相続トラブル解決の糸口になる存在と考えられている「弁護士」ですが、本当にそうなのでしょうか? 今回は、相続トラブルにおける「弁護士」の必要性を見ていきましょう。

弁護士に依頼する前に「意識しておくべきこと」とは?

前回までの連載で、分割の視点に基づいて行う相続対策について具体的に解説してきました。それらの対策が十分にとられていなかった場合、遺産分割の方法などを巡りトラブルが起こる可能性があります。

 

万が一、トラブルが起こった場合、相続人の間でそれを解消することができなければ、最終的には弁護士に解決を委ねることになるはずです。その場合に意識しておいてほしいのは、弁護士は結局のところ、法定相続分にしたがって相続財産を分ける方向でトラブルを解決するということです。

 

そもそも、弁護士に依頼をしなければならなくなるようなトラブルのほとんどは、相続人が自己の遺留分以上の相続財産を求めることが原因となって起こっています。

 

遺留分以上といっても、相続人は、自身の法定相続分を上回る財産を求めることはできないので、「求められるがまま法定相続分に相当する財産を渡すか否か」が問題の焦点となるわけです。

 

たとえば、相続人として長男、次男、三男の3人がいたとします。この場合、次男と三男が、「法定相続分として3分の1ずつ分けてほしい」と求めてきたとします。その要求を、長男が「本家を維持することができなくなるから」と拒むために争いとなるのです。

弁護士に依頼しても、余計な費用と時間がかかるだけ!?

では、弁護士に委ねたからといって、果たして、そうした次男と三男の要求をはねのけることができるのでしょうか。

 

たとえば、相続財産のうち10分の9は本家に残して、後の10分の1を次男と三男で分けるというような形で弁護士は話をまとめられるのでしょうか。おそらく、それは難しいでしょう。

 

弁護士が出てきたからといって、次男、三男が「じゃ、自分は3分の1もいらない。本家を守るために我慢するよ」などと譲歩するとは思えません。もし、2人がそんな殊勝な態度をとるようなタイプであれば、弁護士が登場する以前の話し合いでとっくに譲歩していたはずです。

 

したがって、弁護士が出てきても、最終的には法定相続分のラインでまとめられる、結局、各自に3分の1ずつ財産を分けるということになるはずです。

 

そうであれば、弁護士に依頼せずに、もめた時点で法定相続分にしたがって分割すればよかったのです(長男としては納得がいかないでしょうが、遺言書等で対策をとっておかなかった以上、やむをえません)。

 

実際、筆者がこれまでにサポートしてきた案件で、当初こちらが提案していた解決策と、弁護士に依頼して最終的にまとまった解決策とで異なっていたことは一件もありません。結局、「弁護士に依頼して、余計な費用と時間がかかってしまった」というだけで終わる場合がほとんどです。

 

したがって、遺産分割を巡るトラブルの解決を弁護士に依頼する場合は、本当にその必要があるのかどうかを慎重に検討することをお勧めします。

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    本連載は、2013年12月2日刊行の書籍『地主のための相続対策』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

    地主のための相続対策

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    土田 士朗

    幻冬舎メディアコンサルティング

    ・利益を生まないのに評価額だけ高い空き地 ・バブル期に建てて不良債権化したアパートやマンション ・全体像が把握できない先祖代々受け継がれた土地etc… 土地が絡む相続は、複雑になりがちです。 本書では、長年にわ…

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