※本記事は、楽天証券の投資情報メディア「トウシル」で2020年1月30日に公開されたものです。

 

中国で感染が確認された新型コロナウイルスが中国国内だけでなく世界中に広がりを見せつつあります。こうした状況を踏まえ、私たち個人投資家はどう動くべきでしょうか?

猛威をふるう新型コロナウイルス

中国の武漢にて感染が確認された新型コロナウイルス。中国国内のみならず日本をはじめ世界各国でも感染者が確認されるなど、猛威を振るっています。

 

専門家の間では、2002~2003年にかけて流行したSARS(重症急性呼吸器症候群)に匹敵するか、それ以上の拡大が懸念され、最大級の警戒が必要という意見もあるようです。

 

この新型コロナウイルスの感染拡大は、当然ながら株式マーケットにも大きな影響を与える可能性があります。個人投資家として誤らずに対応をしていきたいものです。

 

そこで今回は、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、個人投資家が注意しておくべき点、および筆者がどのように行動するつもりかをお伝えします。

SARSの流行時は日経平均株価が20%下落

まず、絶対に行ってほしくないのが「将来の決めつけ」です。2つのパターンが想定されます。

 

1つは「株価が大きく下がる」決めつけです。一部の専門家・評論家は、SARSの流行時には日経平均株価が20%値下がりしたことから、今回は日経平均株価が2万円割れになる可能性が高い、とコメントしています。

 

もう1つは「株価には大きな影響はない」との決めつけです。現時点(1月26日)ではこちらの論調の方が強いように思います。要するに、感染拡大は依然として中国国内にとどまり、世界的なパンデミックの兆候はないため過度な心配は無用、という意見です。

 

しかし筆者はこの2つとも危うい考え方だと思っています。なぜなら、将来どうなるかなど現時点で正確に予想することはできないからです。

 

もし株価が大きく下がると決めつけて、急いで保有株を売ったものの逆に株価が上昇すれば、利益を取り損ねることになります。

 

逆に、株価には大した影響がないと決めつけて、保有株を売らずに持ち続けた結果、株価が大きく下落したならば、多額の損失を被ることになります。

「株価は株価に聞く」のが断然動きやすい方法

筆者はどう動くか?といえば、いつもと同じ通り、「株価は株価に聞く」という方法です。

 

先ほども述べた通り、将来は誰にも分かりません。皆、将来を予想しようとしますが、それを前提に行動し、予想が外れた場合は大きなダメージが生じます。

 

もし今回の新型コロナウイルスの感染拡大が深刻な状況であるならば、株価は値下がりを続けることになるでしょう。筆者は25日移動平均線を株価が上回っている上昇トレンドの銘柄のみを保有していますが、株価値下がりにより25日移動平均線を株価が割り込んだら、その銘柄は売却します。

 

これにより、下落の初期段階で保有株を売却することができ、仮に損失となったとしても最小限に抑えることができます。

 

逆に新型コロナウイルスの影響が限定的であるということが判明すれば、株価は大して値下がりせず、むしろこれまでのように上昇を続けるという可能性もあります。その場合、上昇トレンドの保有株は移動平均線を割り込まずに推移しますので保有を続けます。その結果、株価上昇の恩恵を受けることができます。

 

もし、保有株が移動平均線を割り込んで売却した後、反発して再度移動平均線を超えてきたなら、買い直せばよいだけです。

自信があるならテーマ株への投資も一考だが…

自信があるなら、今回のコロナウイルス感染拡大で株価上昇が期待できる銘柄、つまりテーマ株への投資も一考です。

 

すでに株価が大きく反応をしているものもありますが、防護服関連、マスク関連などの銘柄がテーマ株化しやすいです。

 

2002~2003年のSARS流行時に株価が大きく動いた銘柄が参考になるでしょう。

 

ただ、こうしたテーマ株は値動きが激しく、日中ずっと株価を見ることができる人でないと、思わぬ損失を被るリスクが高いです。株価が短期間に乱高下する銘柄への投資に自信のない方は、無理に投資する必要はないと思います。

マイナスの影響がある銘柄への空売りも同様

一方、新型コロナウイルスの感染拡大により、マイナスの影響がある銘柄もあります。典型的なのが、インバウンド関連銘柄です。特に中国からの観光客の減少が懸念されることから、業績にも大きなマイナスインパクトになる恐れがあります。

 

こうした銘柄を空売りすれば、株価が大きく値下がりすることで利益を得ることができますが、こちらについても株価の乱高下が予想されます。

 

例えば、朝の寄り付きから大きく値下がりしているところを空売りすれば、「安値売り」になってしまいその後の反発で損失を被る危険性も高まります。

 

筆者であれば、移動平均線を割り込んでいて、かつ移動平均線からのマイナスかい離が小さいのであれば空売りも選択肢ですが、大幅安の状況から無理に売り叩くということはしません。

 

もちろん、マイナスの影響がある銘柄を保有している場合も基本の考え方は一緒です。上昇トレンドである限りは保有し、下降トレンドになったら売却します。

 

将来株価がどうなるか分からない状況になると、どうしても不安になってしまいます。でも、将来の株価を予想しても答えは出てきません。単純に、株価の動きについていくことを心掛ければ、ここから株価が上昇しても下落しても対応できますし、パニックにならず精神的に落ち着いた状況で行動できます。

 

株価がどう動いても対処できるような行動を取るように心がけましょう。その1つが、株価の動き、株価のトレンドについていくという方法です。

 

 

足立 武志

足立公認会計士事務所代表 公認会計士・税理士・ファイナンシャルプランナー

 

※本記事は、楽天証券の投資情報メディア「トウシル」で2020年1月30日に公開されたものです。

 

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