トランプ大統領は署名するか? 米国上院、香港人権法案可決

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香港での警察と抗議デモ参加者との激しい衝突が報道されています。デモの先行きが不透明な中、米国上院でデモ隊を支持する内容である香港人権法案が可決しました。米中貿易交渉が合意を目指す中での米議会の動きに中国政府は不満を示しています。市場では小幅ながら、リスク回避姿勢を反映して円高ドル安が進行しました。

香港人権法案:米上院でも可決、仮に成立なら報復すると中国は警告

米上院本会議は2019年11月19日、香港人権法案(「香港人権・民主主義法案」)を全会一致で可決しました。同法案はデモ参加者らを支援し、デモを暴力的に制圧しないよう中国に警告するのが目的となっています。

 

なお、下院は10月に同様の法案をやはり全会一致で可決しています。中国政府は法案に反対しており、成立すれば報復すると警告しています。

どこに注目すべきか:香港人権法案、一国二制度、署名、議会

香港での警察と抗議デモ参加者との激しい衝突が報道されています。デモの先行きが不透明な中、米国上院でデモ隊を支持する内容である香港人権法案が可決しました。米中貿易交渉が合意を目指す中での米議会の動きに中国政府は不満を示しています。市場では小幅ながら、リスク回避姿勢を反映して円高ドル安が進行しました(図表参照)。

 

日次、期間:2018年11月20日~2019年11月20日(日本時間正午)
[図表]日本円(対ドル)レートの推移 日次、期間:2018年11月20日~2019年11月20日(日本時間正午)

 

まず、香港人権法案について基本的なことを整理します。同法案の前提は米国が香港に高度の自治を認めた「一国二制度」が守られているかについて、毎年、米国務省による検証を行うものです。米国は一国二制度を前提に、ビザの発給や関税などで香港を中国本土よりも優遇していますが、香港人権法案の検証により香港への優遇を取り消す可能性も含まれるようです。

 

中国が検証について反対するのは当然ですが、香港にとっても優遇措置の制限は厳しい内容です。それでも、香港の基本的自由・自治が損なわれた場合にその責任を負う当局者に制裁を科す条項も盛り込まれた法案の成立を求める香港デモ隊の動きが報道されています。

 

次に香港人権法案が法律として成立する道筋ですが、上院と下院で内容が若干異なるため、恐らく両院で法案の一本化作業が行われた後に、トランプ大統領が署名すれば成立という流れです。したがって、今後の最大の注目はトランプ大統領が署名するかどうか、ということになります。

 

なお、議会は法案について、共和党、民主党とも支持する超党派の対応となっています。また、共和党の考えを反映していると見られるペンス副大統領は、香港のデモ参加者らに暴力が行使されれば対中貿易協定に米国が署名するのは難しいだろうとの見解にまで言及しています。

 

注目のトランプ大統領ですが、香港人権法案についてはほぼ沈黙を保っています。そのような中、マコネル共和党上院院内総務はトランプ大統領に対し、デモ参加者への支持表明を求めています。トランプ大統領の香港デモへのコメントは限られますが、8月にニュージャージー州で「天安門のように再び武力を使えば、取引が困難になる」と述べたことはありますが、明瞭なトランプ節からは程遠い印象です。当時と異なり、現局面では中国との通商交渉で部分合意を模索する微妙な時期だけに、トランプ大統領といえども、慎重にならざるを得ない状況と見られます。

 

中国外務省は20日に、香港人権法案が成立すれば報復するとあらためて警告しています。米中貿易交渉への影響が懸念されます。

 

もっとも、中国の反発は当然ながら予想される事態です。一方、トランプ大統領が署名するかなど、今後の行動を予想することはきわめて困難で、当面は注視が必要です。そこでポイントとなるのは、トランプ大統領と議会の間で、中国に対する微妙な姿勢の違いが見られることです。
 

 

当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『トランプ大統領は署名するか? 米国上院、香港人権法案可決』を参照)。

 

(2019年11月20日)

 

 

梅澤 利文

ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部投資戦略部 ストラテジスト

 

ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト 

日系証券会社のシステム開発部門を経て、外資系運用会社で債券運用、仕組債の組み入れと評価、オルタナティブ投資等を担当。運用経験通算15年超。ピクテでは、ストラテジストとして高度な分析と海外投資部門との連携による投資戦略情報に基づき、マクロ経済、金融市場を中心とした幅広い分野で情報提供を行っている。経済レポート「今日のヘッドライン」を執筆、日々配信中。CFA協会認定証券アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

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1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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