株価下落・配当増額は「買い」?投資アドバイスの3つの危険思考

※本記事は、楽天証券の投資情報メディア「トウシル」で2020年2月20日に公開されたものです。

 

ネットにはさまざまな情報が飛び交っています。これらの情報を銘柄選びの参考に使っている人も多いようです。

YouTuberが株式投資の情報発信をする時代に

個人投資家にとって、「銘柄選び」の情報は、もっとも欲しい情報です。最近では、雑誌、ネットの記事のみならず、動画(YouTube)でも情報発信をし、銘柄選びに関するアドバイスをしています。

 

筆者も、そのうちのいくつかを視聴しましたが、これは明らかに誤ったアドバイスだなと感じることが多々あります。

 

そこで、実際のアドバイスをもとに、いったいどの点が誤っているのかをお伝えしていきたいと思います。

その1:過去最高益が続いているのに株価が下がっているなら買い?

よくあるアドバイスとして、「業績が良いのに株価が下がっているのであればいずれは上昇に転じるから買っておくべき」というものがあります。

 

これは一見正しいように思えます。確かに業績が好調な銘柄の中には株価が右肩上がりに上昇を続けるものが多いからです。でもこれは「絶対そうなる」わけではありません。

 

過去最高益が続いているのに株価が下がっている場合、「割安になっている」とか「これはチャンスだ。いずれ上昇するはず」と短絡的に考えるのは早計です。

 

そうではなく、なぜ過去最高益が続いているのに株価が下がっているのかを考えるようにしてください。

 

考えられるのは、過去最高益は確かだが、市場参加者が想定していたよりも利益が小さかった、もしくは、今期は過去最高益だが来期以降業績が伸び悩む、と市場参加者が予想している、というものです。

 

そう考えると、業績が好調なのに株価が下がっているならば買い時だ、と安易に判断するのは逆に危険であることが分かると思います。

その2:配当金が増額傾向なのに株価が下がっているなら買い?

最近では業績もそこそこ良く、かつ配当利回りが高いという銘柄が増えてきています。誰もが知っている大企業の中にも配当利回り5%超、という銘柄がいくつかあります。

 

こうした中には、配当金が増額傾向にもかかわらず逆に株価が下がっている銘柄もあります。これを「さらに割安になっているのだから買い時である」とアドバイスしていました。

 

しかし筆者は、全くそうは思いません。逆に、配当利回りが高く、本来なら買われる状態なのに株価が下がっているという事実の方に着目すべきだからです。

 

配当利回りが高いのに株価が下がっている理由としては、確かに今は高配当だが将来的に業績悪化などにより配当金が減らされるというリスクを感じている市場参加者が多いからです。

 

特に配当性向(当期純利益のうち、どの程度の割合が配当金に回っているかを表す指標)は必ずチェックするようにしてください。配当性向が高い場合は、いくら現時点で高配当であっても、ちょっと業績が落ち込むだけで配当金が減額される可能性が高まるからです。

 

値下がりを続けている銘柄の配当金が減額されれば、さらに株価は大きく下がってしまいます。配当利回りの高低だけで銘柄選びをするのは高リスクです。

その3:月次売上が好調なら株価は上昇する

最近では3カ月(四半期)に一度の決算発表の他、毎月の売上高を自社ウェブサイトなどで公表する会社も増えてきました。

 

個人投資家としては、よりタイムリーに会社の業績の状況が把握できるため、歓迎すべきことです。

 

この月次売上に注目し、月次売上が好調なのにもかかわらず、株価が上昇していない銘柄は買い時であるというアドバイスをしている人がいました。

 

ただ、月次売上が好調なのに株価が上昇していないから直ちに買い時となるかといえば、その考え方は短絡的です。

 

特に飲食業の場合、月次売上の中には「全店売上」と「既存店売上」に分けて公表しているケースが多いです。このうちの「全店売上」に注目して、これが伸びているにもかかわらず株価が上昇していない銘柄は買いの候補だ、というアドバイスは誤っています。

 

なぜなら、重要なのは「全店売上」ではなく「既存店売上」だからです。

 

新規店舗を含む全店売上は、店舗が増えれば伸び続けます。しかし、新規店舗を除く既存店売上は前年比で見ることができるため、これが伸びなければ、その業態はすでに飽和状態にあると判断されます。

 

実際、全店売上は前年同期比で20%、30%も伸びているにもかかわらず、株価が下落し続けていた飲食業の銘柄がありましたが、その理由は既存店売上が前年同期比でマイナスになっていたからです。

 

月次売上は意外と注目している投資家が少ないので、狙い目とも言えますが、あくまでも重要なのは既存店売上です。全店売上がいくら好調であっても、既存店売上が好調かどうかで投資判断を行うようにしましょう。

まとめ:中途半端なファンダメンタルズ分析は失敗の元

筆者から見て「誤ったアドバイス」「リスクの高い考え方」というのは、中途半端なファンダメンタルズ分析がその根底にあることが多いです。

 

「過去最高益なのに株価が下がっているなんておかしい」

 

「配当利回りが高いのに株価が下がっているなんておかしい」

 

「月次売上が好調なのに株価が下がっているなんておかしい」

 

このような考え方は、大きな失敗につながりかねない危険な思考なのです。

 

そうではなく、なぜ過去最高益なのに、配当利回りが高いのに、月次売上が好調なのに株価が下がっているのか?という視点で考えるようにしてください。

 

何かしらの理由で、外国人投資家やプロ投資家がそのような銘柄を売却しているのが株価下落の理由だとしたら、逆に手を出すことは危険だ、という考えになるべきでしょう。

 

過去最高益とか、配当利回りが高いという理由で銘柄選択すること自体は誤ってはいません。でもその時は同時に株価のトレンドも見るようにしてください。

 

株価が値下がりを続けているのであれば、筆者なら、何らかのネガティブな理由で売られている可能性が高いと考え、少なくとも株価が下げ止まって上昇に転じない限りは手を出さないようにしています。

 

 

足立 武志

足立公認会計士事務所代表 公認会計士・税理士・ファイナンシャルプランナー

 

※本記事は、楽天証券の投資情報メディア「トウシル」で2020年2月20日に公開されたものです。

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