中国経済指標、新型コロナウイルスの影響で大幅マイナス

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中国の経済指標は長期トレンドに変化はあるものの、全般に短期的には安定して推移する傾向が見られます。しかし1-2月の主要経済指標は急低下しました。新型コロナウイルスの影響の大きさがうかがい知れます。今回の中国経済指標の特色や、今後の動向についてポイントは次の通りです。

中国1-2月主要統計:市場予想を大幅に下回り、記録的なマイナスに

中国国家統計局が2020年3月16日に発表した1-2月の鉱工業生産は前年比(1-2月)マイナス13.5%と、市場予想(マイナス3%)を下回りました。1-2月の小売売上高は前年比マイナス20.5%と、市場予想(マイナス4.0%)を下回りました。都市部固定資産投資は前年比マイナス24.5%と、市場予想(マイナス2%)を下回りました(図表1参照)。

 

月次、期間:2015年3月~2020年2月、経済指標は左軸、前年比 出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
[図表1]中国の主な経済指標とPMIの推移 月次、期間:2015年3月~2020年2月、経済指標は左軸、前年比
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

 

なお、失業率は6.2%に上昇し、記録上最悪となりました。これで1-3期のGDP (国内総生産)は前年同期比でマイナスとなる公算が高まったと見られます。仮にマイナスとなれば1989年までの比較可能なデータで初のケースです。

どこに注目すべきか:中国経済指標、PMI、発電量、マイナス成長

中国の経済指標は長期トレンドに変化はあるものの、これまで短期的には全般に安定的に推移する傾向が見られました。しかし1-2月の主要経済指標は急低下しました。新型コロナウイルスの影響の大きさがうかがい知れます。今回の中国経済指標の特色や、今後の動向についてポイントは次の通りです。

 

今回の中国主要経済指標は、誰にとっても予想が困難であったと見られます。通常、中国の経済指標は予想値と実績値が比較的近いケースが多く見られます。しかし今回は軒並みマイナスとなったことがまず異例ですが、市場予想と実績のズレがここまで大きいというのも異例と言えるでしょう。

 

予想が難しかった背景として、中国の主要経済指標は春節休暇への対応から1月と2月を合わせるため、そもそも取り扱いが変則的なうえ、最も大きな理由として、今回は新型コロナウイルスの影響の織り込み開始時期が不確定要因です。武漢閉鎖が事実上開始された1月23日や、中国の団体旅行が禁止された1月27日頃が目安にはなるでしょうが。

 

前例が無いに等しいイベントだけに、どこにどの程度影響するかの見極めも困難です。例えば、小売売上高をセクター別に見ると、1-2月に不調であったのは、外食や自動車、家具などでした(図表2参照)。一方、上位3セクターは食料、飲料、医療品と顔ぶれはこちらも想像は出来ますが、昨年12月と同程度を確保できたのは食料だけで、恐らく供給体制が不十分であったことから医療品などは12月を下回るなど、どの程度売れるかを想定するのも困難でした。

 

月次、期間:2019年12月(左)~2020年1-2月期(右)、前年比 出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
[図表2]中国小売売上高の主なセクターの推移 月次、期間:2019年12月(左)~2020年1-2月期(右)、前年比
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

 

しかし、過去の数字より、重要なのは今後の動向を占うことです。そこで、ひとつの目安として期待されるのが製造業/非製造業購買担当者景気指数(PMI)です(図表1参照)。今回の下落を示唆したこと、3月末には3月分が公表され、速報性の点でも他の指標に比べ優れ注目しています。

 

さらに、中国では感染拡大に収束の兆しが見られる一方で、経済活動の再開を確認することも重要です。伝統的な活動量の指標である発電量(1-2月は前年比マイナス8.2%と12月の+3.5%から低下)や、最近では日々の石炭の使用量や、クレジットカード、モバイル機器などの動向で活動をリアルタイムで推定することも盛んです。習近平主席が経済活動の再開を呼びかけていますが、これらの調査を見ると完全回復には程遠く、1-3月期の成長は厳しい数字となりそうです。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『中国経済指標、新型コロナウイルスの影響で大幅マイナス』を参照)。

 

(2020年3月17日)

 

 

梅澤 利文

ピクテ投信投資顧問株式会社

運用・商品本部投資戦略部 ストラテジスト

ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト 

日系証券会社のシステム開発部門を経て、外資系運用会社で債券運用、仕組債の組み入れと評価、オルタナティブ投資等を担当。運用経験通算15年超。ピクテでは、ストラテジストとして高度な分析と海外投資部門との連携による投資戦略情報に基づき、マクロ経済、金融市場を中心とした幅広い分野で情報提供を行っている。経済レポート「今日のヘッドライン」を執筆、日々配信中。CFA協会認定証券アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

著者紹介

ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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