8月、9月と2ヵ月連続で、総件数が前年を下回る
全上場企業に義務づけられた適時開示情報のうち、経営権の移転を伴うM&A(グループ内再編は除く)について、M&A仲介のストライク(M&A Online)が集計した。
10月のM&Aの総開示件数74件の内訳は買収64件、売却10件(買収側と売却側の双方が開示したケースは買収側でカウント)。このうち海外案件は19件(買収17件、売却2件)だった。海外案件を国・地域別にみると、米4件、豪3件(売却1件含む)、台湾(売却1件を含む)、シンガポール、ベトナム各2件など。
総件数は8月、9月と2ヵ月連続で前年を下回ったことから、活況が続くM&A市場に潮目の変化が出てきたのかどうかを占う意味で、第4四半期(10~12月)のスタート月の動向が注視されていたが、引き続き高水準にあることが確認された形だ。1~10月の累計では676件と前年同期を46件上回っている。
大日本住友、欧州創薬ベンチャー傘下の5子会社を買収
金額トップは大日本住友製薬の案件。英国とスイスに本社を置く創薬ベンチャー、ロイバントとの戦略提携に伴い、ロイバント本体に10%出資(約1100億円)するとともに、同社の新薬開発子会社5社を約2240億円で買収する。大日本住友が取り組むM&Aとして過去最大。2020年3月までに買収完了を目指す。
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資生堂、米スキンケア化粧品会社を約910億円で買収
資生堂は米スキンケア化粧品のドランク・エレファントを約910億円で買収すると発表した。ドランクは2012年に創業した新興の化粧品メーカーで、2019年12月期の売上高は初めて100億円を突破する見通し。米国で若年層の支持を広げる新ブランドを取り込み、主力のスキンケア事業を世界規模で拡大する。
アサヒHD、マッサージチェア最大手の子会社を譲渡
アサヒホールディングス(HD)は子会社のマッサージチェア最大手、フジ医療器(大阪市)の株式60%を台湾のフィットネス機器メーカーであるジョンソンヘルステックに譲渡する。譲渡価額は67億円。アサヒHDは2014年にフジ医療器を傘下に収めたが、米国や中国など海外市場の本格開拓を目的に同社を合弁運営に切り替える。譲渡先のジョンソンは全世界に30の販売子会社、300強の直営店を持つ。
ホンダ、系列部品メーカーに総額3200億円超のTOBへ
10月のM&Aで注目されたのが日立とホンダによる傘下の自動車部品メーカー4社の合併。合併するのは日立の完全子会社の日立オートモティブシステムズ(茨城県ひたちなか市)、ホンダが筆頭株主のケーヒン、ショーワ、日信工業の上場3社。統合時期は未定だが、合併後の統合会社の売上規模は約1兆8000億円と、トヨタ自動車系のデンソー、アイシン精機に次ぐ国内第3位の部品メーカーに浮上する。
合併に先立ち、ホンダはケーヒン、ショーワ、日信工業の3社にTOB(株式公開買い付け)を実施し、完全子会社化する。買付金額は3社合計で3200億円を超える。完全子会社化後、日立オートモティブシステムズが3社を吸収合併し、経営を統合する。統合会社への出資比率は日立66.6%、ホンダ33.4%となる。
日立・ホンダのこの発表翌日の10月31日には、アイシン精機が変速機子会社のアイシン・エィ・ダブリュ(AW、愛知県安城市。売上高約1兆6700億円)と2021年4月をめどに経営統合することで基本合意した(グループ内再編のため集計件数には含まず)。アイシンAWの株式約40%を持つトヨタも両社の統合に賛同している。
次世代の自動車技術「CASE」領域での開発競争の激化が統合・再編への部品各社の背中を押した格好。今後、同様の動きが広がることが予想される。
ブシロード、女子プロレス「スターダム」買収
一般にも広く関心を集めたのがブシロードによる女子プロレス団体のスターダム(東京都江東区)からの事業取得。ブシロードは2012年に国内最大の男子プロレス団体「新日本プロレス」を子会社化した。近年はキックボクシングに進出するなど、格闘技系の興行事業に力を入れている。
アシックスは、カナダのファストノースコーポレーションが運営するマラソンレース登録サイト「Race Roster(レースロースター)」事業を取得することを決めた。取得価額は約30億円。レースロースターはランナーがレースに申し込みをする際のプラットフォームで、登録規模で北米3位という。
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