IMF、新型コロナ感染拡大で新興国への関与の可能性

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国際通貨基金(IMF)が指摘するように、新型コロナウイルスの感染拡大の経済への影響は新興国でも深刻です。ドル建て新興国債券と米国国債との利回り格差(スプレッド)は信用力の悪化懸念で急拡大しています。新興国の中でも産油国は原油価格などの急落もマイナス材料で、IMFの対応が注目されます。

IMF:20年の世界経済見通しがマイナスとなる可能性を示唆し、新興国の影響にも言及

国際通貨基金(IMF)のゲオルギエバ専務理事は2020年3月23日に声明で、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、今年の世界全体の経済成長率がマイナスになるとの見通しを示しました。仮にマイナス成長となれば、リーマン・ショックによりマイナス0.1%の成長率となった09年以来です。

 

また、ゲオルギエバ専務理事は、感染拡大の影響は新興国においてより深刻で、投資家が今年になって新興国市場から830億ドルの資金を引き揚げたと指摘すると共にIMFには1兆ドルの融資能力があることを示唆しました。

どこに注目すべきか:新興国、スプレッド、格付け、調達ギャップ

IMFが指摘するように、新型コロナウイルスの感染拡大の経済への影響は新興国でも深刻です。ドル建て新興国債券と米国国債との利回り格差(スプレッド)は信用力の悪化懸念で急拡大しています(図表1参照)。

 

新興国の中でも産油国は原油価格などの急落もマイナス材料で、IMFの対応が注目されます。新興国すべてに早急な救済が必要というわけではないと見ていますが、反対に、市場の評価から判断して、IMFの支援が必要と思われる具体的な国としてエクアドルやザンビアがあげられます(図表2参照)。両国の価格水準を利回りに換算すると、懸念の目安である50%を上回ること、格付けはC格と新興国でも数少ない低格付けとなっています。格付け会社フィッチ・レーティングスの外貨建て長期債格付けを参照するとエクアドルはCC、ザンビアはCCCとなっています。

 

産油国のエクアドルを例に、低格付けの問題点を振り返ると、まず懸念されるのが、原油価格下落などにより財政が悪化したことによる対外債務返済能力の著しい低下です。フィッチの推計によると、エクアドルの調達ギャップ(要返済額と収入の差異)は今年35億ドル程度が見込まれています。

 

こうした中、3月24日に償還を迎えた債券3億2,500万ドルについては支払うとしたものの、その他の債券(22年、25年、30年償還の各債券)については利払いの条件について債権者との交渉を示唆しています。これを受けフィッチは24日にエクアドルをCCに格下げしました。資金繰りは既に自転車操業となっていることがうかがえます。

 

世界経済減速による原油価格下落に加え、国内事情も厳しくなっています。世論は返済に向けた税制改革に反対で、昨年11月頃は反政府デモが激化しました。加えて、足元では議会が新型コロナウイルスへの対応(エクアドルの感染者数は南米でブラジルに次ぐ規模)を債務返済に優先させるべきと強く求めています。返済はIMF頼りとなりそうです。

 

エクアドルほどではないにせよ、ザンビアも厳しい状況です。ザンビアは銅やコバルトなどが輸出商品ですが、共に不振が続いています。格付け会社S&Pはザンビアの財政赤字対GDP(国内総生産)比率が7%を超えることなどを理由として先月長期債格付けをCCC+からCCCに格下げし、年内の債務返済に懸念があることを示唆しました。どうやら、IMFの動きに注目が必要になりそうです。

 

日次、期間:2019年3月25日~2020年3月24日、1bp=0.01% ※原油先物価格:ニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)で取引される原油先物(軽質スイート原油先物)の先物価格(20年6月現) 出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
[図表1]ドル建新興国債券スプレッドと原油先物価格の推移 日次、期間:2019年3月25日~2020年3月24日、1bp=0.01%
※原油先物価格:ニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)で取引される原油先物(軽質ス
 イート原油先物)の先物価格(20年6月現)
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

 

日次、期間:2019年3月25日~2020年3月24日 出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
[図表2]エクアドルとザンビアのドル建て債券価格の推移 日次、期間:2019年3月25日~2020年3月24日
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『IMF、新型コロナ感染拡大で新興国への関与の可能性』を参照)。

 

(2020年3月25日)

 

 

梅澤 利文

ピクテ投信投資顧問株式会社

運用・商品本部投資戦略部 ストラテジスト

 

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ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト 

日系証券会社のシステム開発部門を経て、外資系運用会社で債券運用、仕組債の組み入れと評価、オルタナティブ投資等を担当。運用経験通算15年超。ピクテでは、ストラテジストとして高度な分析と海外投資部門との連携による投資戦略情報に基づき、マクロ経済、金融市場を中心とした幅広い分野で情報提供を行っている。経済レポート「今日のヘッドライン」を執筆、日々配信中。CFA協会認定証券アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

著者紹介

ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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