年齢やライフスタイルに合わせた投資信託の選び方
つみたてNISAでは、日本全体で約6000本ある投資信託が約180本にまで厳選されています(2020年4月)が、それでもたくさんの商品があるため、迷ってしまうことでしょう。
加えて、どの金融機関でも同じ商品が揃えられているわけではありません。
そこで、証券会社から大和証券、銀行からはりそな銀行を代表に挙げ、それぞれで扱っている投資信託の中から、年齢やライフスタイル別に商品を選ぶ場合のヒントを示していきます。
CASE1:「20歳代前半・独身」の場合
若いうちから積み立て投資を始めるのは、時間的な余裕が生まれるので良いことです。
ただ、漠然とお金を貯めるということにならないように、積み立てた資産で何をしたいのか、何を買いたいのかをあらかじめ明確にしておきましょう。
たとえば、5~10年後の結婚を見据えて積み立てるというのであれば、運用期間が長期とは言えません。長期間の運用を考えていないお金については、より安定的な運用をしたいところです。
そのような場合は、大和証券が取り扱っている「ダイワ・ライフ・バランス30」のように、株式比率の低い商品が向いています。株式比率の高いバランス型投資信託、あるいは株式のみで運用している投資信託では、どうしてもリスクが高くなってしまうためです。
一方、りそな銀行では株式比率の低い投資信託の取り扱いはないので、積立額をおさえながら、「つみたてバランスファンド」を毎月積み立てるという方法が考えられます。
商品ごとにリスクの高さは異なります。「ちょっとリスクが高いかな」と感じる商品であれば、少額ずつ積み立てることで、自分が持つ資産全体に対する影響を小さくするという工夫もできます。
CASE2:「結婚して子どもが生まれた」場合
子どもが生まれると、学資保険への加入を考える人は多いでしょう。学資保険も良いのですが、今後はつみたてNISAも選択肢に入れられるようになります。
この場合は、子どもの高校・大学への入学を見据え、15~18年といった期間での積み立てになると予想されるので、時間的な余裕を持つことができます。加えて、教育費は年々高くなる傾向があるため、ある程度資産を成長させていく必要性もあると考えられます。
そこで、株式の投資割合が高めに設定されている投資信託の活用を検討してみたいところです。「ダイワ・ライフ・バランス70」のようにバランス型でも株式比率の高いもの、あるいは新興国やREIT(不動産)も含めた分散投資を行う「iFree8資産バランス」も良いでしょう。
また、先ほど出てきたりそな銀行の「つみたてバランスファンド」も有効でしょう。なお、「iFree8資産バランス」と「つみたてバランスファンド」は、資産構成に若干の違いはありますが、コンセプトとしては似ている商品となっています。
CASE3:「お試しで投資信託を買いたい」場合
「数万円単位の積み立てではなく、試しにちょっとだけ投資信託を購入してみたい」という方もいるかもしれません。そのような方は、あえて分散投資をせず、値動きの分かりやすい投資信託を選ぶと良いでしょう。
大和証券の「iFree日経225インデックス」やりそな銀行の「Smart-i日経225インデックス」は、日経平均株価と連動した値動きをするので、ニュースで「今日は株が上がりました」などと報道されているのであれば、おおむね同様の結果となります。
値動きをチェックすることで、どのようなときにその投資信託が値上がりするのか、値下がりするのかを学ぶこともできます。
また、あわせて大和証券の「年金積立Jグロース」などを積み立てることで、運用方針(パッシブ運用とアクティブ運用など)の違いや共通点を理解することもできるでしょう。
CASE4:「できる限り資産を増やしたい」場合
できる限り資産を増やしたいという方には、リスクが高くなることを前提として、新興国の資産を組み込んだ投資信託が向いています。
資産の成長力という点では、新興国の魅力は抜きん出ています。そこに期待をかける形の投資です。大和証券であれば「iFree新興国株式インデックス」、りそな銀行であれば「Smart-i新興国株式インデックス」によって、高いリターンを狙うことができます。
CASE5:「外国株式に期待、でも損はしたくない」場合
このような方には、為替ヘッジ付きの投資信託が向いています。
外国株式を組み込んだ投資信託には、たとえば大和証券の「iFree外国株式インデックス(為替ヘッジなし)」、りそな銀行の「Smart-i先進国株式インデックス」がありますが、これらは外国の株式が値上がりしても、円高が進行すると利益が少なくなったり、株式の値上がり以上に為替による損失を被る可能性もあります。
その点、為替ヘッジのある「iFree外国株式インデックス(為替ヘッジあり)」であれば、円高による損失を避けることができる仕組みとなっていて、為替相場の影響を受けないように保険がかけられています。円安になっても収益が増えるといった期待はできませんが、為替リスクを回避したいというのであればこのような投資信託が合うでしょう。
なお、これらはあくまでも一例で、実際にはもっといろいろな種類の投資信託があり、選ぶものも人それぞれ異なるでしょう。他の金融機関の商品もあわせて検討し、自分の考え方や目的に合った商品を選んでください。
プルーデント・ジャパン 代表取締役
瀧川 茂一
ファイナンシャル・プランナー
小山 信康