コロナ・ショックの影響を受けた世界経済の見通し

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供する「市川レポート」を転載したものです。

 

●米国経済は6月から正常化に向かい、2020年の実質GDP成長率は前年比-3.7%を予想する。

●中国の2020年の経済成長率は前年比+4.9%で、日本の2020年度は前年度比で-4.8%に。

●ユーロ圏の成長率は2020年が前年比-5.0%、引き続き、世界の感染動向と政策対応に注意。

米国経済は6月から正常化に向かい、2020年の実質GDP成長率は前年比-3.7%を予想する

弊社は4月16日時点で主要国・地域のマクロ経済見通しを更新しました。今回のレポートでは、米国、中国、日本、ユーロ圏の経済見通しを解説します。なお、見通しについては、「多くの国や地域で、感染抑制のための移動制限措置などが6月前後まで続くものの、7-9月期にはこれらの措置が緩和されて経済活動が再開し、経済対策効果によって、景気はその後も回復基調を維持する」というシナリオを前提としています。

 

はじめに、米国から確認していきます。米国では多くの州がロックダウン(都市封鎖)に踏み切った結果、1-3月期と4-6月期はマイナス成長となり、特に4-6月期の実質GDP成長率は、前期比年率で-25.8%まで落ち込む見通しです(図表1)。ただ、経済は6月から正常化に向かい始め、7-9月期以降はプラス成長に転じるとみています。通年の実質GDP成長率については、2020年が前年比-3.7%、2021年は同+4.0%を予想します(図表2)。

中国の2020年の経済成長率は前年比+4.9%で、日本の2020年度は前年度比で-4.8%に

次に、中国の経済見通しを確認します。中国では、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、1-3月期は大幅なマイナス成長が予想されます(なお、4月17日に発表された1-3月期の実質GDPは前年比-6.8%)。ただ、中国政府はすでに景気対策を強化する方針を決めており、製造業の生産活動は、4月から5月にかけて元の水準に戻ると考えます。そのため、実質GDP成長率は、2020年が前年比+4.9%、2021年は同+6.7%を見込んでいます。

 

日本については、緊急事態宣言が5月6日に予定通り解除されても、全国的な自粛は6月まで続くと想定しています。そのため、日本経済は1-3月期、4-6月期ともにマイナス成長となり、その後、経済活動は正常化へ向かうものの、そのペースは緩やかなものになるとみています。日本の実質GDP成長率については、2020年度が前年度比-4.8%、2021年度は同+2.7%を予想します。

ユーロ圏の成長率は2020年が前年比-5.0%、引き続き、世界の感染動向と政策対応に注意

最後に、ユーロ圏について、域内の新型コロナウイルスの新規感染者数は4-6月期にピークアウトすると想定しています。ユーロ圏経済は、米国、日本と同様、1-3月期、4-6月期ともマイナス成長に陥り、その後は世界景気の回復とともに、製造業の生産活動や輸出が持ち直し、成長ペースは徐々に上向くとみています。通年の実質GDP成長率は、2020年が前年比-5.0%、2021年は同+2.0%を予想します。

 

以上の見通しは、前述の通り、移動制限措置などが7-9月期に緩和され、経済活動が再開することを前提としています。そのため、中国で感染が再拡大した場合や、米欧での感染拡大が長期化した場合は、経済活動の再開時期が遅れ、景気の落ち込みが長期化する恐れもあります。現時点で、その可能性は低いとみていますが、引き続き新型コロナウイルスの世界的な感染動向や、各国の政策対応には注意が必要です。

 

(注)2020年4月16日時点の三井住友DSアセットマネジメントによる見通し。 (出所)各国・地域のデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成
[図表1]主要国・地域の経済成長見通し(四半期) (注)2020年4月16日時点の三井住友DSアセットマネジメントによる見通し。
(出所)各国・地域のデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成

 

(注)2020年4月16日時点の三井住友DSアセットマネジメントによる見通し。日本は年度、数字は前年度比。 (出所)各国・地域のデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成
[図表2]主要国・地域の経済成長見通し(通年) (注)2020年4月16日時点の三井住友DSアセットマネジメントによる見通し。日本は年度、数字は前年度比。
(出所)各国・地域のデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『コロナ・ショックの影響を受けた世界経済の見通し』を参照)。

 

(2020年4月17日)

 

 

市川 雅浩

三井住友DSアセットマネジメント シニアストラテジスト

 

三井住友DSアセットマネジメント株式会社 シニアストラテジスト

旧東京銀行(現、三菱UFJ銀行)で為替トレーディング業務、市場調査業務に従事した後、米系銀行で個人投資家向けに株式・債券・為替などの市場動向とグローバル経済の調査・情報発信を担当。
現在は、日米欧や新興国などの経済および金融市場の分析に携わり情報発信を行う。
著書に「為替相場の分析手法」(東洋経済新報社、2012/09)など。
CFA協会認定証券アナリスト、国際公認投資アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員。

著者紹介


調査部は、総勢25名のプロフェッショナルを擁し、経済や金融市場について運用会社ならではの高度な分析を行い、それぞれの見通しを策定、社内外に情報発信しています。三井住友DSアセットマネジメントの経済・金融市場分析面での中枢を担っている他、幅広い投資家に良質な情報を伝えるべく、活動する機会や媒体は多岐にわたります。年間で約1,000本の市場レポートを作成し、会社のホームページで公開中(2018年度実績)。

著者紹介

連載【市川雅浩・シニア ストラテジスト】マーケットレポート/三井住友DSアセットマネジメント

【ご注意】
●当資料は、情報提供を目的として、三井住友DSアセットマネジメントが作成したものです。特定の投資信託、生命保険、株式、債券等の売買を推奨・勧誘するものではありません。
●当資料に基づいて取られた投資行動の結果については、三井住友DSアセットマネジメント、幻冬舎グループは責任を負いません。
●当資料の内容は作成基準日現在のものであり、将来予告なく変更されることがあります。
●当資料に市場環境等についてのデータ・分析等が含まれる場合、それらは過去の実績及び将来の予想であり、今後の市場環境等を保証するものではありません。
●当資料は三井住友DSアセットマネジメントが信頼性が高いと判断した情報等に基づき作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。
●当資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。
●当資料に掲載されている写真がある場合、写真はイメージであり、本文とは関係ない場合があります。

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

登録していただいた方の中から
毎日抽選で1名様に人気書籍をプレゼント!
会員向けセミナーの一覧