おひとりさまは2,000万円でも足りなかった!老後破滅は回避できるか?

※本記事は、楽天証券の投資情報メディア「トウシル」で2019年12月17日に公開されたものです。

「おひとりさま」の最大のリスクは「老後資金」

独身人生を歩むことはそれほど珍しいことではなくなりました。それは人生の一つの選択であって、職場での評価に影響するわけでもないし、地域で後ろ指を指されることもありません(そういう会社や地域もまだ少し残っているようですが、気にしないことです)。

 

離婚も珍しいことではなく、結婚しても独身に戻ることもあります。これもまた、相性の悪いパートナーと無理をして一緒に過ごすのなら、そんなものはさっさと見切りをつけて、一人で働いて一人分を養えばいいのです。

 

データを見ると、2015年国勢調査では生涯未婚率(50歳時点での未婚割合)が男性23.4%、女性14.1%となっており、2035年の予測では男性29.0%、女性19.2%と見込まれています。

 

自分の人生を自分で切り盛りできれば、誰にも文句を言われず、その生き方をエンジョイできる「おひとりさま」ですが、大きな弱みが一つあります。それは「老後」です。

 

今回は、「おひとりさまの老後資産形成」について考えてみます。

夫婦の老後の生活費は1人暮らしより「割安」でもらえる年金は2人分:おひとりさまのウイークポイント

現役時代、正社員である場合、おそらく生活費のやりくりはなんとかなると思います。むしろ正社員で40~50代にかけて、そこそこ稼げている人は、子どもにお金がかからない分、同僚よりかなり余裕のある生活をエンジョイしていたりします。

 

それはそれで人生の選択なので堂々と楽しめばいいのですが、「自分の老後への意識」を持たないままなら、それは要注意です。

 

というのは、単身の正社員の老後はかなり危ういものであるからです。

 

まず生活費はそれなりにかかります。総務省家計調査年報(2018年)では年金生活夫婦の生活コストを月26.5万円、年金生活の単身者の生活コストを月16.2万円としています。2人暮らしの生活コストの半分は約13万円になるはずですが、1人暮らしの生活コストは2人暮らしのそれよりも、やや割高になるわけです。

 

考えてみれば当たり前の話で、冷蔵庫も一つ必要だし風呂を張る水道代も必要だし、1人暮らしの生活コストは半分とはいきません。

 

一方で、年金のモデル水準はどうでしょうか。「厚生年金+国民年金(基礎年金)」を1人分、モデルケースで月15.6万円程度もらえます。ただし、正社員でなかったため、国民年金分しかもらえない人は月6.5万円と大きく下がります。

 

これに対し、専業主婦やパートであった妻と会社員の夫のモデルであれば、合計で22.2万円です。さらに、共働き正社員夫婦であったとすれば、厚生年金を2人分もらえるので、モデルでおおむね28万~30万円くらいを毎月の年金として受け取ります。

 

おひとりさまの老齢年金は大卒初任給ほどももらえない、というイメージです。これでは現役時代と比べてだいぶ余裕がなく、相当苦しい家計のやりくりを迫られることになるでしょう。

おひとりさまは老後に2,000万円どころではない

今年の話題となった「老後に2,000万円」は、夫婦のモデルで不足する5万円台の不足額を人生100年時代で想定したものでした。

 

モデル上、おひとりさまは生活費16.2万円に対し、15.6万円の年金があるように思います。しかし、これは「年金以外に余裕がないから年金の範囲でやりくりしている」と考えたほうがいいでしょう。

 

家計調査年報では、月3.8万円ほど取り崩している実態が明らかになっています(年金額が少ない人、寡婦の年金生活者なども含まれるため)。この数字も、年金生活夫婦の月4.2万円の取り崩し額に近いものとなっていて、夫婦とおひとりさまにはほとんど差がないのです。

 

仮に「月3.8万円不足」×「人生100年時代なので35年の老後」だと仮定すれば「老後に1,600万円」です。

 

そして、多くの「正社員おひとりさま」が「もっと豊かな暮らしをしたい!」と希望するのであればそれ以上の上積みは欠かせません。仮に「月4万円の生活費を上乗せ」するなら、「プラス老後に1,700万円(合計で3,300万円)」になります。

 

また、介護や家事などを誰かに頼む場合も、おひとりさまは自腹で負担することを思えばお金の備えは毎月の不足額を埋めればいいというわけではありません。実際にはどれくらいかかるかは分かりませんから、「プラス老後に500万~1,000万円」と余裕を見込めば、「合計額は3,800万~4,300万円」と大きくふくらんでいきます。

 

この金額になると会社から退職金をもらえばなんとかなる、というわけにはいきません。むしろ計画的な備えを現役時代から行い、自分の老後の経済的基盤を確立させる意識を持つ必要があるわけです。

 

おひとりさまである以上は、自分の老後の豊かさも自分が支えるのだという覚悟を持って、老後のための貯金や投資を行うべきです。

 

そのためには、目の前の消費を少し控えることも必要になるでしょう。「今使う1万円のガマン」は「老後に自分が使う1万円+運用益」として返ってくることになるからです。

iDeCoやつみたてNISAはおひとりさまには必須と考えよう

だとすればやるべきことは明確になってきます。まずはiDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)への加入です。これに加入すれば「60歳まで解約できない積立口座」を確保することになります。掛金に対する所得税・住民税の軽減効果は拠出段階でもらえた運用収益のようなものです(課税率が20%であれば運用益としては積み立てするだけで25%得られたようなもの)。また、運用収益の非課税も魅力的です。

 

そして、次にNISA(ニーサ:少額投資非課税制度)口座の開設を検討します。年間40万円程度であればつみたてNISAを活用して「老後までできるだけ解約せずにキープする口座」として資産形成に取り組みたいところです。

 

ここで、40歳でおひとりさまを覚悟した人が20年、iDeCoとつみたてNISAに加入した場合のケースを検証します。

 

掛金拠出ベース

iDeCo(企業年金がない会社員の場合):27.6万円×20年=552万円

つみたてNISA:40万円×20年=800万円

合計で約1,300万円

 

運用益を加算

・年2.0%

 iDeCo 約678万円

 つみたてNISA 約983万円

 合計 約1,660万円

・年4.0%

 iDeCo 約844万円

 つみたてNISA 約1,223万円

 合計 約2,066万円

 

これだけの資金が積み上がれば、退職金を加えて「おひとりさまの老後」に一定の経済的メドが立つことになります。65歳まで働ける社会に時代が変化すれば、もっと積み上げが可能ですから、40歳でスタートしても遅くはないと思います。

 

年間67.6万円の積立投資はなかなかハードルが高いかもしれませんが、ボーナスも併用しつつなんとか積立を継続してみてください。家計からの捻出とボーナスで、二つの制度の上限額をフル活用してみるのはどうでしょうか。

おひとりさまの老後は自分自身で確保するという覚悟を

悔いのない人生の選択としてのおひとりさまだったはずが、老後にお金がなくて後悔する、というのはちょっとさみしい話です。目の前の消費を控え、自分の未来を豊かにするために「自分へ自分が仕送り」をするのだと考えてみてください。

 

ここで頑張れた人は、老後に泣きを見ることがなくなるでしょう。

 

そのために必要なことは、今の自分の行動一つ、つまり「口座開設と積立の開始」なのです。今から口座開設の準備をして、2020年はぜひ自分の老後に備える元年にしてみてください。

 

 

山崎 俊輔

フィナンシャル・ウィズダム代表 ファイナンシャルプランナー

 

※本記事は、楽天証券の投資情報メディア「トウシル」で2019年12月17日に公開されたものです。

 

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