「預貯金をしていれば安心」と考えていないか?
お金持ちの多くは、資産にまつわる知識を持ち、将来必要になる金額を前もって準備しています。これは、なにも老人に限った話ではありません。若い資産家も、こぞってリタイア後のための資産形成をしています。
今の時代、お金を貯め、そして増やしていくには、貯蓄も投資も大切です。貯蓄はほとんどの人がしているでしょう。では、投資は? 恐らく、一気にハードルが上がったように感じた人も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、「プチリッチ」な老後を送るためには欠かせない「投資」とのつき合い方を一緒に考えていきましょう。
◆預貯金の価値は「目減りする可能性」がある
貯蓄とは、その名のとおり、「お金を蓄えること」を意味しますね。代表的なのは、銀行や信用金庫などにお金を預ける「預金」です。なお、ゆうちょ銀行や農協の場合は「貯金」です。預金と貯金を合わせて「預貯金」といいます。
預貯金のメリットは、元本が保証されていて、預けたお金が減らないことです。万が一金融機関が破たんしたとしても、1000万円とその利息分までは、預けたお金が保護されます(これを『ペイオフ』といいます)。金利はごくわずかなので増えませんが、「お金を絶対に減らしたくない!」と考える人が、預貯金という方法で運用しているのです。
日本人の大多数の人が、「預貯金をしていれば安心」と思っています。しかし、「預貯金の価値」については、目減りする可能性があることに、気づいているでしょうか。
確かに預貯金の1万円は、引き出して使わない限り、1万円のまま保管しておくことができるでしょう。しかし、物価が上昇(インフレ)すると、1万円の価値は目減りしてしまいます。わかりやすい例でいえば、2019年10月から消費税が2%アップしました。これはある意味、1万円の価値が2%減ったことと同じです。預貯金はインフレに弱いのです。
また、大手銀行を中心に「口座管理手数料」を始めようという動きもあります。もし導入されれば、預けているだけでお金が減っていく時代が到来してしまうのです。
◆お金が増えることも、減ることもある「投資」
一方投資は、利益を得るために、お金を資産に投じることをいいます。前回の記事(『年収900万円の「お金持ち」でも「下流老人」に転落する内情』)で紹介した株式投資はもちろん、投資信託、債券、不動産、外貨など、投資先はいろいろあります。
投資のメリットはなんといっても、「お金が増える可能性がある」ことです。仮に物価が2%上昇したとしても、お金が3%増えれば、実質1%増えることになります。つまり、投資はインフレに対応できるのです。選んだ投資先によっては、インフレ率よりもはるかに大きくお金が増える可能性もあるでしょう。
もちろん、お金が増える可能性がある以上、「減る可能性」も隣り合わせです。投資は元本保証ではありません。選んだ投資先次第では損失が発生してしまうことも、心に銘じておきましょう。
「お金を預けても減る時代」における「資産の守り方」
◆「預貯金」と「投資」、メリットとデメリットを知って上手に活用しよう
「貯蓄なんて不要だから投資だけしなさい」などと説くつもりはまったくありません。貯蓄は、家計を安定させるのに重要の要素です。預貯金には元本が変動せず、いつでも引き出せるというメリットもあります。
その上で読者の皆さんには、預貯金にプラスして、やはり投資を行って欲しいと考えます。
というのも、先にも述べたように、日本はインフレの時代を迎え、大手銀行を中心に口座管理手数料を導入する動きもあります。銀行にお金を預けておくだけでは「減る時代」の到来です。でも、投資すればお金は増える可能性もあれば減る可能性もあります。
賢い人は、この危機的状況をいち早く把握し、すでに行動を始めています。
◆「長期」「分散」「積立」投資でお金は堅実に増やせる!
投資の必要性はお分かりいただけたと思いますが、どうしても踏み切れない人もまだいることでしょう。特に不安なのは、「値動きでお金を失う可能性」ではありませんか? でも大丈夫。値動きとうまくつき合っていく方法があります。
それは「長期投資」「積立投資」「分散投資」の3つすべてを行うことです。
「長期投資」は文字どおり、長期間かけてじっくりと投資に臨むことです。短期間で相場を見ると、一時的な要因により変動幅が大きく振れることはありますが、長期間では相場の変動幅がならされます。また、長期投資のメリットは複利を味方につけられることです。複利効果(利息が利息を生む効果)を活用すれば、お金の貯まるスピードは増します。
「分散投資」は、いろいろな商品にわけて投資することです。ひとつの商品だけ集中的に買ってしまうと、万が一その商品が値下がりしたときに、大きく損をする可能性があります。投資先を分散しておけば、ひとつの商品の値下がりを、ほかの商品の値上がりでカバーできる可能性があります。
「積立投資」は、毎回一定額ずつ購入することです。投資商品のように上下に値動きするものは、いつが高い(安い)のか、プロでも判断が難しいものです。その分、一定額ずつ購入すれば、安いときにはたくさん買えることになり、平均購入単価を下げることができるのです。また、投資は「自分の感情との戦い」などといわれることがありますが、積立投資では、どんな局面にあっても、感情に左右されず淡々と買いつけができる効果があります。
投資は今や、100円と少額からできる時代です。大きな金額は必要ないのです。
とはいえ、ずっと100円だけで投資をしていても、大きくは増えません。なので、無理のない金額で「お金自身に働いてもらう」経験を積みましょう。その過程で、投資金額も少しずつ増やしていけばいいのです。
株式会社Money&You
代表 頼藤 太希
本連載は、株式会社マリオン「i-Bond Blog」の記事を転載・再編集したものです。