環境を意識した投資手段「グリーンボンド」は日本に根付くか

ピクテ投信投資顧問株式会社が、日々のマーケット情報を分析・解説します。※本連載は、ピクテ投信投資顧問株式会社が提供するマーケット情報・ヘッドラインを転載したものです。

 

気候変動など、環境意識の高まりが見られるなか、グリーンボンドなどへの関心も高まっています。より幅広い投資概念としてESG投資(環境〈E〉、社会〈S〉、ガバナンス〈G〉)がありますが、グリーンボンドは、特に環境を意識した投資手段と見られます。グリーンボンドの発行などは、やや「世界」に出遅れましたが、環境意識の高い日本の今後の動向に注目しています。

グリーンボンド:GPIF、2020年度にもグリーンボンド(環境債)に本格投資の可能性

年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は早ければ20年度にもグリーンボンド(環境債)への本格投資を始める方針だと、主要メディアが19年9月25日に報じました。

 

日本国内企業が18年に発行したグリーンボンドの発行額は5000億円を上回り、17年に比べ大幅に伸びています。19年も現時点で4000億円程度と、18年を若干上回るペースとなっています(図表1参照)。

 

年次:2014年~2019年、19年は9月迄 出所:環境省、Climate Bonds Initiativeを参考にピクテ投信投資顧問作成
[図表1]日本企業のグリーンボンド発行額と件数の推移 年次:2014年~2019年、19年は9月迄
出所:環境省、Climate Bonds Initiativeを参考にピクテ投信投資顧問作成

どこに注目すべきか:気候変動、グリーンボンド、SDGs、ESG、評価

気候変動など、環境意識の高まりが見られるなか、グリーンボンドなどへの関心も高まっています。より幅広い投資概念としてESG投資(環境(E)、社会(S)、ガバナンス(G))がありますが、グリーンボンドは、特に環境を意識した投資手段と見られます。
グリーンボンドの発行などは、やや「世界」に出遅れましたが(図表2参照)、環境意識の高い日本の今後の動向に注目しています。

 

年次:2007年~2019年、19年は8月迄 出所:環境省、Climate Bonds Initiativeを参考にピクテ投信投資顧問作成
[図表2]世界のグリーンボンド発行額の推移 年次:2007年~2019年、19年は8月迄
出所:環境省、Climate Bonds Initiativeを参考にピクテ投信投資顧問作成

 

なお、環境等を意識した投資については持続可能な開発目標(SDGs)などの概念が先にありますが、幅広い分野をカバーしているので今回はグリーンボンドに話を絞ります。
グリーンボンドは、債券発行により調達した資金を「グリーン」な事業、すなわち環境改善効果を持つ事業に充てることを前提として発行される債券です。

 

「普通の」債券とは調達資金の使途がグリーンプロジェクトに限定されること、調達資金が確実にモニターされること、発行後のレポーティングを通じ透明性が確保されることなどが違いと見られます。

 

 

そのため、グリーンボンドを発行する仕組みは、通常の債券の発行プロセスと似てはいます。しかし、発行体である事業会社や公共機関が発行したグリーンボンドに対し、外部レビュー機関が資金使途や投資先選定などを確認する仕組みが組み込まれる点が異なります。

 

現在、グリーンボンドは「誰が」「何を規準に」にグリーンボンドと呼ぶのかは発展段階にあると見ています。

 

国際的には国際資本市場協会(ICMA)のガイドライン、日本では環境省が策定したグリーンボンドガイドラインなどが活用されています。また、発行の前後で適格性を評価する外部レビュー機関としては、日本の過去の発行では、格付け会社の利用や、専門の評価会社の活用が多くなっています。

 

このようなグリーンボンドの外部評価は、透明性を高める一方で、コスト負担の問題はありますが、日本では、環境省によりグリーンボンド発行促進体制整備事業が補助金対象となれば支援が受けられる仕組みを設けるなど、グリーンボンド発行に対する環境整備も改善してきています。

 

ただ、世界を見ると2007年に欧州投資銀行(EIB)がグリーンボンド(「Climate Awareness Bond」)を発行し、08年には世界銀行が「グリーンボンド」を名称に使用した債券を発行するなど、日本に比べて先行している印象です。その中でも発行残高を地域別に見ると、欧州が規模の点では半分程度となっています。その欧州ではグリーンボンドの詳細な適格規準(タクソノミー)案が策定されたり、評価機関の登録制なども将来的に導入が見込まれています。グリーンボンドなど新たな投資の制度設計は走りながら行われているだけに、その動向に注目が必要です。

 

当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『環境を意識した投資手段「グリーンボンド」は日本に根付くか』を参照)。

 

 

(2019年9月30日)

 

 

梅澤 利文

ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部投資戦略部 ストラテジスト

 

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ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト 

日系証券会社のシステム開発部門を経て、外資系運用会社で債券運用、仕組債の組み入れと評価、オルタナティブ投資等を担当。運用経験通算15年超。ピクテでは、ストラテジストとして高度な分析と海外投資部門との連携による投資戦略情報に基づき、マクロ経済、金融市場を中心とした幅広い分野で情報提供を行っている。経済レポート「今日のヘッドライン」を執筆、日々配信中。CFA協会認定証券アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

著者紹介

ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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