なかには自分が「偉い」と思ってしまう税理士も・・・
税理士はサービス業です。当然に税理士は、お客さまを大切にする「依頼者に弱い(優しい)」存在でなければなりません。
税理士試験もそれなりに難関とされています。その合格者である税理士も「士業」、「先生」の一員となるのでしょうか。筆者もそうですが、先生と呼ばれれば悪い気はしません。しかしともすると、何やら自分が「偉い人」であるかのような思い違いにつながります。
幸い私は、銀行という民間企業に長く勤めてから税理士業に就きました。民間企業は基本的に「お客さまは神さま」の世界です。したがって私も、「お客さまに頭を下げるのは当然」というまっとうな教育を受け、それを実践してきました。そして税理士業に転業してからも、この当然の発想や行動は変わっていません。
相続人の気持ちに「寄り添える」税理士を選ぶ
さて、一家の大黒柱に相続が発生すると、未亡人といった相続人は大変な思いをします。ただでさえ悲しい上に、諸事万端をこなしてきた中心人物がいなくなってしまったわけです。死亡届の各方面への提出や名義書き換え等々、このような相続手続きなどやったことはありません。ともするとおろおろするばかりとなりましょう。
その上で、相続税申告に限らずいろいろ頼りにしたい税理士から、それ「残高証明を取れ」、やれ「遺産分割協議を行え」などと言われたのでは、相続人はたまりません。やはり税理士は少なくとも相続税申告関係は、じっくり説明しその理解を得ながらやっていくより他ありません。
納税者にとって最大の課題は、いかに円満な遺産分割を行うかにあります。この点につき助言などを求められたら、税理士は積極的にアドバイスすべきと考えています。不動産を理解した経験豊富な税理士であれば、分割の勘所を押さえた上での的確な助言や提言ができるはずです。
要するに、相続税の依頼を受けた税理士は、相続人の気持ちに寄り添うような形で業務を行うべきと考えます。またそうであれば、相続人は安心して相続税申告業務を任せることができます。それ以外のよろず相談の相手として頼ることもできましょう。
やはり税理士は、「依頼者に弱い(優しい)」人であることが求められているように思います。