後場(=午後の取引)で値上がりする株を狙うトレード
一般的に、トレードスタイルにかかわらず、株式の売買を後場に限定して行う参加者は少数です。しかし、ニュースで買いを入れたり、投資資金が大きいため分散して買う必要があったり、デイトレーダーだったりすると、後場(=午後の取引)に狙って株価を買い上げる参加者もいます。その流れに乗る形で利益をとるトレード手法を持っておくことは、投資成績で一歩抜きんでた結果を得るために重要といえます。
後場に株価が上がる場合、大まかに2つのパターンがあります。1つ目は、個別材料の発表で注目が集まる場合です。そして、すでに日足(=相場の動きを1日単位で表したもの)で強い上昇トレンドを示しており、前場(=午前の取引)は時間調整の保ちあいだった場合です。
個別材料の場合、その銘柄のチャートが買いに適していなくても、一気に大陽線(陽線のうち、特に幅の長いもの/陽線=株価の動きをローソク足で表す際、始値に比べて終値が高かった場合、一般的に白で表示される線)を付けることも珍しくありません。
こういった銘柄をお昼休みに見つけておくには、株式サイトのニュース欄をこまめにチェックする癖をつけておきましょう。そして、後場までに自分の使っている証券会社のリストに入れておきます。さらに、出来高を伴った株価の上昇が確認でき次第、飛び乗りましょう。このパターンでは、デイトレーダーのように市場に張り付いていられるほうが有利です。しかし、市場をずっと見ていられない兼業投資家の方でも、2、3銘柄に買い注文を入れておくことで、利益を取れる可能性が出てきます。
次に、すでに日足で強い上昇トレンドを示している銘柄が、前場に調整、または保ちあいだった場合のトレードです。この場合、株価が後場に上がる理由もある程度はっきりしているので、仕掛け待ちになります。お昼休みにその銘柄の前場の値幅と、相場全体の地合いを確認しておき、寄り付きで買い注文を入れておいてもいいでしょう。万が一、後場に調整するようなら、逆指値売りを入れておけば損失を限定できます。
以上2つのケースを紹介しました。後場は全体の出来高が少ないので、テーマや地合いをよく確認して銘柄を絞り込むと良いでしょう。
後場のエントリーで「思わぬ損失」を防ぐ方法は?
後場にエントリーする際の狙い目を紹介しましたが、後場のエントリーは比較的リスクの高いトレードになります。そのため、思わぬ損失を被ることもあるでしょう。それを防ぐための注意点を紹介します。
特にデイトレーダーにありがちなのが、前場で値幅が十分に出てしまっている銘柄を買うケースです。午前中の出来高と値幅が大きいと、つい午後も値動きが良いのではないかと思ってエントリーしてしまう場合があります。たしかにモメンタムの観点からすると間違いではないのですが、すでに1日の値幅が出てしまっていると高値掴みになってしまいます。
これを避けるには、ATR(Average True Range)という指標を確認することをお勧めします。大まかな意味は、1日の値幅がどれくらいになりそうか、という目安を前日のローソク足と当日のローソク足から算出する指標です。詳細は省きますが、使い方としては、14日平均のATRが3%で、当日の値幅が3%に達していたら、高値更新はあきらめるといった感じです。
個別銘柄のATRに加えて、全体の地合いと対象銘柄の日足チャートを確認するのも有効でしょう。後場は値動きが小さくなりやすいので、3~5銘柄に目星をつけ、思ったように値動きが出なければ、その日はあきらめるくらいの気持ちで取り組めば、中長期で勝てるトレードができるはずです。
株のデイトレードは前場が簡単なのか?
ここまで、後場の株トレードについて紹介してきました。しかし、デイトレードに特化するなら、後場よりも前場のほうが簡単といえます。その理由は、株式市場の参加者の多くは寄り付きから30~40分でその日の売買を集中して終わらせるからです。この時間に1日の出来高の半分程度が処理され、株価の変動幅も短時間で大きくなります。
前場の寄り付きエントリーで難しいのは、前日からの連続性がないという点です。たとえば、地合いが良くなりそうなニュースが飛び込み、寄り前の板がギャップアップの場合、ATRを超えるようなギャップアップで寄り付くと、買いで入りにくくなってしまいます。なぜなら、寄り高で下げる危険性が高くなるからです。逆に、前日終値より安く始まる場合、そのまま下げてしまう恐怖と戦うことになります。
以上のような危険もありますが、基本的に、地合いと日足のトレンドで条件を決めておけば、大きく負けることは少ないので、デイトレに限っていえば寄り付きから40分以内を目安に1%の利益を目指すほうが良いでしょう。