奨学金は「一種の借金」のようなもの?
◆給付型と貸与型の違いについて
日本学生支援機構(JASSO)の奨学金には大きく3種類があります。
①返す必要のない給付型
②無利息で借りられる貸与型第一種
③利息のつく貸与型第二種
この3種類です。
今回は、奨学金制度についてザックリと見ていきたいと思います。
◆そもそも「奨学金制度」とはどんな制度?
奨学金は非常にわかりやすくいいますと、一種の借金のようなものです。
例えば、大学・短大・専門学校・高専4年生に進級を予定しているけれども、家庭の事情などによりお金がない場合に、お金を借りて進学などを行うための制度です。
ただ、近年では「返す必要のない給付型」というものや、「無利息で借りられる貸与型第一種」というものもあります。
◆奨学金制度の3種類の違いについて
それでは、奨学金制度の3種類について見てみましょう。
ここでは、最もポピュラーな独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)の一例で見てみます。
①返す必要のない給付型
②無利息で借りられる貸与型第一種
③利息のつく貸与型第二種
上記3種類です。
給付型は文字どおり、返す必要がありません。もらえるお金です。ただ、在学中に学生としてふさわしくない行為をするなどした場合は、その限りではないようです。
貸与型第一種は、借金ですが、無利息で借りられます。貸与型第二種は利息が付きます。
利息とは、お金のレンタル料金です。利息には金利が関係していますが、ここ数年は低金利が続いています。2017年時点では0.33%だったようです。
例えば、576万円借りて、金利が0.33%の場合は、利息はおよそ20万円です。つまり、576万円のお金を20万円でレンタルできる、というイメージです。576万円と20万円のレンタル料金は卒業後に15年や20年などの期間に分けて少しずつ返していきます。
所属している高校を通じて、JASSOから奨学金を借りる
◆奨学金はどこで借りられる? 独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)
奨学金は所属している高校を通じて、独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)から借ります。通常、4月~5月くらいに高校で説明会が開かれます。とにかく、ここで参加しましょう。
何も決めてなくても、ほんの少しでも進学の予定があるなら、参加して、5月から6月くらいの予約採用に申し込みます。
また、現在では独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)以外にも、大学独自の奨学金や企業の奨学金などあります。また、地方自治体の奨学金もあるようです。
◆奨学金についての注意点!
取り急ぎ、奨学金制度についての注意点を紹介します。
①毎年のように制度の中身が変わるので、情報は最新のものをチェックする。JASSOのHPでチェック!
②「大学に受かってから奨学金を考えよう」では遅いので、高校3年の4月ごろから動く!
③進学するかどうか迷っていても、とりあえず申し込む! キャンセルや金額の変更は後である程度可能!
④まずは給付型(もらえる)の要件に当てはまらないかチェックする
⑤給付型(もらえる)と貸与型第一種(無利息)は併用できる
⑥貸与型第一種(無利息)と貸与型第二種(利息あり)は併用できる
⑦よく分からなかったら、高校の先生に質問して、とにかく早く動く! 6月と11月が予約採用の申し込み期限であることが多い
◆借金はイヤだ!という方へ…筆者の考える良い借金と悪い借金について
給付型を除く奨学金の貸与型第一種・第二種は借金です。卒業後などにお金を返していかなくてはいけません。
そのため、なかには親御さんや学生さん自身が「借金はいけないことだ」「借金してまで進学するのはおかしい」と思われることもあるかと思います。
それは、個人の考え方なので筆者には否定できません。ただ筆者は、借金については以下のように考えます。一つの考え方として、お読みいただければ幸いです。
◆借金とは「未来のお金の前借り」、利息とは「お金のレンタル料金」
借金とは、未来の自分からお金を借りる行為だと筆者は考えています。
そのため、よい借金とは借りたお金以上のお金を産みだせる人的投資(教育)です。最たるものは奨学金だと思います。
企業や大人の場合は、工場を立てるための融資や新規事業のための借り入れ、住宅ローンなどです。
また、利息が付きますが、低金利の現在は安くお金をレンタルできます。利息とはお金のレンタル料金です。
悪い借金とは、借りたお金より少ないお金になってしまう行為です。一例としては、マイナスサムゲームである競馬・競輪・パチンコなどです。
一般的に、大学卒業後に就職をするほうが年収が高い傾向にあります。そのため、人生トータルでみて、借りた奨学金よりもより多くのお金が稼げる状況になるのであれば、その借金は良い借金だと思います。
奨学金で迷っている方がおられましたら、トータルでどうなのか?という点をじっくりと考えてみるとよいかと思います。
若年期における投資先としてもっとも有効なのは「自分自身」という人的資本なのかもしれません。
佐々木 裕平
金融教育研究所 代表