ベトナムの不動産市場は発展途上ということもあり、短い期間でめまぐるしく様子が変わります。今回は、為替動向に大きく影響されるベトナム不動産に投資をする際のポイントと、新たに導入された不動産融資に関する規制について見ていきましょう。

「為替の安定」が不動産価格成長を後押し

為替の安定は、不動産市場にどのような影響を与えるのでしょうか?

 

 

実需にわくベトナム不動産市況は、為替動向が大きく影響していると考えられています。投資家たちは、為替の下落局面(ベトナム・ドンが安くなる局面)ではベトナム・ドンでの資産保有を避け、できる限りUSドルといった安定した通貨や安定した通貨建てでの金融資産を保有する傾向にあります。とくに日本と違い、市内でUSドルが流通していたベトナムではその傾向が強くなります。

 

また、ベトナム・ドンの大きな桁を見ると、過去にものすごいインフレがあったことが想像できます。

 

現在のレートは100円が約2万ドン。ベトナムでタクシーに乗ると50万ドン。100万ドンという価格になるので一体いくら払っているのかわからなくなるときがあります。ハイパーインフレという経済用語の定義である月50%には及びませんが、1986年には453%という数字を記録しています。

 

緩やかなインフレは金融資産や不動産の価格が安定的に成長していくので、インフレしている市場に積極的に投資をすることが重要です。もちろん、急激なインフレには注意を配る必要があります。

 

そして近年は為替が安定することにより、インフレも安定し、ベトナム経済に様々な恩恵が出てきています。外国人に限らず、ベトナム人が株式市場、不動産市場に投資を始めており、株式市場は2014年で5.7%、2015年で5.6%という安定した上昇を記録しています。

 

外国人所有権解禁の細則が出たのが2015年12月であることを考えれば、不動産市場においては、外資資金の流入が本格的に始動するのは今年である可能性が高いのではないでしょうか。

不動産価格に影響を与える「融資」という要素

不動産価格については、為替やインフレ率だけが重要な価格決定要素ではなく、もう1つ大きなものに、“融資”というものも存在します。融資が受けやすいと、不動産が買いやすく、価格があがるという一般的な構図です。

 

今年2月ベトナム中央銀行が、不動産融資に規制を導入というニュースがありました。銀行が不動産融資にまわすことができる資金割合を減らすというものです。

 

ホーチミン市不動産協会は反対姿勢を書面で提出しており、まだ先行きは不透明なところがあります。もちろん融資により不動産を購入しているベトナム人もいますが、現在のベトナム人の収入を考えると、都心部の物件についてはなかなか融資を活用しても購入できません。

 

 

つまり、都心部の不動産についてはキャッシュで購入している層が多いため、不動産融資規制の影響は限定的であるといえるのではないでしょうか。

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