ビデオリサーチ社から関東・関西・名古屋3地区の各民間放送5局を対象にした、2019年(1月~12月)の年間テレビCM出稿動向が公表されました。2019年のテレビCM総出稿量は関東・関西・名古屋3地区ともに、前年と大きく変わらないとの結果になりました。調査の内容を考察します。

初めてテレビCM出稿をした企業の数が増えている

テレビ番組の視聴率などメディアの各種調査を行うビデオリサーチ社はこのほど、関東・関西・名古屋3地区の各民間放送5局を対象に、2019年(1月~12月)の年間テレビCM出稿動向をまとめました。

 

2019年のテレビCM総出稿量は、関東・関西・名古屋3地区ともに前年と大きく変わらず、ほぼ横ばいとなりました。

 

商品種類として出稿量(秒数/関東地区)が最も多いのは「通信・web系サービス」で、前年を上回っています。この傾向は2016年から続いており、「Indeed」、「トリバゴジャパン」などを筆頭に、活況が続いています。

 

2019年のテレビCM総出稿量は、関東・関西・名古屋3地区ともに前年と大きく変わらず、ほぼ横ばいとなった。
2019年のテレビCM総出稿量は、関東・関西・名古屋3地区ともに前年と大きく変わらず、ほぼ横ばいとなった。

 

関東地区における「商品種類別CM総出稿量(2019年1月~12月)」の上位は以下の通りです。

 

・1位:通信・Web系サービス(前年比106.6%)
・2位:普通乗用車(前年比99.3%)
・3位:郵便・電信・電話(前年比96.8%)
・4位:住宅・建材総合(前年比92.3%)
・5位:他の化粧品(前年比101.2%)
・6位:飲食業(前年比99.1%)
・7位:生命保険(前年比98.8%)
・8位:他の非アルコール飲料(前年比118.9%)
・9位:他の金融(前年比111.5%)
・10位:他の食品(前年比111.0%)

 

【出典】ビデオリサーチ
【出典】ビデオリサーチ

 

テレビCMの総出稿量や商品種類に大きな変化はないものの、関東地区において初めてテレビCM出稿をした企業の数は増えてきており(2018年:163社、2019年:192社)、テレビCMのすそ野が少しずつ広がってきていることに、ビデオリサーチでは注目しています。

「渡辺直美」が初のCM女王に

関東地区におけるタレント別CM出稿量・タレント別広告主数では、いずれも「渡辺直美」が2位以下に大きく差をつけて、初の1位となりました。「BOAT RACE振興会」、「アフラック生命保険」など多様な業界のCMに継続的に出演しています。これまでも上位の常連でしたが、2019年のCM出稿量は2年前の2倍になるなど(2017年:154,185秒、2019年:305,580秒)、これまで以上の躍進で初のCM女王に輝きました。

 

なお、ビデオリサーチでは、CM出稿量・広告主数の上位の顔ぶれとして、大手携帯キャリアのCM出演者が多数ランクインしているのが特徴的としています。

 

このほかでは、「マツコ・デラックス」は広告主が2018年の6社から15社と大幅に増え、広告主数3位にランクインしました。タレントイメージ調査(2020年2月調査)の人気度でも上位にランクインしており、生活者・企業の双方から支持を得ていると分析しています。

 

関東地区における「タレント別テレビCM量(2019年1~12月)」の上位は以下の通りです。カッコ内は主な出演CMと前年の年間順位です。

 

・1位:渡辺直美(BOAT RACE振興会/アフラック生命保険 ちゃんと応える医療保険EVER/アフラック生命保険、前年8位)


・2位:濱田岳(KDDI/KDDI 家族割プラス/KDDI auゼロ学割:前年1位)


・3位:桐谷健太(KDDI 家族割プラス/KDDI auゼロ学割/KDDI au WALLET製品:前年2位)


・4位:土屋太鳳(ソフトバンク ウルトラギガモンスター+/日本中央競馬会/コカ・コーラ いろはす:前年11位)


・5位:綾瀬はるか(武田コンシューマーヘルスケア ベンザブロックLプラス/コカコーラ コカコーラ製品/コカコーラ コカコーラプラス:前年3位)


・6位:櫻井翔(アフラック生命保険 生きるためのがん保険Days1/アフラック生命保険 生きるためのがん保険Days1プラス/アサヒ クリアアサヒ:前年7位)


・7位:有村架純(WOWOW 放送案内/リクルートライフスタイル Hot Pepper Beauty/KDDI 家族割プラス:前年12位)


・8位:松田翔太(KDDI 家族割プラス/KDDI auゼロ学割/KDDI au WALLET製品:前年6位)


・9位:田中圭(BOAT RACE振興会/サントリー 伊右衛門 特茶/ソフトバンク ウルトラギガモンスター+:前年421位)


・10位:深田恭子(東京ガス/UQコミュニケーションズ UQ家族割/武田コンシューマーヘルスケア アリナミンA:前年22位)

コロナ後、企業の広告出稿先はどう変化していくのか

以上から、2019年のテレビCM総出稿量は前年とほとんど変わらないことがわかりました。また、足もとのCM出稿量も、ふだんテレビを見ている限り、新型コロナウイルスの影響を大きく受けていないようです。

 

問題は「これから」ですが、在宅勤務の人が増え、テレビの視聴者が多くなっているとみられることから、あまり減らないのではないでしょうか。

 

新型コロナの問題で日本人のライフスタイルが変わり、企業の広告出稿先に変化が出てくるかもしれません。外出する人が減り、電車の乗降客数が減っていることから、実感として鉄道広告が減少していると感じます。

 

その一方で、PCやスマートフォンでWEBのニュースを見る人が増えているため、WEBサイトの広告が増加しているとか、今まであまり見なかったクライアントの広告を見かけるようになった気がします。

 

新型コロナウイルスの問題が解決し、人々の生活が通常モードになっても、テレワーク、リモートワークといった在宅勤務は増えていくという見方をする識者もいます。企業の広告出稿先がどのように変化していくのか、注目し続けましょう。

 

※本連載に記載された情報に関しては万全を期していますが、内容を保証するものではありません。また、本連載の内容は筆者の個人的な見解を示したものであり、筆者が所属する機関、組織、グループ等の意見を反映したものではありません。本連載の情報を利用した結果による損害、損失についても、著者ならびに本連載制作関係者は一切の責任を負いません。投資の判断はご自身の責任でお願いいたします。

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