日本の不動産市場との「違い」を理解する
ベルリンで物件を購入する際、販売開始から売約・売買成約までの期間が短いほど、より有利な条件で物件を購入することができます。これはベルリンでの投資物件探しで重要なポイントです。その理由は、以下の3点です。
1. 発売直後はユニットのオプションが多い(日当り、バルコニーの有無、部屋数etc.)
2. 市場価格上昇に伴い、発売からの時間経過と平行して物件価格が上がってゆく
3. 人気の投資物件は、発売から1年以内に9割が売り切れる市場スピード
日本の市場と異なり、発売から時間が経った物件の価格が下がるということはありません。そのため、特に上記の2については、ベルリンでの物件投資において気を付けることが得策と言えるでしょう。
それでは、実際の各物件プロジェクトを例に、その販売状況を見てみましょう。
【Altbau mit Modenisierung モダニゼーション物件】
基本的に壁が石・レンガ造りの中古物件。外観、内装、窓などのリフォームが施されたもの。オーナー組合の積立金で、電気や屋根、配管などが定期的にリフォームされている。
・1974年築
・ユニット数 58戸
・販売スタート 2015年10月 ⇒ 現在62%売約済
【Kernsanierung 完全リフォーム物件】
基本的に壁が石・レンガ造りの中古物件。骨組、壁、地下を除くすべての部分がリフォーム対象。電気、屋根、配管、床、窓、ドア、外観、浴室等は全て新調されている。
・1960年築・完全リフォーム完成予定2017年3月
・ユニット数 29戸
・販売スタート 2015年12月 ⇒ 現在40%売約済
【Neubau 新築物件】
鉄筋コンクリートの新築物件。現地テナントの要望に応える、大きな窓・高い天井・バリアフリー等が多い。EneV (省エネルギー基準) に従った工法で、高性能の断熱材を使用することが義務付けられている。MaBV (仲介業者および開発業者に関する法律と規制) に従った支払方法が適用される。
・2017年完成予定
・ユニット数 8戸
・販売スタート 2016年2月 ⇒ 現在25%売約済
2017年に完成予定のこの新築物件は、2016年3月現在、建設許可(Baugenehmigung)が下りた段階です。まだ建設開始準備中ですが、今後3ヶ月以内にはユニットの約40%は売約済みになることが予想されています。
予定地にはまだ何も建っていない段階にも関わらず、なぜ、このようなハイスピードで買い手が決まっていくのでしょうか? その理由は2点あります。
未完成物件なら、物件購入時に全額を支払う必要がない
ドイツでは、未完成な物件の場合、新築物件購入における支払方法に関する内容が規定されたMaBV法という法律が存在します。これは「仲介業者および開発業者に関する法律と規制(Makler und Bauträgerverordnung)」といい、設計中あるいは建設中の建物やマンションの売買契約書には、通常7段階の支払の規制に従うことが記載されています。基本的には、出来上がった部分のみを段階的に支払っていきます。
例:
【第一段階】土地 + 基礎工事開始時 ・・・物件価格の30%支払
【第二段階】スケレトン完成後 ・・・物件価格の28%支払
⇒【第三段階】、【第四段階】とつづく
物件購入契約時に物件価格を全額一括で支払う必要がないため、安心してデベロッパーに建設を任せることができます。この分割支払システムは、買主とデベロッパー双方に有益な方法で、ドイツの新築不動産売買の大きな特徴のひとつです。
年平均で5%上昇している物件価格
投資に比較的良いエリアの新築物件は、現在1平米あたり約5,000ユーロとなっています。物件価格上昇率は、ベルリン全体で平均して5%です。プロジェクト開始から完成までおよそ2年間かかりますので、2年後には価格が10%アップする予測になります。その結果、同じ場所の1平米あたりの価格は約5,500ユーロになります。
もちろん、一度売買契約が締結された後、物件価格の変更はありません。ただし、売れていない物件に関しては、年末に軒並み価格が上げられるのが通例となっています。このことも、物件発売後の売約スピードが速い大きな理由となっています。
堅実な不動産投資のための決断を焦る必要はありませんが、市場に出てくる物件の長短を吟味し、自分の投資目的にあったものかどうか適切に判断しつつ、ベストなタイミングを逃さないようにしたいものです。