お手軽な「バランス型」投資信託でも油断は禁物
投資対象がかたよってしまうと、いくら長期投資に挑んでも、リスクが過剰に高まってしまうため、ある程度バランスをとった運用、つまり分散投資を行うことを心がける必要があります。
つみたてNISAで分散投資を行う方法は2つあります。
①複数の資産を組み合わせた投資信託(バランス型)を選ぶ
②特定の資産のみで運用する投資信託を組み合わせる
バランス型は、効率の良い分散投資ができるように、あらかじめ理論的に資産配分が決め
られているものです。単独でもバランスがとれる運用をしているので、「バランス型」
と呼ばれています。
なかには、相場の状況等に合わせてその資産配分を自動的に変更していく投資信託もあます。バランス型の投資信託をひとつ選ぶだけで分散投資ができるので、初心者にとってはお手軽な選択肢と言えます。
しかしお手軽とはいえ、商品ごとにリスクが違うため、バランス型の投資信託であっても、安心とは言い切れません。
バランス型投資信託は株式・債券(国内、外国、新興国)とREITなど、複数の資産で運用されていますが、全体のうちどの程度の割合を株式で運用しているかによって、リスクの大きさが変わります。(関連記事:初心者おすすめの「つみたてNISA」、デメリットは意外にも…)
また、株式の割合が同じでも、そこに新興国株が含まれていると、よりハイリスク・ハイリターンになります。他にも、REITのリスクは株式のそれに比較的近いので、その場合は株式とREITを合わせた割合でリスクの大きさを判断することになります。
このように、「バランス型投資信託」と一言でいっても、内容はさまざまです。
なんだか難しいように感じるかもしれません。実際、バランス型の投資信託は、初心者から見ると中身が複雑すぎるように見えることもあるようです。
しかし、資産のカテゴリーごと(国内株式、外国債券等)の運用割合は、各種資料に必ず示されています。どの程度株式で運用しているのかなど、チェックする必要のあるポイントはいくつかありますが、理論的に効率の良い分散投資を行っている投資信託であることは間違いないので、やはり初心者こそ、このバランス型投資信託の活用を前向きに検討すると良いでしょう。
年齢に合わせてリスクを減らしてくれる運用方法も
そして、もうひとつ気をつけたいポイントがあります。
バランス型投資信託は、常に変動する相場の中で一定のバランスを保ってくれるので、短期的な変動を気にせず積み立て続けることができます。しかし、投資家の状況の変化には対応してくれません。
投資家の状況の変化とは、年齢の変化です。
年齢が高くなってくると、投資で失敗した場合に、その失敗を取り戻すだけの時間的な余裕がなくなります。そのため、年齢が高くなるにつれてリスクの低い運用を行うことは必須となります。
じつは、このような状況の変化を考慮し、年齢に合わせて自動的に少しずつリスクを減らしていってくれる投資信託もあります。そのような投資信託を「ターゲットイヤー型」といいます。
ターゲットイヤー型は、事前にある年(ターゲットイヤー)を定め、そのターゲットイヤーが近づいてくるに連れて、組み入れ資産の比率を変更していく投資信託です。
一般的に、ターゲットイヤーが近づいてくると、リスクの高い資産の組み入れ比率を引き下げ、その分、より安定的な資産の組み入れ比率を引き上げるような組み換えを行います。
仕組みを理解するのは難しくても、とりあえず理論的に自分に合った運用をしたいという人は、このようなターゲットイヤー型を選ぶと良いでしょう。
なお、ターゲットイヤー型を選ぶ際には、次のどちらかを選ぶのがセオリーです。
①自分が生まれた年に近い西暦が示されているもの
②自分が60歳になる頃の西暦が示されているもの
・資産に占める株式の割合
・新興国資産の有無
・REITの有無・割合
・自分の年齢で許容できるリスク
プルーデント・ジャパン 代表取締役
瀧川 茂一
ファイナンシャル・プランナー
小山 信康