南アフリカ・格付けレビュー直前…中期財政政策声明にも注意を

ピクテ投信投資顧問株式会社が、日々のマーケット情報を分析・解説します。※本連載は、ピクテ投信投資顧問株式会社が提供するマーケット情報・ヘッドラインを転載したものです。

 

今週の重要イベント(米連邦公開市場委員会〈FOMC〉など)の陰に隠れていますが、南アの財政動向を占う上で、中期財政政策声明(MTBPS)などに注意も必要です。南アランドの動きを見ると、米中貿易戦争は大きな変動要因ですが、南アの財政問題も動向を左右しているからです。11月月初には格付けレビューも予定されており、必要な点は押さえておく必要がありそうです。

南ア財政:南ア財政運営を占う、中期財政政策声明と救済計画が注目される

南アフリカ財務相は2019年10月30日に、19年の中期財政政策声明(MTBPS)を議会に提出する予定をホームページで公表しています。今回のMTBPSは20年の予算策定について重要なフレームワークを提供するとしています。

 

また、南ア政府は経営難となっている国営電力会社エスコムの中長期的な救済計画(方針)を公表しました。エスコム救済は南ア財政の懸念材料となっています。

どこに注目すべきか:南ア、格付け、投資適格、国営会社、MTBPS

今週の重要イベント(米連邦公開市場委員会〈FOMC〉など)の陰に隠れていますが、南アの財政動向を占う上で、中期財政政策声明(MTBPS)などに注意も必要です。南アランドの動きを見ると、米中貿易戦争は大きな変動要因ですが、南アの財政問題も動向を左右しているからです(図表1参照)。11月月初には格付けレビューも予定されており、必要な点は押さえておく必要がありそうです。

 

日次、期間:2018年10月29日~2019年10月29日 出所:ブルームバーグ、各種報道等を使用しピクテ投信投資顧問作成
[図表1]南アランド(対ドル)レートの推移 日次、期間:2018年10月29日~2019年10月29日
出所:ブルームバーグ、各種報道等を使用しピクテ投信投資顧問作成

 

まず、南アの格付けを確認します。ムーディーズ・インベスターズ・サービス(ムーディーズ)は南アの格付け(外貨建長期債)を(BBB-に相当する)Baa3としています(図表2参照)。

 

※アクションのネガティブはネガティブウォッチ(格下げ方向で検討)を付与したことを示す。解除はネガティブウォッチの解除 出所:ブルームバーグ、各種報道等を使用しピクテ投信投資顧問作成
[図表2]南アの最近の格付けの推移(ムーディーズ) ※アクションのネガティブはネガティブウォッチ(格下げ方向で検討)を付与したことを示す。解除はネガティブウォッチの解除
出所:ブルームバーグ、各種報道等を使用しピクテ投信投資顧問作成

 

一般に投資適格格付とされるBBB-ギリギリの水準です。

 

そのうえ、他の主要格付け会社であるS&Pグローバル・レーティングはBB、フィッチ・レーティングスはBB+と、南アを既に投資不適格と見なされる格付け水準としています。仮にムーディーズが11月月初に予定されているレビューで格下げすれば、投資ガイドラインを背景とした南ア債券の売却、利回り上昇による発行コストの上昇などが懸念されます。

 

次に、南アの格付け変更の背景を過去から振り返ると、格下げの主な理由は財政悪化懸念です(図表2参照)。また、高い失業率(30%近い)と前年比で1%程度の低い経済成長で歳入増も見込み難くなっています。

 

もっとも、ムーディーズは現政権の改革姿勢を評価しており、18年3月にはネガティブウォッチを解除すると共に、見通しを安定的と改善させています。

 

ただ、19年7月にムーディーズは国営電力会社エスコムの金融支援に批判的なコメントをしています。

 

したがって、エスコム救済計画と、とりわけ2年前にも判断材料としているMTBPSの内容が問われることとなりそうです。

 

エスコム救済計画では、現在の事業を集中させた構造から持ち株会社に移行して、発電、送電、小売に分社化しリスクを分散させることや、再生エネルギーの強化、競争原理の導入と金融支援の削減などが柱となっています。しかし、債務削減などに具体性が欠ける面もあり評価はこれからです。

 

より注目されるのは来年予算の骨格が示されるMTBPSです。今のところ、市場では南アの格付け見通しを安定的からネガティブに変更するとの見方が多いと見られますが、財政改革などが不十分な内容であれば格下げも懸念されるだけに注意は必要です。

 

 

当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『南アフリカ・格付けレビュー直前…中期財政政策声明にも注意を』を参照)。

 

 

(2019年10月30日)

 

 

梅澤 利文

ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部投資戦略部 ストラテジスト

 

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ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト 

日系証券会社のシステム開発部門を経て、外資系運用会社で債券運用、仕組債の組み入れと評価、オルタナティブ投資等を担当。運用経験通算15年超。ピクテでは、ストラテジストとして高度な分析と海外投資部門との連携による投資戦略情報に基づき、マクロ経済、金融市場を中心とした幅広い分野で情報提供を行っている。経済レポート「今日のヘッドライン」を執筆、日々配信中。CFA協会認定証券アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

著者紹介

ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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