年間約130万人の方が亡くなり、このうち相続税の課税対象になるのは1/10といわれています。しかし課税対象であろうが、なかろうが、1年で130万通りの相続が発生し、多くのトラブルが生じています。当事者にならないためには、実際のトラブル事例から対策を学ぶことが肝心です。今回は、法定相続人以外の第三者が遺産分割協議に参加することで起こるトラブルについて、円満相続税理士法人の橘慶太税理士に解説いただきました。

 

「えっ!?」突然のことで、驚く3人。

 

「だってこの人、お父さんの介護、色々と手伝っていたじゃないですか。なのに決められた通りしかもらえないなんて、不公平じゃない」と長男の妻が言ったとき、次男の妻が話に入ってきました。

 

次男の妻 「あなたは関係ないじゃない、3人で決めることなんだから、口を挟まないで」

 

長男の妻 「あなたも関係ないじゃない。あなたは、お父さんの介護、何もしてないでしょ」

 

次男の妻 「あなたが何かしたわけじゃないでしょ。知ってるのよ、介護を手伝ったのは、××さん(=長男)だけでしょ!」

 

長男の妻 「なによ、このままじゃ、遺産が減るからって、焦っているんじゃない?」

 

次男の妻 「私はそんなにがめつくないわ、あなたと違って!」

 

長男の妻 「なによ、その言い方!」

 

なに、言っているのよ、あんた!
なに、言っているのよ、あんた!

 

「まあまあ、ふたりとも」となだめる、母と長男と次男。妻同士の争いは、しばらく続いたといいます。結局、遺産分割は、当初話し合っていた通り、母に1/2、兄弟に1/4ずつで決着しました。しかし、妻同士がいっそう険悪になったのは、言うまでもありません。

法定相続人…第1順位~第3順位の決め方

事例のように相続人ではない第三者が遺産分割協議に口を挟み、トラブルに発展するケースはよくあります。

 

そもそも実際に人が亡くなってしまった場合、遺言書がある場合には、遺言書の通りに遺産を分けます。遺言書がない場合には、法定相続人全員での話し合いによって遺産の分け方を決めていくことになります。この話し合いのことを「遺産分割協議」といいます。

 

この遺産分割協議に参加できるのは、法律で決められた法定相続人だけです。また、法定相続人が全員揃っていないのに、勝手に進めた遺産分割協議は無効です。

 

では法定相続人になれるのは誰かというと、まず、配偶者です。ここでの注意点は、戸籍上、配偶者となっていない場合には、その人は法定相続人にはなれません。さらに配偶者以外の法定相続人には、優先順位があります。上の順位の法定相続人がいる場合には、下の順位の人は法定相続人になれません。まず、第1順位の法定相続人は子どもです。

 

法定相続人第1順位
法定相続人第1順位

 

当然、子どもが複数人いる場合には、その子どもたちすべて相続人になります。子どもがいない場合には、第2順位に進みます。第2順位の法定相続人は直系尊属である父母です。亡くなった人の妻(夫)と、亡くなった人の両親が法定相続人になります。そして、子どもも父母もいない場合には、第3順位に進みます。第3順位の法定相続人は兄弟姉妹です。亡くなった人の妻と、亡くなった人の兄弟姉妹が法定相続人になるケースです。

 

法定相続人第2順位
法定相続人第3順位

 

 

さらに本来、遺産を相続するはずだった子どもが先に亡くなってしまっている場合には、その相続する権利は孫に引き継がれます。相続権は孫には引き継がれますが、長男の妻には引き継がれません。長男の妻に遺産をあげたいときは遺言書が必要になります。

 

 

【動画/筆者が「遺言書の種類」を分かりやすく解説】

 

 

橘慶太

円満相続税理士法人

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