リブラ VS ヴィーナス?「政府コントロールの暗号資産」誕生か

暗号資産取引所のバイナンスが新たに発表した独自通貨「ヴィーナス(Venus)」について、政府のコントロール下に置かれる暗号資産とする方針を示していることがわかった。世界政府に訴えかける暗号資産計画とは。

「ヴィーナス」はリブラとの競争姿勢を明確化

暗号資産取引所バイナンスが新たに発表した独自通貨「ヴィーナス(Venus)」について、政府のコントロール下に置かれる暗号資産とする方針を示していることがわかった。

 

ヴィーナスの通貨システムについて、暗号資産を担保する方法や暗号資産の発行量は政府が決めることができると、同社のコンプライアンス責任者であるSamuel Lim氏が明かした。中央銀行が暗号資産の裏付けとなる法定通貨をどの程度金庫に準備しておくかなど、通貨システムの根幹を担うことができる仕組みになるという。

 

バイナンスが暗号資産を創造するためのプラットフォームとなるブロックチェーン技術を政府に提供、つまりヴィーナスを自社運営する目的ではないことが意味される。同氏は、これらの取り組みを経て、リブラの強力なライバルとなる可能性もあると見ている。

 

先月、同社CEOのChangpeng Zhao氏が、「ヴィーナスはリブラと共存し助け合う関係にもなる」とツイートしたことは記憶に新しいが、Lim氏は「リブラに対する強力な競争相手」になる可能性もあるとの見解を明らかにした。

 

世界的に、通貨基準が置き換わる可能性が危惧されるなかで、政府が通貨主権を握れるヴィーナスは、リブラと大きく異なるステーブルコインの仕組みであると説明。

 

特にインフレの懸念がある発展途上国では、その国の法定通貨ではなく、米ドルを中心に裏付けられるリブラを選ぶのではないかとの見解もあるが、ヴィーナスではそれら発展途上国に新たな付加価値も提供するという。

 

小さな国の国民や、銀行口座を持たない人々を、モバイルテクノロジーの力で国際的な流動性のプールへと導き、世界市場への橋渡しを実現する。これらの方針のもと、「ヴィーナス」は最初に欧米諸国以外での発行を予定。バイナンスは現在、主に発展途上国の中央銀行や規制当局に働きかけているという。

 

◆通貨主権への脅威とされるリブラ

 

一方、引き合いに出されたFacebookのリブラについては、各国の政府や中央銀行が、政府の通貨に対する主権を脅かすのではないかと懸念している。

 

ヨーロッパでは、フランスのBruno Le Maire財務相が先週「国家の通貨主権は脅威にさらされている」と、リブラのEU進出を阻止する旨の発言をした。

 

またドイツではリブラやその他ステーブルコインを含む「法定通貨に並行する通貨」を、ドイツで発行することを禁止する「ブロックチェーン戦略」がメルケル内閣によって9月18日に承認された。

 

フェイスブックの子会社「カリブラ」のCEOであるDavid Marcus氏は、「リブラは現在の通貨を基にした決済のネットワークやシステムをより良くするためのものだ。不換通貨のバスケットに支えられているため、中央銀行のお金を生み出す力を奪うことはない」と反論した。

 

しかし現状では、リブラは国家の通貨主権に対する脅威となるという政府間の認識は、根強い状態にあるようだ。

 

◆FX市場がブロックチェーン上でも再現

 

また、ヴィーナスの潜在力が発揮されると、従来のFX市場がブロックチェーン上でも再現されるとLim氏は語った。

 

●グローバルアクセス

●即時流動性

●新しい金融商品を(サンドボックス/テストベッドのような管理された環境で)実験する能力

 

ヴィーナスによって可能になる上の項目は、特定の国々にとっては大変な魅力になるという。バイナンスはすでにアフリカに進出し、ウガンダで取引所が稼働している。

 

同社は現時点での交渉相手を明言していないが、半年以内に、各国政府、中央銀行、および大企業とのパートナーシップを大きく進展させる予定だという。

 

参考:『Binance Is Pitching Its Stablecoin as a Government-Friendly Libra Competitor』――Coindesk報道

 

※本記事は、2019年9月18日に「CoinPost」で公開されたものです。

 

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