2019年9月、国税庁により「民間給与実態統計調査」の結果が発表されました。本調査によると、サラリーマンの平均年収は441万円とのことです。年金問題をはじめ、少子高齢化による働き手不足など、老後不安につながる問題が尽きないですが、この年収のなかから資産を形成していくしかありません。そこで、老後資金の形成手段として「確定拠出年金」について考察していきます。

資産形成において、定期預金を重視する考え方が根強い

◆資産形成では投資信託よりも安全な元本確保型が相変わらず人気?

 

個人の資産形成のための制度「企業型確定拠出年金」、通称DCにおいて、次のような状況になっています。

 

運営管理機関連絡協議会が調査した運用商品選択状況(2019年3月末)によると、

 

定期預金の比率・・・34.4%

投資信託の比率・・・49.0%

 

上記のようになっています。

 

◆資産形成では安全な元本確保型よりも、リスクのある投資信託が重要ということが広まりつつあるのでは?

 

上記データから、いまだに資産形成において、定期預金を重視する考え方が根強いことがうかがえます。

 

一方で、投資信託の比率が徐々に上昇しており、金融リテラシーの向上も感じられます。

 

資産形成においては、安全性よりも、リスクを取る投資信託のほうが合理的なことが理解されてきているのかもしれません。

日本国民の老後資産形成の一翼を担う

◆企業型確定拠出年金では、投資信託ではなく、安全性の高い元本確保型が初期設定の企業が依然として7割に上る

 

ただ現在でも、企業型確定拠出年金の運用商品の初期設定が、安全な元本確保型の定期預金になっている企業が全体の7割にも上るようです。

 

筆者は正直な感想として、「金融リテラシーが企業の担当者に足らないのではないか」と感じます。

 

企業型確定拠出年金では、加入者も多く、多くの日本国民の老後のための資産形成の一翼を担っています。

 

ところが、そこに安全な元本確保型を初期設定にしてしまうと、困ることが予想されます。

 

65歳以降、毎年約60万円を受け取れる可能性が
安全な元本確保型が初期設定に

 

◆初心者の方は「よく分からないから怖い。だから安全な元本確保型を選んでしまう」

 

老後の資産形成のためには、安全な元本確保型だけを選択していては、かえって不利になる可能性があります。

 

ただ、企業型確定拠出年金でも個人型確定拠出年金(iDeCo)でも、運用商品の選択は個人の金融リテラシーにゆだねられています。

 

資産形成が怖い、よく分からないという方は、まずは合理的な金融リテラシーを学ばれてみてはいかがでしょうか。

 

 

佐々木 裕平

金融教育研究所 代表

 

本連載は、「金融教育研究所」掲載の記事を転載・再編集したものです。

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