投資信託説明書(交付目論見書)の読み方
投資信託を選ぶ際には、投資対象(株式・債券・REITなど)と運用方針(パッシブ運用、アクティブ運用)の2つを確認しておくことが欠かせません。(関連記事:初心者おすすめの「つみたてNISA」、デメリットは意外にも…)
これらは、投資信託を購入する際に必ず渡される投資信託説明書(交付目論見書)に書かれています。よってここでは、その見方をおさえておきましょう。
例として、「サイズバランスファンド」という投資信託の目論見書を読んでみます。
投資信託の基本的な仕組みを把握する
まずは①の「ファンドの特色」という欄を見てください。
この欄で、その投資信託の基本的な仕組みを把握することができます。また、各資産の運用割合がグラフで示されています。この部分から、「サイズバランスファンド50」は株式の成長力と債券の安定性をあわせ持った商品であることも分かります。
もし、より株式の成長力を優先したいということであれば「サイズバランスファンド70」、株式の成長力は期待したいけどちょっと怖いなと感じる人は「サイズバランスファンド30」を選ぶという方法も考えられます。
どちらの運用方針なのかチェックする
次に、その資産に対してどのようなスタンスで投資しているかという運用方針をチェックします。
運用方針については、大きく「パッシブ運用」と「アクティブ運用」の2つに分けることができます。②の部分を見ると、この投資信託は「合成ベンチマークに連動する」と書いてあるので、パッシブ運用であることが分かります。(関連記事:「この投資信託はリスクが低い」の意味、正しく言えますか?)
ベンチマークとは、投資信託の値動きの基準となる指標のことです。
頭に「合成」とついているのは、この投資信託は国内株式から外国債券までの4つの資産で運用しているため、それぞれの資産の指標を、それぞれの投資割合に応じて組み合わせてベンチマークとしているという意味です。
その合成ベンチマークに連動させるように運用しています。一言で言えば、いろんな資産を組み合わせているけど、ひとつひとつの資産はそれぞれのベンチマークに連動させるように運用しているという意味です。
結果として、信託報酬が低めになっています。ここまで読み取ることができれば、その投資信託の8割は理解したと言っても過言ではありません。
過去どのように値動きしたのか、運用実績を確認する
その後に確認したいのは運用実績です。
③の基準価額の推移グラフによって、その投資信託が過去どのように値動きしたのかを確認することができます。
この投資信託は名前の通りバランス型の投資信託なので、比較的安定した値動きを示しています。
また、④の「年間収益率の推移」欄で、その年ごとの値動きを確認することができます。特に2008年にはリーマンショックがあったので、大きく値下がりしたことが分かります。
つみたてNISAは、販売手数料のない信託投資限定!
つみたてNISAで購入できるのは販売手数料のかからない投資信託のみに限定されているため、どの金融機関でも、どの投資信託でも、販売手数料は差し引かれません(ただし、ETFに関しては売買に手数料がかかります)。
このように、販売手数料のかからない投資信託のことを略して「ノーロード」と呼んでいます。「ロード(load)」には上乗せするという意味があり、手数料を上乗せしないので、「ノーロード投資信託」あるいは「ノーロードファンド」と呼んでいます。
「信託財産留保額」は主に解約時に差し引かれるものですが、多くの投資信託で差し引かれなくなっています。
もし信託財産留保額が差し引かれる場合でも、長期投資が前提となるつみたてNISAでは、影響が軽微なことがほとんどなので、商品を選ぶときに重要視しなくても良いでしょう。
最も注目したいのは、「運用管理費用」
手数料の中でもっとも注目したいのは⑤の「運用管理費用(信託報酬)」です。
これは管理手数料のようなもので、随時差し引かれるものです。投資が長期間に及ぶほど影響が大きくなります。
ただし、つみたてNISAで選択できる投資信託は、この信託報酬率が比較的低くなっているものがほとんどです。傾向としては、アクティブ型の投資信託はこの信託報酬率が高くなりやすいので、どの程度かかるのかについて、しっかりと確認しておいた方が良いでしょう。
目安として、信託報酬率が0.5%を上回るものに関しては、それに見合った運用の工夫をしているのかをチェックしておきたいものです。その結果、もし納得できるのであれば、もちろんその商品を選んでも良いでしょう。
必ずしも「信託報酬が低い投資信託=良い投資信託」というわけでもないので、信託報酬ばかりに注目しないようにしましょう。
プルーデント・ジャパン 代表取締役
瀧川 茂一
ファイナンシャル・プランナー
小山 信康