※本記事は、ファイナンシャルプランナーでTSPコンサルティング株式会社代表の佐藤毅史氏が、中小企業オーナーが自身の可処分所得を増やすためのノウハウを紹介します。今回は、税理士の選び方について見ていきます。

富裕層なら知っておきたい「税理士」の選び方

2014年、英国オックスフォード大学のマイケル・A・オズボーン准教授が発表した「雇用の未来」という論文が世界に衝撃を与えました。要約すると、コンピューターの発達による自動化(AIロボット化)が急激に進み、単純労働等の人的労働力が必要となくなり、10年後には今ある職種のおよそ半分が消滅してしまうというものです。

 

これは、まったくもって大げさな話ではなく、アメリカに限らず世界中、日本においても現実に起きはじめています。競争もより一層激しくなる中、なくなる仕事の代名詞が「簿記・会計等の総務事務職」といわれる人たちではないでしょうか。当然、その筆頭ともいえる税理士についても、中小企業の後継者難による廃業増加、それら顧客の自然減に伴う食い扶持の減少に直面しているのが現状です。

 

今回は、富裕層顧客を多く持つ経営コンサルタントの筆者が、自身も慎重を期している税理士の選び方について解説します。

 

「五輪の元金メダリストで医者の資格もあり、かつ、敏腕経営者」

 

こんな華々しい経歴の持ち主、当然ですが存在しません。人間、極められることは、せいぜいひとつかふたつです。例えば、スポーツの世界を見ても、パフォーマンスを上げるアスリート選手をサポートするべく、マッサージや食事の管理等を行う専門家、トレーニングメニューを作るコーチやスケジュール管理を行うマネージャー等の数多くの専門家が存在します。すべてを自分でこなせれば、余計なお金はかかりませんが、24時間という限られた時間の中で、自分の得意を極め、苦手や不得意分野は外注する。これが、稼ぐ富裕層の基本的思考ともいえます。

 

そんな中で、難関資格にも位置付けられ、経営者をはじめ多くの富裕層が仕事を外注するのが、税理士です。

 

会社の決算書を作成し、中には給与計算や記帳業務を請け負う税理士もいます。税務調査の際には、調査に立ち会い、税務職員とのやりとりを行うわけです。税法という難しい法律に長けているのですから、当然外注して仕事を依頼するのですが、その税理士になっている人の属性が意外と知られていないのも事実。我々は、必要以上に税理士を奉っているように思います。

必ずしも資格の難易度と能力(実績)は比例しない

税理士という資格を持っている人には以下の3パターンが考えられます。

 

①試験に合格して税理士となった人

最もオーソドックスなパターンです。全11科目中5科目合格すれば税理士になれます。しかし、昨今の大学全入時代では、大学院まで進学する人も多くいます。実は、これが盲点のひとつです。修士課程まで修了すると2科目、博士課程を修了すると4科目が免除となるので、ひどい場合には博士課程を修了して簿記論(一番簡単)をクリアーして税理士になったという人間も存在します。

 

また、所得税と法人税は選択となるため、所得税を選んだ人の中には、法人税務をさっぱり知らない人も、実は存在します。また、少子高齢化社会で、今後さらに必須となる相続税については、選択しない人も相当数いるわけです。

 

②公認会計士及び弁護士で、税理士登録した人

もともと難関な国家資格を持つ人が、税理士として登録したケースが該当します。しかし、会計士は企業の不正を見抜く監査業務が主です(とはいえ、東芝や日産の不正も見抜けないのですから、名ばかり資格といえます)し、弁護士は企業法務や契約書のチェックがメインです。税務を理解しているとは到底いえない人もいるわけです。

 

③国税OB

最近増えているのが、このパターンです。税務署等の国税官公署で23年以上勤めた後に指定の研修を受けると税理士になれます。人生100年時代を考えると、公務員のセカンドキャリア上は必要な事かもしれませんが、所詮公務員です。自力で稼ぐことは知らず、盗ることありきの役人あがりの人間です。苦労して稼いだ利益の30%をむしり取られる富裕層や経営者の気持ちなぞ分かるわけがありません。

 

実は筆者のお客さまの会社で、顧問税理士が2人もいる会社がありました。そこでは、国税OBが税務調査時に調査官の話し相手になり、実務はもうひとりの資格者が行うという感じで、いわゆる用心棒的なポジションに収まる(一歩間違えればヤ〇ザと一緒)ということを平然としていたのです。こんな無駄の極みがあるでしょうか。

 

ここまで見てきて、確かにそれ相応の能力(学力)とキャリアは持っている様に感じられるかも知れませんが、必ずしも資格の難易度と能力(実績)は比例しないことはわかっていただけたことでしょう。

平均年齢は60歳以上という超高齢資格…

「税理士資格と掛けて、足裏についた米粒と説く」。

 

その心は…「食うに食えない」。

 

かつては、資格の持つ独占業務と法的に保証された一定の需要に基づいて、仕事が途絶えることはありませんでした。しかし、弁護士にあっては法科大学院制度でその数が溢れています。税理士も然り、平均年齢は60歳以上という超高齢資格です。資格があれば食えた時代はとうに終わっているのですが、どうにも本質をつかめていない人ほど、自己保身に走る税理士を名乗る人に頼ってばかりいるようです。

 

筆者の知り合いの税理士は、最近になって相続専門を語ってHPを作り、相当に集客をしています。このように得意分野に特化するなどの工夫をしなければ、今後は生き残っていくのは難しい時代に突入しているのです。

 

名と実は違うということを念頭に、これまでの実績や経験等をよく見て、自分に合った本当の専門家を選びましょう。それをできる人こそが、真に可処分所得を増やすことが出来る富裕層足り得るのかもしれません。

 

あなたの会社の顧問税理士は、いかがですか?

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