年末調整はここに注意!年末調整の基礎知識(2)

※本記事は、楽天証券の投資情報メディア「トウシル」で2019年11月8日に公開されたものです。

 

実は多くの方が記載を間違えている年末調整の必要書類。今回は特に注意したい点について解説していきます。

年末調整で最も間違えやすい箇所は?

ここから年末にかけ、税理士として年末調整書類を拝見する機会が増えてくる筆者ですが、年末調整の書類は、大変多くの方が間違った記載をしています。

 

最も多いのが、「所得」と「収入」を混同して記入しているという点です。例えば扶養控除等(異動)申告書の中には、配偶者や扶養親族の所得の見積額を記載する欄があります。ここに「所得」ではなく「収入」を記載しています。

 

例えば、配偶者の「給与所得」が150万円であれば配偶者特別控除の適用を受けることはできませんが、配偶者の「給与収入」が150万円なら、配偶者特別控除の適用があります(本人の所得要件を満たしていることを前提)。

 

しかし、配偶者の給与収入が150万円のとき、年末調整書類の配偶者の所得金額の欄に「150万円」と書いている方がかなりいます。

「給与収入150万円」と「給与所得150万円」は全く違う!

給与収入が150万円であれば、そこから給与所得控除65万円(令和2年は55万円)を差し引くので所得は85万円(令和2年は95万円)になります。その結果、配偶者特別控除の適用を受けられます。

 

それなのに、給与収入150万円を、そのまま所得金額の欄に書いてしまうと、会社としては「所得が150万円だから配偶者特別控除は適用されない」と判断することになります。

 

その結果、年末調整の際に配偶者特別控除が反映されず、必要以上の税金が徴収されることになってしまいます。

 

筆者の顧問先では、上記のような場合は「150万円と書いてありますが、これは収入ですか? それとも所得ですか?」と従業員の方に確認してもらうようにしています。でも会社によっては年末調整書類の記載が誤っていても、記載のとおりに処理するところもあるでしょう。

 

配偶者控除等申告書には、所得金額の計算表が掲載されています。これをもとに所得を計算し、所得の欄にうっかり収入金額を書かないように気を付けましょう。

後日税務署からの問い合わせにより追加税額を払うことも

配偶者控除・配偶者特別控除、扶養控除などが本当は受けられないにもかかわらず、年末調整書類には控除対象者とし、記載して各控除を受けてしまうケースも非常に多いです。

 

その結果、後日税務署から会社に対して問い合わせが入り、調査の結果控除が受けられないとして税額を追加徴収されることになります。

 

最も多いのが、学生だった子どもが4月から社会人になる年や、無職だった人が働き始めるようになった年、アルバイトでかなりの金額を稼いだ年などの間違いです。

 

いずれも、配偶者控除、配偶者特別控除や扶養控除の対象者として会社には届け出ているものの、実際は所得が控除対象の適用範囲を超えていた、というものです。

扶養から外れたらすぐに会社に連絡を!

例えば今回の年末調整で気をつけなければいけないのが、来年(令和2年)に大学等を卒業し、社会人として4月から就職する子どもがいる場合です。

 

今年は扶養控除の対象となる親族であっても、来年は4月から働けば通常は控除対象扶養親族から外れるだけの給与所得を得られるはずです。

 

したがって、令和2年分給与所得者の扶養控除等(異動)申告書では控除対象扶養親族から外しておく必要があります。

 

また、本年分(平成31年分)の扶養控除等(異動)申告書にて源泉控除対象配偶者や控除対象扶養親族として記載をした家族が、実際には所得が多く控除要件を満たしていないという場合は、速やかに会社に連絡してください。

 

逆に、配偶者や扶養親族の給与収入が当初の見積もりより少なかったり、年の中途で退職したため、本年分は控除を受けられることになりそうだ、という場合も会社に連絡しましょう。

 

会社としては、以前提出された扶養控除等(異動)申告書の内容に変更があったとしても、本人からの連絡がなければその事実は分かりません。

 

源泉徴収税額の過不足が生じることのないよう、年末調整の際に会社に変更点を連絡しておきましょう。

 

年末調整の手続きは年々複雑になっています。会社の担当者も、誤りに気づけば教えてくれると思いますが、全てを完璧にチェックすることは不可能です。

 

ぜひご自身で、年末調整に関する知識を身に付けていただき、余計な税金を払ってしまったり、支払うべき税金を払わずに後日追徴される・・・といったことのないようにしてくださいね。

 

 

足立 武志

足立公認会計士事務所

 

※本記事は、楽天証券の投資情報メディア「トウシル」で2019年11月8日に公開されたものです。

 

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