米国、新型コロナウイルスへの懸念で経済対策相次ぐ

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米国から新型コロナウイルスへの経済対策として大型の財政政策を想定させる案が表明されました。財政政策は今後、恐らく週末ごろからの下院議会の動きが焦点となりそうです。米政権の危機対応に変化が感じられるなか、経済対策としてリーマンショックが引き合いに出されます。当時繰り出された政策を振り返り、ポイントを述べます。

金融財政政策:米国、景気刺激策と流動性供給を打ち出すも市場の評価は複雑

米国トランプ政権は、2020年3月17日、新型コロナウイルスの感染拡大による経済への悪影響を抑制する対策として、最大1兆2000億ドル(約130兆円)規模の景気対策を検討していることを表明しました。これには、国民1人当たり1000ドル以上を支給する案などが含まれています。

 

また、米連邦準備制度理事会(FRB)はコマーシャルペーパー市場を通じた米企業の借り入れを支援するため、金融危機時に導入したプログラム(CPFF)やプライマリーディーラ向け融資(PDCF)の導入を表明しました(図表1参照)。

 

出所:内閣府、各種報道等を参考にピクテ投信投資顧問作成
[図表1]リーマンショック時における主な対応策 出所:内閣府、各種報道等を参考にピクテ投信投資顧問作成

どこに注目すべきか:CPFF、PDCF、リーマンショック、TARP、金利

米国から新型コロナウイルスへの経済対策として大型の財政政策を想定させる案が表明されました。財政政策は今後、恐らく週末ごろからの下院議会の動きが焦点となりそうです。米政権の危機対応に変化が感じられるなか、経済対策としてリーマンショックが引き合いに出されます。当時繰り出された政策を振り返り、ポイントを述べます。

 

リーマンショックによる景気悪化の対策として、様々な金融・財政政策が打ち出されました。本格的な対応は08年10月に成立した緊急経済安定化法からと見ています。その中心は不良資産救済プログラム(TARP)の枠組みで、図表1の金融機関支援や不良債権処理、危機的な状況に直面した自動車産業の援助への対応が行われました。

 

また、09年1月に当時のオバマ政権は就任直後にアメリカ再生・再投資法案で大規模な(GDP(国内総生産)対比で約5.5%)経済政策を実施しました。

 

金融政策はゼロ金利政策やその後の量的金融緩和(QE)といった有名(?)な政策に加えて、足元FRBが公表したCPの直接購入や、PDCFは流動性対策として当時導入されていました。当時の記録で08年10月より開始されたCP直接購入を振り返ると、08年12月までに3000億ドル程度が購入され、(現在と同様に)低下していた残高が増加に転じ、流動性の回復に一定の効果が見られました。

 

ここまで、リーマンショックに関連する経済対策を振り返ってきました。新型コロナウイルスによる景気悪化への対策も本格化し始めています。過去効果のあった政策の採用など期待したい面もあります。しかし、今回は金融機関の不良資産が引き金となり信用リスクが悪化したリーマンショックとは原因が異なるため、対策も違ったものとなるはずです(図表2参照)。

 

月次、期間:2006年3月~2020年3月(3月16日)、スプレッドは利回り格差 出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
[図表2]米社債(BBB格)、ハイイールド債の対国債スプレッド 月次、期間:2006年3月~2020年3月(3月16日)、スプレッドは利回り格差
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

 

新型コロナウイルスのケースでは、感染拡大抑制や医療崩壊を防ぐことなどが最大の経済政策と思われます。また、経済対策としては、移動の制限などにより低迷する産業や、収入が減少した人への援助が望ましいと思われます。ただ、誰に配分すべきかを特定するのは困難な作業と思われますが、ならば全員給付で規模を競う対応に疑問も残ります。長期金利の微妙な上昇も気がかりです。感染拡大の先行き不透明なのが何と言っても最大の要因ながら、経済対策への評価も市場動向を複雑にしている要因と思われます。

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『米国、新型コロナウイルスへの懸念で経済対策相次ぐ』を参照)。

 

(2020年3月18日)

 

 

梅澤 利文

ピクテ投信投資顧問株式会社

運用・商品本部投資戦略部 ストラテジスト

 

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ピクテ投信投資顧問株式会社
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日系証券会社のシステム開発部門を経て、外資系運用会社で債券運用、仕組債の組み入れと評価、オルタナティブ投資等を担当。運用経験通算15年超。ピクテでは、ストラテジストとして高度な分析と海外投資部門との連携による投資戦略情報に基づき、マクロ経済、金融市場を中心とした幅広い分野で情報提供を行っている。経済レポート「今日のヘッドライン」を執筆、日々配信中。CFA協会認定証券アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

著者紹介

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