トイレットペーパーやティッシュペーパーが品薄の状況
新型コロナウイルスの影響で、小売店の店頭において品薄の状態になっているものの1つが、トイレットペーパーやティッシュペーパーである。
当初は「中国からの輸入が滞り、マスクや消毒液のように品薄になりそう」という口コミや、SNSにおける情報の拡散がきっかけになったようだが、業界団体やマスコミが「国内で流通しているものの9割以上は国産で大丈夫!」と呼びかけたことで、パニック的な状況は終息したと見える。
とはいえ、スーパーマーケットや量販店などで、品薄状態になっている状況に変わりはない。この週末も近所の商店街やディスカウント店に行って、棚がカラカラになっているとか、「1家族につき購入は1つまで」という張り紙を見て、「買わなければ!」という意識を強く持った方は少なくないだろう。
もともと、トイレットペーパーやティッシュペーパーは、かつての「オイルショック」の際に同様の状況が起きたと日本人には強く「インプットされている(摺りこまれている)」ため、「非常事態が発生したら、まず買わなければいけないもの」の代表格という印象があるのかもしれない。
トイレットペーパーやティッシュペーパーは日用必需品であり、なければなくても構わないというものではない。特に、新型コロナへの防御として、衛生状態にはより一層配慮しなければならず、ちょうど花粉症の時期でもあって、その使用量はどの家庭でも普段より増えている状況であろう。
ふるさと納税の返礼品にしている自治体もある
ここにきて、小売店やインターネット通販からの購入以外でトイレットペーパーやティッシュを調達できる手段の1つとして、「ふるさと納税」に注目が集まっている。
ふるさと納税とは、生まれた故郷や応援したい自治体に寄付ができる制度だ。手続きをすると、寄付金のうち2,000円を超える部分については所得税の還付、住民税の控除が受けられる。いちばんの魅力は、寄付した自治体(地域)の名産品などがもらえる点で、肉や魚介類など、さまざまな返礼品がある。
ふるさと納税サイト「ふるさとチョイス」で、「返礼品:トイレットペーパー」、「寄付金:10,000円以下」と入力して調べると、36件が該当した。その1つが岩手県北上市であり、「寄付金5,000円でティッシュペーパー5箱4セット」や「寄付金10,000円でトイレットペーパー(ダブル)12個×6セット」などがある。
3月上旬に伝えられた一部報道では、北上市への2019年2月のトイレットペーパーへの返礼品申し込みが60件ほどだったのに対し、2020年は2019年の100倍にあたる6000件近くの申し込みがあったとされる。
北上市には市内にトイレットペーパーの製造工場があり、製品を返礼品の1つにしている。調べると、王子製紙の工場がある北海道苫小牧市、日本製紙の工場がある宮城県石巻市、大王製紙の工場がある愛媛県四国中央市なども同様に、返礼品にトイレットペーパー、ティッシュペーパーがあり、覚えておくと、今後の「異常時」の際に役立つだろう。
株主優待制度に採用している企業もある
もう1つ、小売店からの購入以外でトイレットペーパーやティッシュを調達できる手段として、株主優待制度がある。
日本製紙、大王製紙、日本紙パルプ商事、特種東海製紙など、紙・パルプ各社が自社製品を株主優待制度として採用し、株主に配布している。この中で、マネー雑誌などで評判が良いのは小津産業という会社の株主優待だ。
5月末時点で小津産業の200株を保有していると、2,500円相当のティッシュペーパー・トイレットペーパー詰め合わせがもらえる。2019年の実績では、高級ティッシュペーパーが6箱、高級トイレットペーパーが12ロールだった。いずれも高品質のものであり、富裕層が使っているとか、高級なホテルなどで使われているとか、個人投資家のブログなどで紹介されている。
小津産業の株価は1月30日に今年の高値である2,256円をつけたが、このところの日本株全体の株価下落もあって、足もとでは1,500円レベルまで下落している。この1ヵ月ほどで、だいぶ割安になったと言える。
200株の保有でよいため、つまり、30万円ほどの投資で配当金に加えて、2,500円相当のティッシュペーパー・トイレットペーパー詰め合わせがもらえるということになる。
すぐにもらえないという点は留意すべきだが…
なお、ふるさと納税も株主優待品も、インターネット通販での購入とは異なり、すぐにもらえるものではないという点は留意すべきである。
ふるさと納税は申し込み数や在庫の状況によって返礼品の配送が遅れる可能性があり、株主優待は、株主総会後などのように送られてくる時期が決まっている。前項で例に挙げた小津産業では例年、8月の株主総会後に優待品が送付される。
「それでは、今回の新型コロナによる品薄の状況に対応できない」と思われるかもしれないが、ご自宅のストック用として有効といえる。新型コロナウイルスの影響が、たとえ、夏にいったん終息するとしても、有効なワクチン、治療薬が開発されていない現状、来年以降に再燃するリスクはある。
そのほかにも、近年は自然災害によって流通が滞り、小売店から生活必需品がなくなるといったこともしばしば起きており、ふるさと納税、株主優待品という「選択肢」も覚えておきたいところだ。
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