●日経平均は2012年から続いた上昇トレンドが終了、この先しばらくは下値リスクへの警戒が必要。
●大底を打つ時期は、感染収束のタイミングにもよるが、弊社では4-6月期に収束のシナリオを設定。
●日経平均は7-9月期からの持ち直しを予想、ただ景気や業績への懸念が残り、緩やかなペースに。
日経平均は2012年から続いた上昇トレンドが終了、この先しばらくは下値リスクへの警戒が必要
日経平均株価は、2013年5月高値と2018年1月高値を結んだ上値抵抗線と、2012年10月安値と2016年6月安値を結んだ下値支持線により、これまで緩やかな上昇トレンドを形成していました。過去、人民元切り下げによるチャイナ・ショック(2015年8月)や、米中貿易摩擦問題の深刻化(2018年以降)などの材料も、基本的にはこのトレンド内で消化されてきました。
しかしながら、今回のいわゆるコロナ・ショックによる世界的な株安により、日経平均株価は3月末時点で下値支持線を大きく下抜けました(図表1)。これにより、2012年から続いた上昇トレンドはいったん終了し、この先しばらくは、下値リスクへの警戒が必要となります。実際、日経平均株価は新年度を迎えた4月1日、前日比851円60銭(4.5%)安の18,065円41銭で取引を終え、不安定な値動きが続いています。
大底を打つ時期は、感染収束のタイミングにもよるが、弊社では4-6月期に収束のシナリオを設定
日経平均株価は3月19日に終値ベースで16,552円83銭をつけました。市場では、この水準が日経平均株価の大底となるのか、あるいは、この水準を下抜けて二番底を探りに行くのかが、大きな焦点となっています。今回の株安はウイルスに起因しており、日経平均株価が底を打つ時期は、感染者数が世界的にピークアウトするタイミングにもよるため、非常に難しい判断となります。
弊社では、感染者数について、4-6月期中にいったんピークアウトするというシナリオを設定しています。仮に新年度入り後、早い段階で感染が収束に向かえば、日経平均株価は3月19日の終値を底として、4-6月期中に20,000円台を回復する展開は十分考えられます。しかしながら反対に、感染の収束が遅れた場合は、日経平均株価が3月19日の終値を割り込み、二番底を探る展開も十分想定されます。
日経平均は7-9月期からの持ち直しを予想、ただ景気や業績への懸念が残り、緩やかなペースに
一般に、株価は下落局面で何度か安値を更新するケースが多くみられます。参考までに、リーマン・ショック当時の日経平均株価は、約6ヵ月かけて3番底までつけ、ようやく大底を打ちました(図表2)。単純に今回と比較することは難しいのですが、少なくとも二番底をつけるシナリオは、一応想定しておく必要があると考えます。
弊社では、4-6月期に感染がいったん収束し、日経平均株価は底を打つと予想しています。目先は3月19日の終値を下値目途としますが、収束が大きく遅れた場合、13,800円程度までの下げを見込みます。日経平均株価は7-9月期から年度末にかけて持ち直すと考えていますが、新型コロナウイルスの景気と企業業績に与える影響を慎重に見極めようとする向きは多く、持ち直しのペースは、かなり緩やかなものになると思われます。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『新年度入り後の日本株展望(2020年度)』を参照)。
(2020年4月2日)
市川 雅浩
三井住友DSアセットマネジメント シニアストラテジスト