に事務所ビル10棟所有(2013年に6000-7000万米ドルで買収)。今年になって隣接するビル2棟も買収。

 

 

⑤マウンテンビュー本社(上記パロアルト土地を含め、500エーカー=200万平米):ノースベイ・ショア地区に12棟の事務所ビル所有・賃借、またグーグル社宅建設(1万3600人)も計画中。

 

 

 

同時に本社があるノースショア地区の101を挟んで南、テラベラ地区での事務所・住居・商業施設等の7エーカー(=2万9000平米)の複合不動産開発も地元デベロッパーとともに手掛けております。

 

 

⑥サニーベール:モフェットプレイスと呼ばれる事務所ビル[現在建設中]の賃借(10棟、1900万SQFT=17万1000平米)。

 

 

⑦NASAモフェットフェデラルフィールド:連邦政府より賃借。

 

⑧サンノゼ北部:本年初2棟(合計17万4000SQFT=1万6000平米)の事務所ビル賃借を決定。マウンテンビュー本社集中を分散する方向転換。

 

 

この他にも、イーストベイ・アラメダ(オークランドに隣接)にある海軍航空基地の賃借継続と一部購入の計画を発表しています。ここでは再生エネルギー事業(Makani Power)を展開しています。

 

 

また、コロラド州ボルダーでは、昨年コロラド大学ボルダー校そばに4エーカーの土地を確保し、33万SQFT・4階建てのキャンパス(事務所ビル)を新たに建設する計画。それにより従業員は現在の340人から1500人に増加する見込み。これにより、ボルダーの住宅価格は過去5年で38%増加しています。

 

ご存知の方も多いと思いますが、5万5000人(2015年9月末現在)いるという従業員はベイエリア全域に配車されている、WiFi環境の整ったグーグルバスを使って各拠点に通勤することができます。

 

グーグルに後押しされるサンフランシスコ不動産市況

もう一度グーグルの財務データを見てみましょう。

 

 

 

不動産を含めた設備投資額(昨年度1兆円超)と株式による役員・従業員向けの報酬支払(昨年度約1兆円)が莫大であることが確認できます。

 

つまり、時価総額のベースとなるEBITDA(デットサービス・減価償却前営業利益)が潤沢である限り、自らも不動産投資を行いますし、株で配分された役員・従業員が住宅購入に充てられる可能性が高く、サンフランシスコベイエリア全体の不動産市場を後押しすることになるのは必然です。

 

 

次の地域別売上推移をご覧ください。米国以外の売り上げが約半分を占めることから、米国はまだしも、世界的に景気後退があった場合はなんらかの影響を受ける可能性があるのですが、同社は2014年に中国から撤退していることから、中国から直接的な打撃は極めて少ないと言えるでしょう。

 

 

 次回は、アップルについて見ていきます。

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