2019年10月分「機械受注」データの分析

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供する「宅森昭吉のエコノミックレポート」の『経済指標解説』を転載したものです。

 

10月分機械受注(除船電民需)は前月比▲6.0%と4カ月連続の減少

 

製造業・前月比は▲1.5%と3カ月連続の減少、非製造業は2カ月ぶり減少

 

10~12月期見通し達成に残り2カ月、前月比+12.7%ずつ必要で達成困難か

 

3カ月移動平均前月比2カ月連続減少。判断は「足踏みがみられる」に下方修正

 

 

 

 

●10月分機械受注(除く船舶電力の民需ベース、以下、除船電民需と表記)の前月比は▲6.0%と4カ月連続の減少になった。3カ月移動平均は前月比▲3.7%で2カ月連続の減少となった。また、機械受注(除船電民需)の前年同月比は▲6.1%で2カ月ぶりの減少になった。

 

●10月の台風による被災の影響もそれなりにありそうだ。浸水被害となった工場では直ぐに機械に発注をするわけにもいかなかっただろう。

 

●機械受注(除船電民需)の大型案件は、前回9月分では大型案件は0件だったが、今回10月分でも大型案件は0件だった。

 

●10月分製造業の前月比は▲1.5%と3カ月連続の減少。製造業17業種中、9業種で増加し、減少は8業種だった。

 

●10月分非製造業(除船電民需)の前月比は▲5.4%と2カ月ぶりの減少になった。9月分の電力業は大型案件が火水力原動機1件だったが、10月分の電力業は大型案件が原子力原動機1件だった。前月比は+40.9%の増加になった。電力業を含む、非製造業全体では前月比+7.2%と2カ月ぶりの増加になった。非製造業12業種中、5業種が増加で7業種が減少となった。

 

●大型案件は、前回9月分では合計6件。内訳をみると、前述の電力業の1件の他は、外需5件(航空機3件、船舶2件)であった。今回10月分では合計4件。内訳をみると、前述の電力業の1件の他は、官公需1件(鉄道車両)外需2件(その他重電機1件、電子計算機等1件)であった。

 

●中小企業の動きを反映している部分がある代理店受注は10月分で前月比▲3.9%と4カ月ぶりの減少となった。前年同月比は▲13.8%と6カ月連続の減少になった。

 

●外需は10月分で前月比+2.9%で2カ月ぶりの増加になった。前年同月比は▲16.3%と7カ月連続の減少になった。外需の7~9月期は前期比+6.8%の増加だった。11月分・12月分が各々前月比+0.1%なら、10~12月期は前期比+0.1%と2四半期連続の増加になる。外需に持ち直しの兆しが出ている感じもある。

 

●内閣府の基調判断の推移をみると、18年10月分と11月分では「機械受注は、持ち直しの動きに足踏みがみられる」という判断だったが、18年12月分に「足踏みがみられる」に下方修正され、19年3月分まで4カ月連続して「足踏みがみられる」という判断だった。4月分では3カ月移動平均が+3.6%と4カ月ぶりに増加に転じたこともあり、4月分では「機械受注は、持ち直しの動きがみられる」という判断に上方修正された。5月分・6月分・7月分に続き8月分でも「機械受注は、持ち直しの動きがみられる」という判断で据え置きとなった。前回9月分では前月比が3カ月連続減少かつ3カ月移動平均が▲4.0%の減少に転じたことなどから下方修正され、18年10月分・11月分以来の「機械受注は、持ち直しの動きに足踏みがみられる」という判断になった。

 

●今回10月分では前月比が4カ月連続減少かつ4カ月移動平均が2カ月連続減少したことなどから下方修正され、18年12月分~19年3月分以来の「機械受注は、足踏みがみられる」という判断になった。

 

 

●機械受注(除船電民需)10~12月期の前期比見通しは+3.5%である。10~12月期の前期比実績は見通しに使う達成率の計算方法を変えた09年(平成21年)からの10年間でみると、上振れ7回、下振れ3回であり、上振れしやすい傾向がある四半期である。しかし、今回は厳しそうだ。

 

●10~12月期の前期比見通しの達成には、11月分・12月分と各々前月比+12.7%が必要だ。前期比0.0%には11月分・12月分と各々前月比+9.2%が必要だ。11月分・12月分が各々前月比0.0%なら、10~12月期は前期比▲8.6%になるがそこまで悪い減少率にはならないだろう。

 

●景気ウォッチャー調査の設備投資関連・DIのこの1年間の動きをみてみよう。18年12月分の景気ウォッチャー調査では、設備投資関連・現状判断DIは55.0(同5人)、設備投資関連・先行き判断DIが50.0(同9人)。19年1月調査では設備投資関連・現状判断DIは44.4(同9人)と悪化したが、設備投資関連・先行き判断DIが58.3(同12人)。このころはまだ、底堅い動きだった。

 

 

 

●19年に入ると、米中貿易摩擦など先行きの不透明材料を受けて、設備投資関連・現状判断DIは8月に36.5(同13人)、11月に35.4(12人)まで、設備投資関連・先行き判断DIは6月・9月に31.8(同11人)まで低下した。

 

●11月には、設備投資関連・先行き判断DIが51.6(同16人)とへ1月以来の50超に戻ったことは明るい材料だ。

 

●11月調査・現状判断理由では「人手が減ってきている現状を踏まえて、様々な対策を講じなければ、乗り切れないとの認識を持つ会社が多く、設備投資に大きな金額を掛けている傾向もみられる。(北海道・コピーサービス業(従業員)」という声がある一方、「北米自動車向け設備投資は引き合いも激減し、あったとしても既存設備の改造ばかりで新規設備導入の話がない。(東海・一般機械器具製造業(営業担当)」といった意見がみられる。

 

●11月調査・現状判断理由では「北米では1月から新年度が始まる会社が多いので、自動車部品用設備投資の予算獲得のための問合せが増えている。(東海・一般機械器具製造業(営業担当)」という声がある。同業の中でも先ほどのコメントと逆方向の内容である。また、「九州でも商業施設開業やホテル建設、簡易宿所・民泊施設等の建設、再開発等前向きな設備投資が多いことも先行き明るい。(九州・その他飲食の動向を把握できる者[酒卸売](経理)」といった意見がみられる。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2019年10月分「機械受注」データの分析』を参照)。

 

2019年12月12日

 

 

宅森 昭吉

株式会社三井住友DSアセットマネジメント 理事・チーフエコノミスト 

 

株式会社三井住友DSアセットマネジメント 理事・チーフエコノミスト

旧三井銀行(現三井住友銀行)で都市銀行初のマーケットエコノミストを務める。さくら証券チーフエコノミストなどを経て現職。
パイオニアである日本の月次経済指標予測に定評がある。身近な社会データを予告信号とする、経済・金融のナウキャスト的予測手法を開発。その他、「景気ウォッチャー調査」などの開発・改善に取り組んできている。「より正確な景気判断のための経済統計の改善に関する研究会」など政府の経済統計改革にも参画。「景気循環学会」常務理事。
著書に『ジンクスで読む日本経済』(東洋経済新報社)など。

著者紹介

連載【宅森昭吉・理事・チーフ エコノミスト】エコノミックレポート/三井住友DSアセットマネジメント

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