京都市内で「マンションの資産価値」の落ちにくい街は?

2020年に開催迫るオリンピックや万博への期待から、東京・大阪の地価高騰が続いている。それに伴い上昇する物件価格の高騰に、賃料相場は対応しきれず、大都市圏の不動産投資利回りはジワジワと低下傾向にある。そんななか、一人勝ちの状況となっているのが京都である。本記事では、京都不動産の狙い目エリアについて見ていく。

京都市を中心に地価高騰化…しかし基準はやはり平安京

京都市内でマンションの資産価値の落ちにくい街はどこか、不動産調査会社・東京カンテイが公表しているマンションPBRのランキングから見てみましょう。不動産市場の調査を行っている東京カンテイは「マンションPBR」という数値を定期的に公表しています。

 

マンションPBRとは、株価資産倍率(Price Book-value Ratio)をマンションに当てはめたものです。

 

株価で言えば、1株当たりの純資産に対し、株価が何倍で買われているのかということですが、マンションPBRの場合は、中古マンション価格が新築マンション価格の何倍になっているかを過去10年の平均価格を元に計算したものを指します。この数値が大きいほど、物件の資産価値が大きいと言えます。マンションPBRが1を超えれば、中古マンション価格が新築マンション価格を上回っている状態を示しています。

 

図表1を見てください。先ほど紹介した田の字地区の「烏丸」は1.24倍となっています。
 

東京カンテイ「マンションPBRランキング 2016(近畿圏)」より一部抜粋
[図表1]田の字地区のマンションPBR値 東京カンテイ「マンションPBRランキング 2016(近畿圏)」より一部抜粋

 

もともと地価が高止まりしている烏丸地区は中古と新築に価格差がそこまで表れない、つまり新築時からかなり高値がついていることを表しています。一方で1倍を超えているわけですから、高値で手に入れても資産価値が全く落ちず、むしろ微量ながら上がっている、ということです。

 

1.08倍の「神宮丸太町駅」のあるエリアは、住宅、オフィスが集まっている地域ですが、市中からは北上しており、近くには広大な京都御苑もあるため、比較的静かな町並みと言えます。

 

東にいくと京都大学の医学部があるなど、学生にも人気があり、PBRを上げてきているというわけです。

 

こうしてみると京都市を中心に徐々に地価の高騰が出てきているようです。ただし、あくまでマンションPBRは新築と中古の価格差を表したものですから、必ずしも長期的な視点での不動産投資のポイントではありません。今後も地価が上昇していく可能性は高いと言えますが、収益物件の購入基準としては、やはり平安京を一つの基準とするのがいい、と思います。

投資の本命は京都のトップ企業が集まる「西院」エリア

観光ブランド都市としてインバウンド特需に沸く京都では、さまざまな再開発プロジェクトが進行中です。そこで主だった再開発プロジェクトと、土地勘のない人でもすぐに分かる、京都市の各エリアの特徴と物件選びのポイントをご紹介します。

 

京都には有名大手企業の本社が多くあります。今や世界的な企業となった任天堂の本社はJR京都駅をさらに南に行った十条にあります。すぐ近くには佐川急便の本社があり、京都駅のすぐ南にはニッセンホールディングスがあります。ほかにも堀場製作所、オムロン、日本新薬、ワコールなど、多種多様な大企業が京都に本社を構えています。

 

前述したように、京都で狙うべき収益物件のメインターゲットは社会人単身者、特に大手企業に勤める会社員は重要な層です。そのため、大企業が本社を置くエリアの周辺は社会人単身者向けの収益物件にとって最も投資効果の高い場所になります。そのなかの一つとして、私がこれからねらい目の有力候補に考えているのが「西院エリア」です。

 

阪急京都線と嵐山方面へ続くローカル線の嵐電「西院」駅を中心に広がる西院エリアは、先ほどの「平安京基準」でいうと真ん中の朱雀大通りからやや北西のエリアです。大手レンタルビデオ店やフィットネスジム、大手のスーパーやドラッグストアなどが充実しており、大変生活に便利な地域でありながら、京都のビジネス中心街、「烏丸」へは阪急線で2駅。少し北には島津製作所を中心とした企業があり、南に行けば半導体を取り扱うローム社があります。ロームでは、冬になると本社周辺の通り沿いの並木に80万球とも言われる電球を点灯したイルミネーションを実施しており、人気を呼んでいます。

 

こうした西院エリアは「田の字」地区ほど地価が高騰しておらず、まだ十分な開発余力がある地域であり、今後西院エリアの収益物件に出会う機会があれば、ぜひ購入したい物件の一つです。

 

さらにお勧めのエリアとしてつけ加えるとすれば、西院エリアからさらに南に進んだJR「西大路」駅の周辺エリアです。この西大路エリアにも大手企業が多く集まっており、日本新薬、ジーエス・ユアサコーポレーションや堀場製作所が近くに本社を構えています。

 

[図表2]京都の西院エリア周辺に集まるトップ企業

JR京都駅周辺は開発ラッシュで地価高騰

収益物件の購入を考えるうえで「駅チカ」は重要な要素です。なかでも「JR」の駅は主要な駅同士を結ぶターミナルとしての要素があるので、どの都市でもJR駅の近辺は開発が最初に進みます。物件がJRの駅の近くにあるとなれば、高い家賃設定を想定できます。

