匿名組合型か任意組合型か? 一口あたりの金額は?
前回の記事の中でお伝えしましたが、小口化商品は大きく分けて「匿名組合型」と「任意組合型」があり、分配金の扱いや税制の違いなど、タイプによって変わってきます。
相続税評価額を利用した資産圧縮効果や、小規模宅地の特例の活用など、不動産税制を利用した相続税対策には「任意組合型」の商品を選ぶことになります。
1口あたりの金額がいくらに小口化されているかも大事なポイントです。1口50万円の商品もあれば、100万円のもの、中には1000万円のものもあります。
例えば、自己資金が1000万円の場合、
パターン1:1000万円の商品を1口買う
パターン2:1口50万円の商品10口と、100万円の商品5口を組み合わせて買う
というように、リスク分散など投資スタイルによって資金配分が変わってきます。
なお、最低口数が5口以上、最高口数が200口以下など1人あたりの最低出資金額と最高出資金額に制限を設けている商品もあります。
「利回り」と「諸費用」は必ずチェックしておく
投資をするうえで、利回りの確認はとても大事です。表面利回りと実質利回りの違いを理解し、その商品の実質利回りを知りましょう。
表面利回りとは、年間の家賃収入を物件の購入価格で割ったものです。
想定される年間家賃収入÷物件の購入価格=表面利回り
実質利回りとは、年間の家賃収入から経費(固定資産税・都市計画税、火災保険料、管理費、修繕積立金など)を引いた実質的な家賃収入を、物件の購入価格で割ったものです。
(年間家賃収入−経費)÷物件の購入価格=実質利回り
商品説明に、どちらの利回りが記載されているのか注意する必要あります。
また、諸費用も忘れずに確認しましょう。たとえば、登記費用と不動産取得税。「匿名組合型」では、現物出資のため登記費用、不動産取得税は必要ありませんが、「任意組合型」は、原則それぞれかかります。
贈与や譲渡した際の手続き費用や、事務手数料などの設定は会社によって千差万別です。
たとえば、生前贈与を考えて投資するのであれば、何回に分けて贈与するか、口数やタイミングをどうするかなど、諸費用も加味して考える必要があります。
「運用期間」と「分配金の支払い回数」もチェック
運用期間も大事なポイントです。商品によっては、3年~5年以下の短期向けというものもあれば、10年や30年という長期にわたるものもあります。
自分の投資目的によって運用期間は変わってきます。相続対策で小口化商品を考えているのであれば、相続が発生するまえに運用期間が終わってしまう可能性がある短期向け商品よりも、長期向け商品を選ぶほうが良いでしょう。
また、分配金の支払われる回数も確認しましょう。大半の商品は年1回または2回ですが、中には6回や毎月分配型の12回というものもあります。私的な年金を目的として投資するのであれば、分配回数の多い商品が魅力的かもしれません。
次回は、小口化商品を選ぶ際のチェックポイント「物件の立地」「修繕計画と築年数」「構造」をお伝えします。