内モンゴル自治区の暗号資産マイニング業者操業停止へ
中国中央政府が内モンゴル自治区の暗号資産マイニング業者の操業停止(シャットダウン)に動いた件で、地元政府の関係者が、「中央政府の動きは確かであり、10月末までにマイニング業者を検査し業務を停止させるための行動を取っている」と言及していることが新たにわかった。CoinDeskが報じた。
「データセンター」を装いマイニングファームの運営を行っている暗号資産マイニング業者や、未登録マイニング業者は、政府のシャットダウン対象にあるとしている。中央政府の命令を受けた内モンゴル自治区の法的機関では、低コストの電力と税控除を狙ったマイニング業者に対し、検査・取締まりを行う旨を伝えた。登録したマイニング業者も、2021年までの操業停止の対象に該当するという。
なお、取締まりの対象には暗号資産関連業者に限らず、クラウドコンピューティング企業や、ビッグデータ企業も含まれる。
この検査・排除計画に関わる業界関係者の証言によると、「内モンゴル自治区における取締まりは、中国中央政府が2021年までに暗号資産マイニングを国内から排除する計画を反映したもの」であるとしている。
マイニング業者を排除する計画は、中国の国家発展改革委員会(NDRC)が4月に公開した「国内における産業構造の改造に関する2019年目次書」に関連した動きだ。同目次書では、暗号資産のマイニング業務は「淘汰」産業に分類されており、「淘汰する期限」は2021年1月1日と設定されている。
◆内モンゴル自治区マイニング排除の影響について
内モンゴル自治区は、電力が低コストである点や気候の面から暗号資産マイング業者が多く点在する地域の1つであるが、中国事情に精通する中国人暗号資産ファンドマネージャーDovey Wan氏は「影響はさほどないだろう」とコメントした。
以前、目次書の効力について「淘汰項目にリストされている多くの部類は2011年以来含まれており、中国政府が実際それらの産業について行動を一切起こしていないため、暗号資産マイニング業者も心配する必要はないだろう」と予測していたDovey Wan氏。今回の動きについても強い懸念は抱いていないという。
一方で、中国政府が電力消耗を理由に業者を排除する可能性は高いとみて、懸念感を示す業界有識者も多くいる。政府の動向が掴めないこと(取締まりの不透明性)がその背景にあるとみられる。
今後注目される地域には、Bitmainを筆頭に多くのビットコイン大手マイナーや中小マイナーも運用拠点とする内モンゴル自治区や新疆(しんきょう)ウイグル自治区、四川省などがあがる。地元政府がいつどのように中央政府の命令をどのように執行するか、業界の注目度は高い。
50%以上のBTCハッシュレートが中国国内にあるなかで、全面廃止・淘汰が長期的にはマイニングの分散化に寄与する可能性もあるが、仮に2021年に向けて業者の操業停止に動き出した場合、ビットコインハッシュレートの急落を一時的に引き起こす可能性もある。
※本記事は、2019年9月18日に「CoinPost」で公開されたものです。