●適切なポートフォリオを構築することで、不透明感の強い相場環境でも、落ち着いた行動が可能に。
●手順は目標リターン、リスク許容度、投資期間などを決め、投資配分に従い金融商品を選択する。
●いったんポートフォリオを構築すれば、いつ買ったらよいか、いつ売ったらよいかへの回答は明確になる。
適切なポートフォリオを構築することで、不透明感の強い相場環境でも、落ち着いた行動が可能に
2020年は年明け早々、米国とイランの対立により中東情勢が緊迫化し、続いて中国湖北省武漢市で発生した新型コロナウイルスによる肺炎の感染が拡大するなど、世界の金融市場に不安が広がりました(図表1)。このような状況において、先行きを懸念する個人投資家も多いと思われます。そこで今回は、不透明感の強い相場環境でも、落ち着いて行動できる「ポートフォリオ」の構築方法についてお話しします。
なお、ポートフォリオとは、投資対象とする複数の資産(株式や国債など)を組み合わせたものです。また、ポートフォリオを構成する各資産の投資配分を、「アセット・アロケーション」といいます。
手順は目標リターン、リスク許容度、投資期間などを決め、投資配分に従い金融商品を選択する
ポートフォリオの構築手順は、①「投資目的(目標リターンとリスク許容度)」を決める、②「投資制約(投資期間など)」を決める、③投資目的と投資制約に沿ってアセット・アロケーションを決める、という流れになります(図表2)。ポートフォリオが構築された時点で、投資の実行は可能となります。投資期間中は、定期的にパフォーマンスを評価し、必要に応じてポートフォリオを修正します。
なお、①の投資目的には、例えば、「今の生活水準を維持する」、「特定の物品を購入する」、などがあり、②の投資制約には、「投資期間」、「税金」、「流動性」などがあります。これら投資目的と投資制約は、人によって異なるため、アセット・アロケーションも個々の投資家によって異なります。したがって、投資信託などの金融商品は、各自のアセット・アロケーションに従って、選択・購入されることになります。
いったんポートフォリオを構築すれば、いつ買ったらよいか、いつ売ったらよいかへの回答は明確になる
なお、投資期間中、投資資産の価値が増減し、当初の配分比率が変わることがあります。この場合、ポートフォリオを定期的に見直す際、配分比率が大きくなった資産を売り、小さくなった資産を買って、各資産を当初の配分比率に戻します。この調整を「リバランス」といいます。つまり、ポートフォリオ構築後、各資産の取引判断は、相場変動ではなく、リバランスに基づくものとなります。
したがって、「いつ買ったらよいか」という質問への回答は、「ポートフォリオが構築された時」、あるいは「リバランスで配分比率が小さくなった資産を買う時」、となります。また、「いつ売ったらよいか」という質問への回答は、「投資目的が達成された時」、あるいは「リバランスで配分比率が大きくなった資産を売る時」、となります。このように、いったんポートフォリオを構築すれば、相場急変時でも落ち着いて行動することができます。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『不透明な相場環境でも「理想のポートフォリオ」を構築する方法』を参照)。
(2020年2月18日)
市川雅浩
三井住友DSアセットマネジメント シニアストラテジスト