2019年9月、国税庁により「民間給与実態統計調査」の結果が発表されました。本調査によると、サラリーマンの平均年収は441万円とのことです。年金問題をはじめ、少子高齢化による働き手不足など、老後不安につながる問題が尽きないですが、この年収のなかから資産を形成していくしかありません。そこで、老後資金の形成手段として「日本株」について見ていきます。

理論上合理的な行為は世界全体への株式の「分散投資」

日本株の魅力とは何でしょうか。

 

基本的に筆者個人の意見としては、投資対象としては、分散が重要である、と考えています。リスク低減の効果が理論上認められるからです。

 

そのため、日本株式に仮に投資対象としての魅力があったとしても、日本株式への集中投資は理論上、ふさわしくないと考えています。

 

以上を踏まえたうえで、話が進みます。

 

◆株式投資必勝法

 

日本株の魅力とは、割安ではないか、と考えられることです。


日本株式は、確かにこれまでおよそ30年間ほどパッとしていません。

 

1990年をピークとした場合、およそ30年が経過したにも関わらず、当時の7割程度の株価にしか回復していないのです。

 

これは不思議です。

 

なぜなら、金融の理論上はリスク資産は、「良い株式・普通の株式・悪い株式」のいずれであったとしても、投資家の要求するリターンは同じはずだからです。

 

これは仮に、「成長をしない・低成長」と考えられる日本株式であっても同様です。

 

つまり、リスクプレミアムは、日本株であっても、5~6%程度はあるはずと考えられます。

 

そのため、仮に日本株が「どう考えても、ポジティブな面がない」としても、やはり長期的に見て、「無リスク金利+5~6%程度」の期待リターンがあってしかるべきであると考えられます。

 

すなわち、現状の日本株は効率的市場仮説があまり反映されておらず、「非常に割安な状態で放置されている」とも考えられます。

 

投資の原則が「安いときに買って、高いときに売る」という点を考えると、現状の低い株価の続く日本株式は大チャンスである、とも考えられます。

 

もちろん、だからといって「日本株式に集中投資をしよう」とはなりません。

 

分散によってリスクが低減するという現代投資理論がある以上、先進国株式も含めて広く分散投資をするほうが、より合理的な資産運用になると考えます。

 

30年間ほどパッとしない日本株…
30年間ほどパッとしない日本株…

日本株式は世界の投資家から放置されている?

◆イランとアメリカの危機を考えてみても、理論とは乖離があるかもしれない


上記のように、理論上は日本株式の低迷は世界の投資家から割安で放置されている、とも考えられなくもない、という見方もできますが、本当でしょうか。

 

答えは、理論と現実とは乖離があるのではないか、ということです。

 

確かに、今後数十年という長期で見れば、上記のように株価の長期的な成長が見込めるかもしれません。

 

また、これからの30年間がやはり振るわない30年間になるかもしれません。

 

またその一方で、数年間、という短期間で見た場合、大きな戦争などがあると、日本株式は大きく低迷することが考えられます。

 

 

佐々木 裕平

金融教育研究所 代表

 

本連載は、「金融教育研究所」掲載の記事を転載・再編集したものです。

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