新型ウイルス感染拡大の中、中国市場再開…当面の動向は不安定

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新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大懸念が高まる中で中国市場が再開しました。中国当局はてこ入れ策として市場に資金供給を行いましたが、懸念を打ち消すには不十分で、株式市場の下落を食い止めるには至りませんでした。市場動向は当面、不安定な展開が想定されます。

中国株式市場:春節連休明けの株式市場、新型コロナウイルスの影響で大幅下落

中国国家衛生健康委員会の2020年2月3日の発表によると、武漢市で発生した新型コロナウイルスによる肺炎の中国本土での死者数が累計361人となりました。重症急性呼吸器症候群(SARS)による中国本土での死者は、世界保健機関(WHO)によると349人でした。

 

なお、「春節(旧正月)」連休明けとなる2月3日の中国株式市場で、上海総合指数は1月23日終値比で8.7%安と大幅に下落して取引が開始されました(図表1参照)。

 

日次、期間:2019年2月11日~2020年2月3日(日本時間午前11時) 出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成
[図表1]中国上海総合指数の推移 日次、期間:2019年2月11日~2020年2月3日(日本時間午前11時)
出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成

どこに注目すべきか:コロナウイルス、春節、人民元、株式市場

新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大懸念が高まる中で中国市場が再開しました。中国当局はてこ入れ策として市場に資金供給を行いましたが、懸念を打ち消すには不十分で、株式市場の下落を食い止めるには至りませんでした。市場動向は当面、不安定な展開が想定されます。

 

まず、市場動向について株式以外にも目を向けると、為替市場では人民元(オンショア)は足元7.01台と、米中貿易協議で意識された政治的な節目である7.0を小幅割り込み人民元安となっています。中国人民銀行(中央銀行)は3日、の人民元中心レートを節目の1ドル=7.0元よりも元高水準となる1ドル=6.9249元に設定しましたが、人民元安の圧力が強かった格好です。

 

もっとも、比較的自由に春節中も取引されていたオフショアの人民元は、中国株式市場再開前に7.0前後で取引されていたこともあり、株式市場の大幅な下落を確認したことでオンショア人民元の7.0割れ(人民元安)は自然の成り行きとも見られます(図表2参照)。

 

日次、期間:2019年2月4日~2020年2月3日(日本時間午前10時) 出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成
[図表2]中国人民元(対ドル)と銅先物価格の推移 日次、期間:2019年2月4日~2020年2月3日(日本時間午前10時)
出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成

 

次に、市場並びに経済対策を振り返ると、先の人民銀による1兆2000億元(約18兆8000億円)の流動性供給や、中国証券監督管理委員会(証監会)が一部証券会社に対し、自己勘定による株売り越しを週内禁じると報道されています。また今後は中期貸出制度(MLF)の金利引き下げなどによる金融緩和も示唆されています。中国景気の悪化が懸念される中、市場並びに景気対策は必要です。ただ空売り禁止のような対策の効果には疑問もあります。

 

市場のセンチメントは足元「悪い」状態です。何が市場のセンチメントを改善するのかを占うのは至難の業ながら、次の点が考えられます。まず、市場の不安は新型コロナウイルス感染が広がるメカニズムが不明な中、対策の効果に不安があることで、逆に言えば、隔離などにより感染拡大の懸念が後退すればセンチメントは改善するかもしれません。SARSなどでは隔離や検疫などの効果が安心感を生みました。

 

新型コロナウイルスのワクチン開発は先の話でも、ウイルスの正体解明が進めば、センチメントが改善する可能性はあります。人に感染するコロナウイルスは6種類知られていました。そのうち2種類(SARSとMERS)が重症を引き起こすウイルスで、今回の新型のウイルスは3種類目となります。まだわからない点が多いことも不安の背景と見られます。

 

中国経済への影響が現時点では見通せないことも不安材料です。中国景気動向を反映する傾向がある銅価格も下値が定まっていません。信頼度の高い分析が待たれます。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『新型ウイルス感染拡大の中、中国市場再開…当面の動向は不安定』を参照)。

 

(2020年2月3日)

 

 

梅澤 利文

ピクテ投信投資顧問株式会社

運用・商品本部投資戦略部 ストラテジスト

 

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ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト 

日系証券会社のシステム開発部門を経て、外資系運用会社で債券運用、仕組債の組み入れと評価、オルタナティブ投資等を担当。運用経験通算15年超。ピクテでは、ストラテジストとして高度な分析と海外投資部門との連携による投資戦略情報に基づき、マクロ経済、金融市場を中心とした幅広い分野で情報提供を行っている。経済レポート「今日のヘッドライン」を執筆、日々配信中。CFA協会認定証券アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

著者紹介

ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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