 

JR京都駅も多くの観光客を迎える京都最大の玄関口となっています。駅ビルは総合アミューズメント施設になっていて、「京都劇場」や美術館「えき」KYOTOが併設されています。多くの商業テナントが入っており、駅構内にある大階段では、さまざまなイベントが開かれます。また、京都駅の目の前にある京都タワーでは、2017年に地下1階から地上2階を商業施設「京都タワーサンド」としてリニューアル。観光客に人気のスポットとなっています。

 

しかし、ここが京都のおもしろいところですが、意外にもこのJR京都駅の周辺はこれまで十分な開発が行われてきませんでした。

 

前述の「平安京基準」をもう一度見てください。実は京都は京都駅中心の町ではありません。京都は平安京の時代から、御所が北側に位置していたため、北に行くほどいい土地だとされてきました。この昔ながらの感覚は未だに京都に残っており、一般的に京都の人は下賀茂や北山のほうに好んで住みます。

 

そして京都御所から見て南方面にある京都駅周辺というのは、普通の投資目線で見れば超一等地なのですが、京都人にはあまり好まれず、開発されてこなかったという側面があります。

 

そこで行政側が腰を据えて取り組むことになり、京都市が一帯の土地を買い取り、まず新しい京都駅を建設し、近年は線路の南側の地域でも再開発が進んできました。

 

このJR京都駅を中心とした開発プロジェクトをいくつか挙げれば、まずは京都駅南口駅前広場の整備事業が2016年末に完成し、最近はインバウンド関連、ホテルや商業施設の計画が急ピッチで進んでいます。京都駅の東側、七条の鴨川沿いに京都市立芸術大学の移転整備が進んでいることは、古くからの京都人にとっては大きなインパクトを感じる出来事でした。

 

京都駅周辺のホテルでは、老舗ホテルのリーガロイヤルホテル京都が2016年にリニューアル。2019年5月には、JR西日本の新ブランド「ホテルヴィスキオ京都 by GRANVIA」がオープン。ホテル京阪も同エリアに3棟目のホテルを建設中です。このエリアは「京都鉄道博物館」や「京都水族館」がすでにオープンしている場所で、2019年の3月にはJRの「梅小路京都西駅」が開業するなど、新たな文化・観光の拠点として期待が高まっています。

 

JR京都駅の南側にはワコール、ニッセンホールディングス、京セラの本社。西に一駅行った西大路駅には日本新薬の本社があります。この辺りは準工業地域で道が広く高速道路もあるので利便性が高く、大企業が集まる地域となっています。またこの南側にも新規の大型ホテルの開業が続々と発表されています。

 

このように京都駅周辺は観光のみならず、文化や経済の要所としてすでに開発競争の様相を呈しており、前述の田の字地区に匹敵するほど地価が高騰しています。今後は、京都駅の南方向である九条・十条、また西方向のJR西大路駅周辺地域でのレジデンス開発が進んでゆくのではないかと考えています。

 

①京都駅南口駅前広場整備事業完成  ②運転免許更新センター及び地域防犯ステーション整備等事業  ③リーガロイヤルホテル京都リニューアルオープン  ④京都鉄道博物館開館  ⑤ワコール新京都ビル完成  ⑥ホテル京阪が「ザ・サウザンドキョウト」をオープン(京都第2タワーホテル跡地)  ⑦京都タワーリニューアルオープン(京都タワーサンド)  ⑧JR京都駅~丹波口駅間に新駅「梅小路京都西」開業  ⑨京都市立芸術大学移転構想⑩ホテルヴィスキオ京都 by GRANVIAがオープン
[図表3]京都駅周辺の開発プロジェクトの一例 ①京都駅南口駅前広場整備事業完成
②運転免許更新センター及び地域防犯ステーション整備等事業
③リーガロイヤルホテル京都リニューアルオープン
④京都鉄道博物館開館
⑤ワコール新京都ビル完成
⑥ホテル京阪が「ザ・サウザンドキョウト」をオープン(京都第2タワーホテル跡地)
⑦京都タワーリニューアルオープン(京都タワーサンド)
⑧JR京都駅~丹波口駅間に新駅「梅小路京都西」開業
⑨京都市立芸術大学移転構想⑩ホテルヴィスキオ京都 by GRANVIAがオープン

 

日本ホールディングス株式会社 代表取締役

1992年に日経ビルディング(現日本ホールディングス)の設立に参加。2011年、代表取締役に就任。顧客最重要の姿勢を徹底し、京都で唯一の投資用マンションディベロッパー会社を牽引。全国各地での新聞社等主催不動産投資セミナー、フェアにて多数の講演実績を持ち、京都の魅力を説く。

著者紹介

連載誰も知らない「京都不動産投資」の魅力

誰も知らない京都不動産投資の魅力 改訂版

誰も知らない京都不動産投資の魅力 改訂版

八尾 浩介

幻冬舎メディアコンサルティング

物件と街の魅力の相乗効果で資産価値を高める京都不動産投資の魅力を徹底解説!大反響を読んだ話題書が更に充実した内容で再登場観光、文化、技術の発信地として国内外から注目を集める京都。 とくに近年では、インバウンド…

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