米雇用統計、非農業部門雇用者数は市場予想を上回るが…

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今回の1月の米雇用統計は非農業部門雇用者数が市場予想の範囲を超えた数字であったことや、低水準の失業率など、全般に底堅いと見られます。しかし、データ公表後の国債市場の反応は限定的で、7日の米国債利回りは低下(価格は上昇)して終わりました。新型コロナウイルスの経済への懸念が最大要因ですが、よく見ると雇用データの中に気になる点も見られます。

米1月雇用統計:非農業部門雇用者数は前月比22万5000人増と市場予想を大幅に上回る

米労働省が2020年2月7日に発表した1月の米雇用統計で、非農業部門雇用者数(事業所調査、季節調整済み)は前月比22万5000人増と、市場予想中央値は16万5000人(分布は7万~22万人程度)、前月(14万7000人増と速報値14万5000人増から上方修正)を上回りました。家計調査に基づく失業率は3.6%と、市場予想、前月(共に3.5%)を上回りました。ただ、労働参加率も、前月比0.2%ポイント上昇して63.4%となりました。

 

平均賃金は前月比+0.2%の上昇と、市場予想(+0.3%)を下回りました。前月は0.1%でした。前年同月比でみた上昇率は+3.1%と、市場予想(3.0%)、前月(3.0%)を上回りました。

どこに注目すべきか:非農業部門雇用者数、U6(失業率)、議会証言

今回の1月の米雇用統計は非農業部門雇用者数が市場予想の範囲を超えた数字であったことや、低水準の失業率など、全般に底堅いと見られます。しかし、データ公表後の国債市場の反応は限定的で、7日の米国債利回りは低下(価格は上昇)して終わりました。新型コロナウイルスの経済への懸念が最大要因ですが、よく見ると雇用データの中に気になる点も見られます。

 

 

まず、非農業部門雇用者数についてです。前月比22万5000人増は、人口増加などから米連邦準備制度理事会(FRB)が想定する雇用者の伸びの「巡航速度」を大幅に上回っています。ただ、セクター別に見ると今回雇用者を増やしたセクターは建設や娯楽など暖冬による天候要因が底上の可能性に注意が必要です(図表1参照)。教育など天候と関連が低いセクターでの増加というプラス面もありますが、小売や製造業が軟調なのも気がかりです。

 

失業率が3.6%と上昇した背景は、労働参加率の改善に見られるように求職者が増えたためと見られ、失業率の上昇自体に問題は無いと思われます。ただ、質を表すといわれるU6失業率(正規雇用を求めながらパートに甘んじている労働者を失業者にカウント)は6.9%と、前月の6.7%から上昇しており、質の点で小幅ながら改善の遅れが見られました。

 

平均賃金は前月比で+0.2%と市場予想を下回りました。弱い数字ではないものの、賃金インフレを心配する水準とは考えにくいと思われます。例えば、同データ公表後の市場で測定される期待インフレ率(z)は低下する動きを見せました(図表2参照)。1月の米雇用データは十分に米国経済の底堅さを示唆する内容でしたが、インフレ率押し上げには至らないと見られたようです。もっとも、市場は新型コロナウイルスの動向に注意を払っており、経済指標への関心は相対的に低いようです。

 

新型コロナウイルスの懸念は、株式市場の動向から、今月になりやや低下した面も見られました。しかし、FRBが7日に公表した金融政策報告書(半年に1度の議会証言向けに提出)の中でも、新型コロナウイルスを新たなリスクと指摘しています。市場の動きに目を奪われがちですが、11日からの議会証言など、当局の声にも注目する必要がありそうです。

 

月次、時点:2019年12月(左:前月)~2020年1月(右:今月)、前月比 出所:米労働省、ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
[図表1]主なセクターの雇用者数変化(前月比)の推移 月次、時点:2019年12月(左:前月)~2020年1月(右:今月)、前月比
出所:米労働省、ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

 

日次、期間:2019年2月7日~2020年2月7日 出所:米労働省、ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
[図表2]米国期待インフレ率(ブレークイーブン)の推移 日次、期間:2019年2月7日~2020年2月7日
出所:米労働省、ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『米雇用統計、非農業部門雇用者数は市場予想を上回るが…』を参照)。

 

(2020年2月10日)

 

 

梅澤 利文

ピクテ投信投資顧問株式会社

運用・商品本部投資戦略部 ストラテジスト

 

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ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト 

日系証券会社のシステム開発部門を経て、外資系運用会社で債券運用、仕組債の組み入れと評価、オルタナティブ投資等を担当。運用経験通算15年超。ピクテでは、ストラテジストとして高度な分析と海外投資部門との連携による投資戦略情報に基づき、マクロ経済、金融市場を中心とした幅広い分野で情報提供を行っている。経済レポート「今日のヘッドライン」を執筆、日々配信中。CFA協会認定証券アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

著者紹介

ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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