10~12月期実質GDP第1次速報値・前期比は5四半期ぶりマイナス成長に
個人消費、設備投資など前期比マイナス。外需・前期比寄与度プラスに。
●2月17日に発表される10~12月期第1次速報値では、実質GDP成長率は前期比▲1.0%程度、前期比年率▲3.8%程度と5四半期ぶりのマイナス成長になると予測する。消費税増税や、台風の影響などが影響したとみられる。
●10~12月期実質GDP第1次速報値では内需前期比寄与度は▲1.2%程度を予測する。内訳をみると、民間需要の寄与度が▲1.3%程度のマイナス寄与度に、公的需要の寄与は+0.2%程度のプラス寄与度と予測する。
●実質個人消費が消費税増税の影響などで、前期比▲1.8%程度のマイナスを予測する。また、設備投資も前期比▲1.4%程度のマイナスになると予測した。
●外需は、輸出が▲2.9%程度と前期比減少に、控除項目の輸入が前期比▲4.0%程度前期比減少になるため、外需の前期比寄与度は+0.2%程度とプラスになるとみた。
●個人消費の供給サイドの関連データである耐久消費財出荷指数の10~12月期前期比は▲9.3%の減少になった。一方、非耐久消費財出荷指数は同▲4.8%の減少だ。GDPの個人消費算出には直接使用されないが、同じく供給サイドの関連データである商業動態統計・小売業販売額指数の10~12月期前期比は▲3.8%の減少だ。また、需要サイドの関連データでは、家計調査・二人以上世帯・実質消費支出(除く住居等)の10~11月分平均比対7~9月分平均比は▲6.2%の減少である。乗用車販売台数の10~12月期前期比は▲19.6%の減少になった。GDP統計の実質個人消費と関連性が高い消費総合指数(月次ベース)の10~11月分平均比対7~9月分平均比は▲2.0%の減少である。10~12月期第1次速報値では個人消費の前期比は総合的に判断すると前期比▲1.8%程度の減少になると予測する。
●設備投資の関連データである資本財出荷指数の10~12月期前期比は▲6.6%の減少になった。資本財(除く輸送機械)は同▲6.3%の減少である。一方、建設財は同▲3.8%の減少になった。またソフトウエアなどの設備投資は底堅いとみられる。供給サイドから推計される10~12月期実質設備投資・前期比は▲1.4%程度の減少と予測した。
●民間在庫投資(民間在庫変動)の前期比寄与度は0.0%程度とみた。ARIMAモデルにより内閣府が現時点での情報を使って算出・公表した、10~12月期の原材料在庫の季調済実質値前期差は▲6,870億円、仕掛品在庫の季調済実質値前期差は1,876億円である。また、鉱工業在庫指数の前期比は、7~9月期▲1.7%だったが、10~12月期は+2.0%になったことなどを考慮した。
●実質輸出入の動向をみると輸出の10~12月期前期比は▲2.2%の減少になったが、控除項目の輸入は▲2.9%の減少になっている。モノの外需の10~12月期の前期比寄与度はプラス寄与になるとみられる。サービス面を考慮して、GDPの輸出の10~12月期前期比は▲2.9%の程度の減少、輸入は同▲4.0%程度の減少と予測した。10~12月期の外需の前期比寄与度は+0.2%程度になると予測する。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2019年10~12月期実質GDP(第1次速報値)予測』を参照)。
2020年1月31日
宅森 昭吉
株式会社三井住友DSアセットマネジメント 理事・チーフエコノミスト